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普通自動二輪免許(小型限定)を普通自動二輪免許に限定解除してバイク買った話

去年まで乗っていたGSX‐S125。
人生で初めて買ったバイクだった。

いつからだったか、漠然とバイクに乗りたいという思いを描き続けてきた。
今から5年前に就職し、そこから資金を貯めていった。

当初は最初から大型二輪という選択肢すらあったが、実際に就職して貯金をしていく中で気が付く。

お金って、貯まらなくないかぁ?


1年目の社会人の給与の薄給具合を完全にナメていた。
加えてオタ活やゲーミングPCの環境も並行して強化していた。
お金など貯まるはずがない。
そもそも、このまま漫然とお金を貯めようとしたって何円貯めれば良いのかすらわからない。

そこで、バイクに乗り始めるために必要な貯金額に対するイメージを持つために試算してみることにした。

【初期費用】
普通自動二輪免許:150,000円
ヘルメット:30,000円
グローブ:10,000円
ジャケット:20,000円
シューズ:10,000円
バイク本体(YZF-R25):650,000円
自賠責保険:7,000円
任意保険:40,000円(年間)
合計:917,000円

合計:917,000円…。


合計:917,000円!?!?!?!?!?


絶望したっ!高額な目標額に絶望したっ!

バイクに乗るという些細な夢にさえ難儀している自分に…

絶望したああああああああっ!


打ちひしがれた。
ただでさえボーナス月以外はじりじりと赤字の毎日。
90万円という金額が用意される頃にはバイクなどどうでも良くなってしまっているのではないか。
そんな考えが浮かんだ時に、自分がつまらない思考をした人間になっているような気がして怖いと思った。
それでも怖いと思うばかりで行動しないまま1年が過ぎた。
相変わらずバイク乗りへのステップは踏み出しているとすらいえない状況のままだった。

しかしここで状況が一変する大きな出来事が起こる。
パンデミックである。
私の支出の多くを占めていた現場型オタ活は感染症対策の名のもとに休止状況とならざるを得なかった。

毎月の収支はプラスに転じ、資金は貯まり始めた。
一方で休日はゲームとアニメしか打ち込む事がなく、仕事も繁忙であったことも重なり、メンタルがどんどん弱っていくのを感じていた。

そんな時だった。
普通自動二輪免許には小型限定という免許があり、普通自動二輪と比較して3万以上安く、かつ6回少ない教習量で入手できるという情報を名前も知らないバイク系youtuberの動画で偶然手に入れた。

今思えばそんなにお得でもないし、気の迷いだったと言い切ることが出来るが、当時の自分としては何でもいいので踏み出す理由が必要だったのかもしれない。

結果的に乗ることになったGSX‐S125は本当にいいバイクだった。3年乗った。

小型限定免許で乗れるバイクは125㏄以下のバイクだ。
125㏄以下というのはいわゆる原付二種と言われる区分で、一般道は自動車と同様に時速60キロまで出すことが出来るが、高速道路に乗ることは出来ない。
それでも初心者ライダーのツーリングなど距離にして200キロがせいぜいで、それ以上の距離を【楽しんで】乗ることは疲労などから結構難しい。
なので、高速道路に乗れないという点はそんなにマイナスに感じることはなかった。

しかし、JACK-CHOO先生は言う。
「人とは愚かなものです。特にお前。(※言っていません)」
福島の山の中では125ccのエンジンパワー不足がどうしても気になった。

そうだ。250㏄に乗ろう。
そう決意してからはすぐに行動した。

乗り換え費用を錬成するために、競売サイトでGSX-S125を売り払った。
新車で買って三年間乗った愛車が引き上げられる様を自室から眺めている時には流石に泣いた。

バイク乗りとしての自分もバイクとしてのGSX-S125も、一緒に公道に飛び出した。
決断したのは自分だが相棒との別れはいつだって辛い。

去り際にGSX君も「あばよ。」って言ってる気がしたんだ。

10月末にバイクを売り来春に新しいバイクを買う計画である。
お互いに新しい未来に向かって歩き出した。

色々な絶望が待っていることも知らずにガンギマリ笑顔で歩き出した。

             



 

              -A FEW MONTHS LATER-

4月になり新生活が始まった。
仕事の都合で会津から須賀川へ引っ越した。

須賀川にはレッドバロンがあった。
レッドバロンに行くと店長がさわやかスマイルで接近してきて気が付くと脳内にある理想のバイク像をべらべらと喋る自分がいた。
店長「なるほどですねぇメガネクイッ!!!」(※店長は裸眼です。)

店長によればバイクに乗る決意が出来たならまた当店へご来店するがいいとのこと。
決意なんてモンはとっくに出来ていたので、翌週に教習所を申し込んだ帰りに軽率に再度レッドバロンに立ち寄った。

そこには奴がいた。

いや俺が心の内で欲しいと思っていた車種の欲しいと思っていた色のヤツゥ!!

これ店長やってんなぁ。
入店2秒で目に付くところにコイツが展示してあってその横でドヤ顔の店長が。
「跨ってみませんか?」
店長、悪魔の様な一言。
ダメだろ。跨ったら。
買っちゃうだろ。跨ったら。

結論から言うと跨った。
跨ったし、買った。

運転免許はまだ取っていない。
自分のチョロさに絶望した。
教習は明日からだ。

順番なんてどうだっていいのかもしれない。
GSXの時と同じ。
きっかけさえあればいい。
そう言い聞かせてレッドバロンを後にした。
「やってしまった。」
帰りの車中でそう呟きながらも、きっと私の顔は満点笑顔ではっぴはぴだったのだと思う。


      ‐地獄の自動車学校編‐

教習は全部で5日間
1日目:急制動
2日目:クランク・S字・一本橋
3日目:適当に周回
4日目:見極め(テスト)コース周回練習
5日目:見極め本番
6日目:卒業検定

とにかく時間がない。
見極めと卒業検定はコースを覚えなければならない。
通常のバイクの教習では15回以上練習できるが、私のように限定解除の教習の場合は練習は実質4日目までしかない。
コースを覚える前にあっという間に本番だった。

こんな感じのコースを3種類覚える必要があるがこれが意外とムズイ。

5日目の見極めもコースを間違えながらもバイク自体はしっかり乗れているからOKという事で合格した。

しかし問題は卒業検定だった。
当日は朝8時集合でそこからコレをやったら不合格❤
という内容を10分以上延々説明される。
緊張も相まって冷える受験者一同。

私の前に本番を迎えた同年代の受験者がコースで戦うのを眺めていた。
ピピー。
無残にも笛が鳴り試験中に失格…
失格した彼の顔。
忘れらんねんだわ。

指先の神経がジンジンと緊張を伝えるのがわかる。
名前が呼ばれ、試験を開始するように命令が下る。
周囲の安全を確認してバイクにまたがる。
エンジンをかける。
そこから先は記憶がない。
確かなことはゴール直前で笛を吹かれ、失格を告げられたことだけ。
敗因は緊張していたことで安全確認などを怠り、じりじり減点されたことだろう。

地獄です。
追試費用は1万円でまったく泣けてくる。
1週間先まで教習所の予約は満杯で仕方なく1週間後の追試を予約した。

屈辱の1週間。
仕事中も日々なんで落ちたのか具体的に考えた。
それでも結局記憶がないからよくわからなかった。
多分すごく緊張していた。
もう一回遊べるドン。そう唱えて考えるのをやめた。

追試本番当日。
尋常な人ならば「イメージするものは常に最強の自分」
そんなメンタリティかもしれない。
だがそれではいけない。
その態度では課題に挑んでしまっている。

一回目の失格で学んだことは何か。
正面から挑んではいけない。
「イメージするものは常に最強の自分」
そんなかっこいいメンタリティじゃない。

ヘルシェイク矢野の事を考える。

これだ。
バイクにまたがってからはずっとヘルシェイク矢野のことだけを考える。

「無意識の中でこそ本領を発揮できる」自分自身の性質が裏返って「本番に弱い」という性質につながっている。
そんな自分に気が付くことが出来た。

実際にヘルシェイク矢野の事だけを考えてコースを駆け抜けた。
受かった。

そして。
納車した。

色もデザインもカッコ良すぎないかって話。スズキ最高!!

ジクサーSF250
大事に乗っていくぅ!
オサイフ大統領に相談しながら少しずつカスタムしていければと思う。



ところでこのブログのタイトルは
普通自動二輪免許(小型限定)を普通自動二輪免許に限定解除してバイク買った話
だが、実際は
バイク買って普通自動二輪免許(小型限定)を普通自動二輪免許に限定解除した話
でしたので謹んで訂正いたします。
おちなし。🍐




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