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【第四期狂犬ゼミ】なぜリッター80円だった生乳が今や1000円を超え、80人の集落に20人が移住する村が生まれようとしているのか。(動画レクチャー付き)

限界集落という言葉が出るともはや何もできないように思うか、むしろ人数が少ないからこそできることが山程あると考えるか、それが「限界」を感じる人と、「希望」を感じる人の違いなのかもしれません。同じ環境でもどう捉えるか、によって全く違う見え方するものです。

人がいなくなるから村がなくなるんじゃないんです。
人が諦めるから村がなくなるんです。

第四期狂犬ゼミの締めくくりは、そんなことを感じさせてくれる北海道江丹別のブルーチーズドリーマー伊勢さんに登場してもらいました。

本も出されていますので、ぜひお読みください。

そんな伊勢さんと今回改めて話して思ったのは、農業、酪農にまつわる一般的なバリューチェーンから離脱し、独立した道を歩むというチャレンジが、単に家業の立て直しだけでなく、個人の人生の肯定感を生み出し、さらに希望がないと言われていた集落に明るい未来を作り出すということです。

○ 小さな村の大きな挑戦

江丹別は旭川市から北にいったところにある小さな町です。伊勢さんのいるところの集落は今は80名ほどしか住んでいないそうな。

そんな中で、こだわって牛を育てていた伊勢さんのお父さんは、小さな酪農家でもあったこともあり、一般的な生乳買取価格では生活は本当に厳しい状況だったそうです。リッター80円とかそんなものだった中で、数十程度の牛を飼料やホルモン剤などに頼らぬ自然の育て方で生計をたてるというのは本当に過酷だったようです。

その中で子供の頃の伊勢さんは、この地元を離れたい、酪農に関連する仕事は嫌だと思いながら育ったそうな。

だけど進学した高校での生活の中でとある人と出会い、海外の話をきいたときに「ヨーロッパとかでは小さな村でもチーズを作り、それが高い評価を受けているんだ。お前の実家は酪農やっているなら、もっと真剣にチーズとかをやったほうがいい」という話をされて、ビビビッときたそうな。

それから帯広の畜産大学に進学し、独学で地元でチーズ作りを始めることになるわけですが、それがまさかの「ブルーチーズ」を選んだそうな。

○ ピンホールマーケティングの見本の一つ

伊勢さんのブルーチーズ選択はまさにピンホールマーケティングの典型です。ピンホールマーケティングについては以下にも解説入れているので詳しくは読んでほしいですが、小さな市場に特化し、そこで徹底的に優位性を築いて稼ぐという戦略です。

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