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脱・ホウレンソウが生産性をあげるワケ-マネジメントが理解すべき5つの実践と1つの工夫-

「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)は社会人の基本」と言われて久しいですが、私はそんなことはないと思っています。ホウレンソウが必要なのは、チームで意思疎通を互いに図りながら進めましょう、という意味としては納得があります。

もともとは上司が部下へのマネジメントとして、自らが報連相をしていこうという趣旨だったらしいこの言葉も、今となっては「部下が上司に常に報連相しなければならない」というような考え方になってきており、そういうものに頼らなくてはならないという考え方自体が非効率だと思っています。

あらゆる組織で、現状が上手くいかないから、報連相を徹底しろといって報告書を増加させたり、情報共有の名のもとに会議体を増加させたりして、結局は事業が回らなくなって墓穴ほってることが沢山見受けられます。そんなことを増加させても、寛容な仕事はうまく回らないです。単なる管理側の責任回避、精神安定剤であることがほとんどです。私はこれを「ホウレンソウ・シンドローム」と呼びます。

まちづくり事業の現場でも、またあらゆる事業の現場でも発生するのが、「報連相のコスト」です。上司からすると問題が発生する前に報連相を細かくしてもらわなければ管理できず、何かが起こった時に適切な判断や責任のとりようがないという考えがあります。

チームが「情報は隠すのではなく共有するのが当たり前」というコモンセンスは正しいとは思います。しかしながら、何より上司は部下をうまいこと働いてもらって、チーム全体での生産量を大きくすることが何より優先される目標です。このためで説明に係るコストは可能な限り削減したほうが合理的だと思います。

「報連相に係るコスト」をどんどん増加させていくと、上司にも部下にも、ついては組織全体にとっても2つのデメリットがあります。

(1) そもそもの事業にかける時間が削られてしまう

報連相を支えるのには、週一度の定例会議や、下手すると週報・日報みたいな話が出てきます。会議に向けた様々な資料を容易したり、報告書を策定するのに時間をかける場合、それなりに時間が費やされます。

1日1時間程度、説明書類を作成し、一週間(5日労働)で5時間。さらに定例やその他会議が週3時間とすれば、合計8時間になります。ほぼウィークデイ1日分の時間を説明に割くことになります。

場合によってはこの資料だけでは分からない、とかになってしまったら、ますますもって資料作成に時間を取られていくことになります。これでは、事業に割ける時間が徐々に少なくなり、内部の情報共有のため、ホウレンソウのために時間(つまりは労働コスト)が無駄に費やされることになります。

(2)「チームのモチベーションが下がっていく」

チームとして働いているのに、管理する側、される側。説明する側、される側。という対立関係が発生し、何より内向きで批判されたり、何かを説明して、それに指摘されてというプロセスそのものがネガティヴなものです。同じチームなのに「理解していない」ことを前提とした関係で、いい仕事ができるとは思えません。徐々に内向きな説明会議に時間を費やしていくと、これまたモチベーションは下がる一方で、事業に悪影響が生まれます。

このように報連相にかけるコストは可能な限り下げたほうがいい、意思決定者は自分の会社や部署で報連相の徹底をすればするほどに、事業は上手くいかなくなると思います。

そのため、できるだけこれを最小化する方策を考えたほうがいいと思っています。意思決定者は自らの手を使って情報を把握し、迅速に決断していくことが仕事であり、部下に情報提出や説明を強要して彼らのリソースを使わないように尽力したほうが得策なわけです。
一貫して言えることは「業務の中でいつの間にか報連相ができているようにする」ことが重要であるということです。業務を進めることとは別に、報連相を要求してはいけない。だから業務を進めているとそのうちに報連相で必要と設定する情報が共有されているようにすることがマネジメント側の工夫のしどころとおもっています。説明しろ、と共有するのは誰でもできる愚行であることは先に述べたとおりです。

具体的な方策として大きくわけて5点があると思います。

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