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【SVシーズン11】【ダブル】闇毒のフロルブランド

はじめに

相棒であるブラッキーを活かしたくて組んだ構築です。

シーズン12(2023年11月シーズン。レギュレーションE・ダブルバトル)において、最終順位1575位でした。シーズン中、何度か3桁順位になった瞬間はあったものの、最終的には私の実力不足で勝ち切れませんでした。

最終順位
瞬間3桁は何度かあった

とはいえ、競技人口の上位5%以内に入る順位ではあるため、誰かの何かの参考になれば幸いと思い、ここに記録を残します。


概要

構築全体図

ブラッキー+キラフロルの初手で相手を消耗させ、裏の化身ランドロスやセグレイブを通します。

キラフロル+高耐久の組み合わせで相手を消耗させる戦略は、高耐久枠にヘイラッシャやディンルーを用いた先行研究が実績を残しているため、普遍的な強さを持つと考えられます。

構築経緯

1. ブラッキー+キラフロル

ブラッキーを活かした構築を組みたいと思いつつも、なかなか案が浮かばずにいました。

一般論として、ダブルバトルにおけるブラッキーは、自身の強みを広範囲に押し付ける性能よりも、狭い範囲を対策する性能が高い(いわゆる「構築の5〜6匹目で入ってくるポケモン」)とされています。

それゆえに構築の軸とするには向かず、ブラッキーで塞がる穴を意図的に空けた構築の補完枠に採用するのが最適解ですが、その難易度が高いことに悩んでいました。

そんな中で、以下の動画で興味深い知見を得ました。

バルジーナの強みとして

  • 高耐久+鉄壁による詰ませ性能があること

  • 鉄壁を積まなくてもイカサマで打点を確保できること

が挙げられています。

ここで特に重要なのは後者の観点で、物理寄りである現環境においては、タイプ一致イカサマを振り回せる高耐久の悪タイプというだけで汎用性のある強みを持ち、軸たりえるのでは?と仮説を立てました。
(他にも、別の人の構築記事で「イカサマチオンジェンが強かった」という記述を見掛けたのも後押しになりました。)

ブラッキーとバルジーナは性能面で似通っているため、バルジーナにできるならブラッキーでも出来そうという謎の対抗心により、ブラッキー+キラフロルの先発を始点に構築を組むことに。

2. エースの化身ランドロス

先発の2匹が決まったので、後発のエースを決めます。
エースに求められるのは主に以下の2点だと考えました。

  • 毒の削りと合わせることで多くの相手を突破できる高い火力を持つこと

  • 毒が効かない相手に有効打があること

以上の条件を踏まえ、化身ランドロスを採用。
命の珠+特性ちからずくのコンボにより等倍でも高い打点が期待でき、キラフロルを警戒して選出される鋼と毒に強いため、キラフロルの後ろから出すアタッカーとして欲しい要素が揃っています。

3. サブエースのセグレイブ

基本選出の最後の1匹は、以下の要件を満たすセグレイブを採用しました。

  • 地面技だけでは草や飛行が倒せないため、それらに有効打となる氷打点が欲しい

  • 特殊技に偏っているので、特殊耐久に長けたポケモンで詰まないように物理型が望ましい

  • 構築にS操作が無いため、先制技があると良い

条件を満たすポケモンには他にもパオジアンやマンムーが考えられますが、それぞれ以下の理由で不採用としました。

パオジアン

  • 特性が味方と噛み合わない

  • 味方の耐久まで下げてしまうため、ブラッキー詰めを狙う動きとアンチシナジー

  • ここまでの3匹で防御ダウンを活かせるのがブラッキーのイカサマのみ

  • キラフロルやランドロスと持ち物が競合する

マンムー

  • 攻撃タイプ地面はランドロスと被る

  • 水弱点が既に2匹いるので、これ以上増やすのは厳しい

  • 最速にしても準速ウーラオスより遅い

4. 補完

以上の4匹を基本選出として、しばらくランクバトルに潜って課題を洗い出しました。

浮かび上がった主な課題は以下のとおり。

  • 炎タイプの範囲アタッカーが重い(イーユイ、グレンアルマ、コータス等)対サーフゴーにも不安が残る

  • ブラッキーを対物理に厚くしたため、特殊型の相手に対して出来る仕事が少なく置物になりがち

以上を踏まえ、イーユイに上から一致技で弱点を突くことができ、サーフゴーのゴールドラッシュを半減できるオーガポン(井戸の面)と、突撃チョッキを持たせることで凄まじい特殊耐久を獲得するテツノカイナを採用して完成としました。

選出

先発:キラフロル + ブラッキー or テツノカイナ
後発:残り3匹のうち通りそうな2匹

概ね、物理型が1匹でも来そうならブラッキー、そうでなければテツノカイナを出す方針です。

個別解説

ブラッキー

◆ 性格・努力値
穏やか H252 B252 D4
性格補正無しHB振りだけでも意地ウーラオスの水流連打を2セット耐えられるため、物理耐久は充分と判断。特殊技で崩されにくいよう補正はDに。テラス後に臆病ハバタクカミの眼鏡シャドボを2耐えします。

使っていて特に不満はありませんでしたが、好みで物理耐久に余裕を持たせるためにB補正にしても良いと思います。

◆ 特性
精神力
シンクロとの2択ですが、状態異常を相手にも与えるメリットよりも、猫騙しや岩雪崩等による怯みを防ぐことができるメリットのほうがダブルでは大きいと考えて選択。
あまり知られていないのか、猫騙しや怯み狙いの不一致技がよく飛んできます。アドです。

◆ 持ち物
ゴツゴツメット
対物理の削り性能を重視して選択。
居座り性能を重視するのであれば隠密マントも候補に挙がる(その場合は特性もシンクロにする)ものの、バルジーナの鉄壁のように効率的かつ永続的に物理耐久を高める手段が無いため、無理に居座るよりも削って後続で倒すことを重視。

キラフロルを触りたくない相手はブラッキー方向に技を振るので、毒と合わせて物理アタッカーをゴリゴリ削ることができます。

◆ テラスタイプ

耐性が反転するため、ハバタクカミやテツノカイナといったメジャーなポケモンからの有効打が無くなって居座りやすくなることから毒に。
等倍以下であれば生半可な火力では押し切られない耐久があるため、想定以上に多くのポケモンを詰ませることができました。

相手のランドロスの地面技を誘発することで、隣を雪崩怯みから保護する副次効果もありました。雪崩を撃ってくる場合は不一致範囲技ゆえにダメージが低く、精神力で怯みも無効、イカサマで大ダメージが期待できるため、それはそれで問題ありません。

◆ 技
対物理を重視した構成です。

・リフレクター
物理耐久をさらに高めて優位を盤石にするために採用。バルジーナと違って鉄壁は覚えません(逆にバルジーナはリフレクターを覚えません)。
鈍いはAが無駄になることやカイナ等より遅くなることが弱いと感じて不採用。
味方の耐久も補強できるのが想像より強力で、特にセグレイブは弱点が多い上にスケイルショットで防御が低下することもあるため、恩恵を強く受けます。

・挑発
自由枠ですが、バクアや怖い顔等も試したものの、指・粉・スイッチトリル等を無力化する挑発が一番使いやすく感じました。

キラフロル

◆ 性格・努力値
臆病 H252 S252 D4
毒撒き・削りが主な仕事なので、行動回数を優先した配分としました。
最速にすることにより多くのポケモンに対して先制できるため、耐久に全振りするよりも行動回数を増やすことができると考えています。準速ウーラオスや、素早さに振っていないオーガポンより速いため、行動順から型の情報を探ることができるのもメリットです。

最速の使用感は良かったものの、毒化粧を嫌った相手が特殊アタッカーばかり出してくるため、Hを少しDに回しても良いかもしれません(総合耐久は下がりますが、ハバタクカミのシャドーボール2発で落ちない保証があったほうが動かしやすい気がします)。

◆ 特性
毒化粧
後発にランドロスが控えており、無理に腐食+手動毒をする理由が無いため、相手依存とはいえターンを使わずに毒菱を撒くことができる毒化粧を選択。

◆ 持ち物
気合の襷
どんな相手でもなるべく初手で出したいため、ランドロス等の地面タイプの前で無理やり動けるように採用。H振りが勿体なく感じるかもしれませんが、対応範囲の広い半減実のような感覚です。

◆ テラスタイプ

当初は地面弱点をカバーする草テラスでしたが、ランドロス+トルネロスのような並びに対応できないこと、弱点を半減まで行かずとも、等倍にすれば削り役として充分な行動回数は確保できることを考慮し、水としました。ついでに鋼も半減できます。

◆ 技
・ベノムショック以外
これが正解だと感じました。

・ベノムショック
これはこれでオーガポン等に大ダメージを与える場面もあり有用でしたが、毒菱(物理攻撃をしてくれない相手に手動で撒く)と選択だと思います。
ヘドロ爆弾は試したものの威力不足で、等倍パワージェムで削っても大差なさそうです。

ランドロス(化身)

◆ 性格・努力値
控え目 C252 S252 H4
メインアタッカーであるため火力は高ければ高いほど良いことからCに全振り。

素早さは最速にするとイーユイ等より速くなりますが、イーユイの隣に縛られたり、S操作で上から焼かれたりする可能性が高いと考え、補正はCに掛けました。
S補正を掛けてまで抜いておきたい相手がイーユイ以外に思いつかず、また準速でも最速セグレイブ(準速ウーラオスより速い)までは抜くことができるため、特に不便は感じませんでした。

半減相手にゴリ押しで勝ったこともあるため、この配分で正解だったと思います。

◆ 特性
力ずく
命の珠とコンボすることにより、こだわり眼鏡と違って技選択権を残したまま凄まじい火力を得ることができるため採用。

◆ 持ち物
命の珠
力ずくとコンボすることにより(略)

◆ テラスタイプ

弱点を消すほか、等倍でも痛いハバタクカミのフェアリー技やカイリューの神速等に縛られにくくするために採用。
意図したとおりに活躍してくれました。

◆ 技
命中不安の熱砂よりも、安定して単体を吹き飛ばせる大地を押すことのほうが多かったです。眼鏡サザンドラで悪波を連打するときのようなイメージ。
とはいえ守る択を回避するために熱砂を押す必要があるシーンは必ず出てくるため、判断力と勇気が問われます。

セグレイブ

◆ 性格・努力値
陽気 A252 S252 H4
サブエースとしてA全振り。最速にすることで準速ウーラオスより速くなり、ウーラオス抜きで止めても努力値がほとんど余らないので最速。

◆ 特性
熱交換
雪構築ではないため、火傷耐性を得られる熱交換を選択。

◆ 持ち物
イカサマダイス
タイプ一致の連続技である氷柱針とスケイルショットを覚えるため、一種の火力強化アイテムとして採用。

◆ テラスタイプ

弱点を消すことができるタイプの中で、炎オーガポンや水ウーラオスに耐性を得られる水タイプを選択。

炎耐性は実戦でも活きて、イーユイやヒードランの熱風を耐えて熱交換で攻撃力を上げて勝ったこともありました。

◆ 技
・スケイルショット以外
どれも確実に必要でした。もちろん、持ち物の都合によってはダイス+氷柱針でなく強化アイテム+氷柱落としでも良いと思います。

・スケイルショット
ここだけは検討の余地あり。
役に立つ場面は何度かあったのですが、10万馬力が欲しい場面もありました。総合的に見た場合に、どちらがベターなのかは判断がつきません。

オーガポン(井戸の面)

◆ 性格・努力値
陽気 H172 A28 B92 D4 S212
A:威嚇込みでB4振りイーユイをツタ棍棒でワンパン
S:準速トドロクツキ抜き
HB:テラス後に陽気オーガポン(お面持ち)のウッドホーンを最高乱数以外耐え
D:余り(臆病ハバタクカミのシャドーボールを確定2耐え)

最低限の火力を確保した上で、残りの努力値は行動回数をなるべく増やす方向で配分しました。
物理耐久の具体例がイメージしづらいかもしれませんが、もし水タイプが等倍であれば陽気ウーラオスのハチマキ水流をほぼ耐えるくらいです。

物理・特殊ともに良い感じに耐えてくれるため、高速アタッカーにありがちな「もっと速いポケモンに上から等倍で倒される」が発生しにくく、使いやすいと感じました。

攻撃力の数値だけ見ると火力面が頼りなさそうに感じるかもしれませんが、お面込みの技威力が高いため気になりませんでした。

◆ 特性
貯水
固定。

◆ 持ち物
井戸の面
フォルムチェンジのため固定。

◆ テラスタイプ

固定。

◆ 技
オーソドックスな構成。

・ウッドハンマー
連撃ウーラオス等への遂行打点です。
ウッドホーンでは威力が足りず、パワーウィップでは命中が不安なため、消去法で選択。耐久を削ってしまいますが仕方ありません。

・この指とまれ
ほとんど押さない枠なので、とりあえずで入れましたが、これは変えたほうが良いと思います。
この構築ではオーガポンが攻撃を放棄して隣を守っても火力が足りません。耐性や耐久的に殴り勝てない相手に抗える技が良いと思います。

テツノカイナ

◆ 性格・努力値
意地っ張り A252 D228 S28
A:打点確保のため特化
S:4振りアカツキ抜き

◆ 特性
クォークチャージ
選択の余地なし。

◆ 持ち物
突撃チョッキ
ブラッキーと対になる特殊耐久お化けにするために採用。

◆ テラスタイプ
フェアリー
耐久が極めて高いため、元のタイプの弱点を半減せずとも等倍にするだけで充分耐えることができます。
そこで、元々の弱点が等倍になり、攻撃面でも等倍範囲の広いじゃれつくを一致高打点化できるフェアリーとしました。
格闘または電気弱点の相手に対しフェアリーテラスじゃれつくを押すことで、交換や耐性変更テラスタルで受けられにくくなります。
また副次効果として、テツノカイナミラーにも強くなります。

◆ 技
サイクルを回す構築ではないため、猫騙しは不採用としました。

・ドレインパンチ
インファイトだとせっかくの高耐久が失われるため、こちらを選択。

・ワイルドボルト
反動ダメージで耐久が削れてしまうものの、インファイトほどではなく、また雷パンチでは打点が足りないため、こちらを選択。

・冷凍パンチ
ランドロスやモロバレル等に撃つため採用。

・じゃれつく
主な使い方はテラスタイプの項を参照。
他にも、耐久に厚く振ってドレパンを耐える調整にしたトドロクツキがテラスタルせずに居座ってくるため、それをワンパンできるのも強力でした。

総括

正直なところ「どのあたりが環境に刺さっていた」だとか「こういう理論で強い」といったことが分析できるほどの腕が無いため、「なんか上手くいった」としか言えませんが、自分でも不思議なほどスルスルと勝てる構築に仕上がりました。

構築の始点であるブラッキーが、きちんと強みを活かすことができ、頼もしい軸として戦える構築になったと思います。

おまけ

動画にしてもらいました。


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