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農業と商業など分野が変われば問題構造は一緒。7つのポイントをもとに今一度読んでもらいたい対談。

農業とか含めて今時代に併せた、スモールスタート型の事業について考えてて3年ほど前、久松農園の久松さんとWedgeOnline企画にて対談させて頂いたことを思い出しました。以下にまだちゃんと残っているので読んでみていただければと思います。

◯連載対談「縮小時代を生き抜くための「収支」思考」

【1】誰とどうやって手を組むか  縮小時代を生き抜くための「収支」思考(1)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5406
【2】「これで安泰」といえる時代は終わった 縮小時代を生き抜くための「収支」思考(2)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5408
【3】「もっと全体を見ろ!」は不毛だ 縮小時代を生き抜くための「収支」思考(3)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5409
【4】二宮金次郎はクラウド型支援の先駆者だった? 縮小時代を生き抜くための「収支」思考(4)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5410
【5】地方は縮小時代のフロントランナー 縮小時代を生き抜くための「収支」思考(5)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5411

久松さんは新規参入型の高効率小規模農業を実践しつつ、そのあり方を書籍なども含めて唱えている方です。

◯ 小さくて強い農業をつくる  https://amzn.to/2EUIwxE

◯ キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)  https://amzn.to/2vp5vkI

私は主として商店街などの地方都市の中心部再生と向き合ってきています。最近では、都市経営や地域再生全般に関係して取組みをしていることもあり、商業分野に限らない異分野の方とお会いすることも多くなってきました。

久松さんもそんなプレーヤーの方の一人です。特に、実践しつつ、効率を重視しながら、その方法を体系化し、さらに他地域にも導入していこうとされているという意味では、分野が違えど志を同じくできる方だと思いました。

さて、この対談を通じて改めて感じたのは、縮小時代対応は農業も商業もその他もそもそも抱える構造問題は同じということです。この他にも林業、水産業についても同様の話を別の形としたことがあり、やはりこの分野は違っても構造問題は一緒というテーマについては今後もちゃんと整理すべきことだなーと思っています。

主としてこの対談で感じたのは、以下の7点の共通課題です。またこれら課題に対して、ディテールは違えど、結構同じような解決策を模索していると感じました。

『縮小時代対応、7つの共通課題』

(1)各産業=業界団体となって、産業が隠れ蓑に既得権化
→各分野の産業としての役割こそ大切。しかし、その産業=業界団体と一体的に語られてしまうことが多い。
 (ex.農業なら農協、商業なら商店街

(2)補助金などの既存事業者の保護政策で新陳代謝が起こらない
→非効率事業者が温存されることが産業政策になってしまう。本来は新陳代謝を促進するほうが産業政策。
 (ex.既存の兼業のカタチだけ農業者、ボケ防止でやってるやる気ない商店

(3)拡大社会における事業手法を引きずり、事業が頓挫するのだが、方法を修正をしない
→補助金政策などが拡大時代モデルのまま存続させる前提で、高効率化するインセンティブがなくなる
 (ex.巨額耕作機械投資などをさせる農業、再開発などで再生目指す商業

(4)拡大が都市から始まった一方、縮小は地方から始まっている
→従来は都市からパクればよかったが、今は地方のプレーヤーが独自に考えなくてはならない。特に政策に従って補助金もらったり、業界団体と付き合うとかは解決にならない。(1-3の問題)
 (ex.政策的に提案される内容を予算をもらってやってきて今の農業・商業がある。つまりもはや地方には通用しない。だから地方の厳しい条件下でのケースをもとにして地方同士での学ぶことが必要

以下はこのような問題構造に対する個々でできる対応策。

(5)営業先行で、それに沿った投資・拡大すれば健全成長する
→先行投資、営業は後回しという成長時代の方法の逆をいく、先行営業・投資
 (ex.固定客300人を抱えて月額課金で野菜販売、既存ビル管理の効率化で事業基盤作る

(6)規模より効率が最優先とする
→規模を追い求める前に小規模効率化を図り、そこから成長させることが最優先
 (ex.固定客・固定取引先に最適化した高粗利農業、卸小売ではなく製造小売の商業

(7)積小為大で順次やり方を変えていく
→小さな積み上げから大きな成果に繋げる。すぐに大きな話からはいるのが良いとする拡大社会の考え方、やり方から精神的に脱却しなくてはならない。着実な小さなことは大に繋がる。その段階段階でやり方を変えていくことが大切。
 (ex.日本全国の農業を一律"救う"方法などを求めることはない。産業なのだから多様な事業が切磋琢磨すれば良い。商業も同様に全国の商店を救う方法などはない。だから個別での成功ケースをしっかりと分析してフレームに整理し、複数地域で事業が発生し、さらにそれらが合同して政策につなげていくことが大切。

分野が違えと、これらの問題は共通しています。これらをどう各分野で打開していくかというのは、結構個別チャレンジは生まれているので、あとは着実な事業的な成長と政策連携というあたりだなと思っています。

フレームは一緒のまま自分の分野に置き換えて考えるという意識で対談を今一度読んでもらえればと思います。

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