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新卒採用ってなぁに?

えっと、もちろん新卒採用という単語がわからないわけではない。
今年30になるわたしは、8年前、大学を卒業するとき、仕事が決まっていなかった。なにか意図があったわけではなく、フツーに就活したけれども、フツーに採用されなかったのだ。
今から振り返って、就職が決まらなかった理由を並べることはできるが、かなり個人的な理由になってしまう。とにかく、当時はブラック企業に怯え、変な会社に引っかかることが一番あかん、との思いで、焦らないように言い聞かせ、既卒採用とかもあるし、卒業しても就職活動を続ければ良いということにしていた。幸いにも、わたしが働こうが働かまいが、暮らしていくことができる裕福な家庭で育った。父母も心配しつつも、放っておいてくれるニートまっしぐらな家庭環境のなか、2014年3月、無事大学を卒業した。

一時的とはいえニート状態になったが、「大人になる」ということに憧れていたし、学生でなくなったからには働かなければならないという固定観念もあったので、就職活動を続けた。
が、残念ながら世間は甘くない。既卒採用をしている企業は少なく、友人のアドバイスを受け、ハローワークの求人から就職活動を始めた。このあたりの時系列はあいまいだが、就職活動の軌道を修正して、第一志望の業界をすっかり一度諦めて、第二希望の福祉業界で就職活動をしようと考えた。

福祉と言っても、高齢者の介護ではなく、障がい者、それも子どもを対象にした仕事が良いと思った。昔から、目の見えない人や耳の聞こえない人はどんな世界に生きているのか知りたかった。差別的に聞こえるかもしれないが、「自分とは違う世界」に生きている人と関わりたかった。

介護の仕事で就職活動をしたら1社目で採用が決まった。
やっぱり第一志望の業界での就職活動を続けようかと揺れる気持ちもあったが、とにかく早く働きたかったので、採用してくれた会社で頑張ろうと思った。やるからには全力でやる所存だ。

初めての働く日々は、わたしにとても向いていた。自分が思う、やるべきことをやれているという喜び。今から思えば、仕事内容も向いていたのだろう。社会人は、仕事さえちゃんとこなしていたら、誰にもなにも言われない。つまり、休みの日はどれだけだらけていても良いのだ。週5で8時間働くだけで、それ以外の時間は何をしてもいいだなんて、楽勝すぎだな、と思っていた。
そして、初任給で、ユニセフのマンスリーサポーターになった。ずっと誰かのために、なにかしたかった。わたしにできることはお金を出すことくらいなのに、無職だとそれすらできず、無力さでいっぱいだった。ようやく、したいことの一歩が踏み出せたと、嬉しかった。

とはいえ、3年くらいで辞めるつもりだった。第一志望の業界で働くことを諦めたわけではなかったからだ。働きながら、必要そうなスキルを習得して、転職すれば良いと思っていた。
2年ほど経って、転職活動を始めた。ここでも厳しい現実に直面する。
介護業界から、わたしの希望する業界への転職は難しい、ということだった。
確かに、介護の仕事が活かせそうな業種ではない。
なにごとも、やってみなくてはわからないことの方が多く、特にわたしは全く未経験のものについて想像することが苦手なので、思い至ることができなかったが、世の中そんなもんらしい。

転職活動もうまくいかないが、このまま働き続けていたらなにも変えれないので、とりあえず仕事を辞めた。
そして、せっかくなので夢のひとつだったメキシコのCEPEに語学留学(ほぼ観光)をすることにした。

メキシコでの日々を終え、就職活動を始めた。原点に立ち戻り、なぜ第一志望の業界に行きたかったのか、その始まりを見つめた。
すると、ハローワークで就職活動をしたのが良かったのか、すぐに仕事が決まった。確実に夢に近づいていた。

2つ目の仕事は、希望に近いが、物足りない仕事だった。まず、契約社員だったので、責任の重い仕事は一切なく、仕事量も残業せずに済む範囲のことしかなかった。また、自分で考えて進めないといけない部分もあったが、ルーティーンな部分も大きく、2年経つ前に飽きてしまった。もっと難しいことがしたかった。
とはいえ、業界に潜入できたので、次の就職活動は楽だろうと考えた。実際、辞めてから実家に戻り、就職活動をしたところ、次の仕事もすぐに決まった。

そしていま、望んでいた仕事ができている。3つ目の職場は、8年前わたし思い描いたそのままではないが、だいぶ近い理想を実現できている。パートであるとはいえ。
ただ、理想の仕事は結局理想でしかなく、わたしにとって苦痛なこともたくさんあり、悔しい思いもたくさんして、そんな辛い思いをしてもなお続けたい仕事ではなかった。
わたしは3月で、この理想の仕事を辞める。

以上がわたしの職の遍歴で、なにが言いたいかというと、新卒採用未経験でも、やりたい仕事に就くことはできるし、やりたい仕事に就いたとしてもそれは自分にとって良い仕事かどうかはわからないということ。

とはいえ、そもそもしっかり未来を考えて生活している人からしたら、わたしの生き方は不可解だろう。本人としては色々理由はあるにしても、言い換えればすぐに仕事を辞めるやつだし、その結果給料も少なく、不安定な非正規雇用で、「こうはなりたくない」と思われるかもしれない。
でも、わたしはわたしの人生に後悔はない。仕事だけが人生ではない、という観点からではなく、仕事だけ切り取ってみても、後悔はない。
わたしにはこのやり方しかなかったし、これからも間違えたり、思ってたのと違う!とUターンしたりすると思う。それで良い。

きっと人生は、新しい自分を知り続けることだ。やってみなければ、なってみなければ、わからないことだらけだ。
自分が正しいと思う、なるべく楽しいと思う方を選び続けていきたい。
そして、だれの人生も、踏み付けにはしたくないと、改めて思う。

不安と高揚を感じながら、30歳、突入です。

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