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着物文化を伝える・新しい着方「和遊着」を提唱する鵜川有さん

「You&有きもの着付学院」を運営されいる鵜川有さんが、とてもユニークな着物の着方をされるのに、以前から注目していました。「和遊着(わゆうぎ)」というこの着方について、その由来などをお伺いするために、神戸・岡本のスタジオでお話を伺いました。

呉服屋に嫁いで、着付けとヘアを学ぶ

ご経歴について伺いました。
ご両親が音楽家という家庭に育ち、呉服屋に嫁いで初めて着物に触れました。着物の知識は姑から教わりました。姑は着物の仕立てを仕立屋さんに丸投げすることはなく、断ち合わせもすべて自分でする人でした。そのうち、着物を自分で着れる人が少なくなり、着付け教室に通って、店で教えるようになりました。そのうち、ブライダルにも興味が湧き、花嫁着付けをするようになります。花嫁着付けはヘアもできないとトータルバランスが完成しないので、45歳のとき美容学校に通い、美容師の免許も取得しました。
ということで、その熱意に感心いたします。

震災がきっかけで生まれた「和遊着」

しかし、1995年(平成7年)1月17日に起きた阪神淡路大震災で、お店と自宅が全壊してしまいます。着付け教室の生徒に励まされて、駅に近いところで教室を始めたり、料亭旅館でブライダルの仕事を受けたりと、少しずつ仕事を増やしてゆきました。ちょうどその時、ホテルシップシンフォニーで、係留船による阪神大震災救援が行われました。被災者の方々にお風呂の提供などが行われたのです。お客様向けのイベントで何か、と言われたとき、「浴衣をいろいろな着方で見せる」ということを思いつきました。スニーカーを履いたり、短めに着て網タイツを履いたりというアレンジでした。これが「和遊着」の第一歩でした。お客様に喜んでいただけることがわかり、次は浴衣から着物へ、と発展してゆきます。

「和遊着」スタイル

「和遊着」という名前をつける

箪笥に眠る着物の活用を目的として、このスタイルに「和遊着」という名前をつけ、商標登録もしました。鵜川さんのスタンスは、いつもこの着方なのではなく、フォーマルのときはきちんとした着方もするということです。それ以外の場でも、着物を気軽に楽しんで欲しいという考えです。
着物ははさみを入れることなく、腰紐1本で「和遊着」が完成します。

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腰紐1本で着付けできます。


上からベルトもお洒落です。

海外でも「和遊着」

この「和遊着」は若い人にとても受けがよいそうです。また、海外では昼に短めに着て、夜はちゃんとした着付けで臨むという、ONとOFFの着分けも効果的だそうです。
伝統を守りながら、現代を演出する
鵜川さんの立ち位置はそこにあります。シアトルのジャパンフェアなどでも「和遊着」を披露されることがあるそうです。どれも斬新で素晴らしいですね。

今年のJapan Fair2022に出したビデオ 「麗しきkimono美人」振袖を和遊着に着る着物ドレス こちらも興味深いです。

【追記】筆者が鵜川さんと知り合ったきっかけは、鵜川さんが通われた美容学校・Beauty Arts Kobe日本高等美容専門学校で教えておられた、里見美代子先生を通じてです。里見美代子先生は、神戸ファッション美術館の展示の際、講演や着付けでお世話になりました。こうしてご縁がつながるのが嬉しいことです。

似内惠子(昭和きもの愛好会理事)


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