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没後50年 福田平八郎展@中之島美術館

みなさん、モネ展に気を取られて気付いていないかもしれませんが、中之島美術館ではもうひとつ良い展示やっていますよ。
福田平八郎展。
別に美術に詳しくないので存じ上げなかったけれども、チラシがあまりにも良かったもので、行くと決めていた。

横版・オモテ
横版・ウラ
縦版・オモテ
縦版・ウラ

おチラシさんというチラシ送付してもらうサービスを使っていて、それでかなり前に手に入れていたので、予告版だったのか、この情報のなさ。良いですねぇ~。
キャッチフレーズも良い。特にこれ。

凡人になりたがった天才。

いや、見に行きたくなるわ。

展示も全体的に良かった。大満足。
入口から筍の絵でお出迎え。わくわく。
入口の向かいには展覧会の写真撮影スポットが。妹と来たので撮ってもらった。

パシャリ。

やっぱりこういうのがあると嬉しい。
これは中之島美術館の展示の定番のよう。良いと思います。

第一章から時系列で進んでいく一般的な流れで構成されている。
わかりやすくて良かった。

第一章は「手探りの時代」という名がつけられているだけあって、色々な画風で描かれた作品が展示されている。だいたい学生のころあたり。
どんな画風でも書きこなす絵のうまさがまるわかりだった。絵の学校で作品の買い上げもあったらしく、すでに才能を認められている。

『石榴』

第二章は「写実の探求」。
スケッチをたくさんしている。ただし、わたしの知ってるスケッチとクオリティが違う。

第三章.「鮮やかな転換」で、チラシにも使われている『漣』が出てくる。大胆にも線だけで水の表面の揺れを表現していて、重要文化財にも指定されている。第二章までにはなかった表現方法で、新しい。今みても新しいのだから、当時見た人は驚いただろう。こんなにシンプルな表現で、漣だし、美しい。
新発見資料の『水』も良かった。言われてみれば(描かれてみれば)水ってそんな風にも見える。
『水』の展示の前に『鴨』という作品があるのだが、すでに同じような水の描き方をしていて、流れがよくわかって良かった。
そもそも『鴨』、良かった。鴨二羽は写実的な絵で、対して鴨の影や水面の模様は少し抽象的な感じ。その抽象的な感じをもう一歩進めたのが、『水』という作品になっている。
また、これまたチラシに使われている『竹』も良かった。写実を突き詰めた結果、抽象っぽくなっているような感じ。記号的な竹の表現の正反対にあるのが平八郎の竹。抽象的な表現っぽくなっている様々な色合いも、本当の竹を表現しようとすればこそであるというのが良い。
平八郎は好きなモチーフをとことん突き詰め、たくさん描いているので、この時代にはこんな風に表現しているのか、と時代時代で楽しめるのも良かった。

『漣』
『水』

第四章は「新たな造形表現への挑戦」で、『鮎』などはつかめそうな絵ってこういうことかとわかるほどリアルな絵である一方、『氷』のような『水』の表現に近いような一見抽象的に見える絵もある。

『雪庭』
『氷』

最後は第五章.「自由で豊かな美の世界へ」。
子どもの表現が理想、という考えに行きつく。境地すぎてあんまりついていけない作品もありつつ、はっとさせられるような作品もあった。

『海魚』
『雲』


展示の流れはこんな感じ。
個人的には、なんといっても第三章が良かった。すごく良かった。
文章の量でもろばれでしょうが。

展示のルールとして、写真撮影は主要なものだけオッケーにしてて、戦略なのかな?と思った。
せっかく展示見に来てるのだから実物をしっかり見て欲しいし、見ている人の邪魔にもならないように写真撮影は基本はなしで、とはいえ写真撮りたい人もいるだろうし、拡散もして欲しいし、というような。
とても良いやり方だと思う。

展示全体としては、スケッチ狂の平八郎、ということで、スケッチ帳から模写をたくさん展示してくれくれていたのも良かったな~。ちゃんとしてる。

あと、図録買ってないけど、良かった。平八郎のお孫さんの文章もあり、家族から見た平八郎の人柄を知れて良かった。

良かったばっかり言っているが、平八郎展、ほんと良かった~。
この展示に関わった方々に敬意を。

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