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選曲基準を考える

 みなさん、いかがお過ごしでしょうか。

 10月も半分が過ぎ、改編で誕生した番組がそろそろ耳なじみになってくる頃ではないでしょうか。AM局は月をまたぐ週の月曜日から、FM局は週の途中でも月替わりから新編成に移行するところが多いようです。ただし、野球中継を行うAM局では、今年は野球のペナントレースが11月まであるということなので、ナイターオフ、つまり野球の試合がない時の番組のスタートがずれ込むという現象も起こっているようです。

 さて、今回はラジオ局に存在するとされている選曲基準について、少しお話させていただきます。

 ラジオ局の中にはリクエスト番組と謳っていても、局の方針でオンエアしない曲が存在することがあります。では、局の方針とは何でしょうか? それがいわゆる選曲基準と呼ばれるものです。

 大阪のラジオ局、FM802は選曲基準が全国のラジオ局の中で最も厳しいとされており、方針として、①演歌は流さない、②アイドルは流さない、③系列の音楽出版社を作って出版権を取った音楽ばかりを流すことはしない、を定めています。その結果として、ジャニーズ事務所、ハロープロジェクト、AKB48グループ、坂道系(乃木坂46など)、韓流アイドルなどの楽曲は原則として流さないという現象が起こっています(ただし、CMなどはそのまま放送されています。またBTSなどを2010年代後半から流すようになってきました)。
 
 1990年代後半に音楽業界を席巻した「小室ブーム」の際には「小室哲哉さんのプロデュースする楽曲を一切流さない」方針を取りました。これは「オリコンを参考にどの局も同じ曲をかけるようでは音楽シーンによくない」という考えによるものです。その結果、一時的に聴取率でライバル局に迫られたものの、小室ブームの終焉後には再び突き放すようになりました。

 一方、関東にあるラジオ局アール・エフ・ラジオ日本では1980年代にそれまでの洋楽、ロックを多くかけていた局の傾向から、一変して「社会の木鐸」を宣言。選曲基準として、若者向けの番組・楽曲を敵視し、演歌など中高年層を対象としたものに改めました。その結果、一部に熱狂的に支持するリスナー層がいたものの、全体としては聴取率が下がり、経営危機がささやかれるようになりました(現在は日本テレビホールディングスの傘下で経営再建)。

 このように、局のカラーを作っていく選曲基準は、ラジオ局にとってリスナーに選ばれてもらうための要素の一つであると言えます。エンターテインメントが多様化する中で、ひとつのジャンルに特化することは武器になると思われます。しかし、ひとつ方針を間違えると、途端に支持を失うことになりかねません。気にいったラジオ局を調べるのに、選曲基準をひとつの参考にするといいかもしれません。Wikipediaなどで調べることができますよ。

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