納豆

納豆が食べられない。

元々家族の中で納豆を食べられるのは父だけで、母も妹も食べられなかった。だから冷蔵庫を開くたびに独特な匂いがするのを母も妹も嫌がっていたし、父が納豆を食べるだけでもみんな嫌な顔していた記憶がある。

会社を辞めてフリーランスになった後、収入が不安定なので、実家に帰ることにした。帰ってきた時に驚いたのは母が納豆を食べられるようになっていたことだった。聞いてみるとどうやら家を出た妹も食べられるようになったらしい。そのため、少数派だった納豆派は今や多数派となり、冷蔵庫に堂々と鎮座するようになっていた。

高校を卒業してから付き合っていた子の家に招かれたことがあり、夕食をご馳走になった。我が家の名物だ、と言って出てきたのは納豆キムチお好み焼きだった。食べないわけにはいかず、無理矢理食べて、すっかりトラウマになってしまった。ちなみに当時はキムチも苦手だった。

割と好き嫌いが多い子供だった。大人になってから美味しさに気づけたものがたくさんある。だから、苦手な食べ物も定期的に食べてみることにしている。納豆も数年に一度、苦手な人も食べられますよ!というレシピで食べてみるのだけど、やっぱりダメだった。

フリーランスになって収入も安定してきたこともあり、この春から一人暮らしを始めた。料理は好きだけど、手間を省きたい気持ちもある。納豆があればきっとご飯、納豆、お味噌汁、副菜、ヨーグルト、と手間も省いてヘルシーな朝食になるんだろうなあ。

納豆が食べれるようになりたい。

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