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夫の改姓

私が女だという事で「あんたが嫁に行ったら坂倉家は途絶えてしまうねぇ」というのが大叔母の口癖でした。

坂倉家が途絶えようがどうなろうが、私にとってはどうでもいいことだったのですが、大叔母には幼い頃からこれでもかというほど可愛がられていたので、

「そんなに坂倉の名字が大事なら、策を講じてみようかなぁ」

と漠然と考えていました。

また、女性が結婚すると、大半が自動的に夫の姓を名乗るようになるのは何故だろうというのは、子どもの頃からの疑問でもありました。

そこで、結婚前からことあるごとに夫に対して、

「坂倉に来ないかい?」

とささやいていました。

結果、夫は改姓し、坂倉を名乗ることとなりました。

大叔母は狂喜乱舞してくれ、私はうれしいと同時に肩の荷が下りたように感じました。

商売をやっているわけでもないのに、家とか名字とか、高齢の人にとっては重いものなのですね。

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