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祝・新作発表記念 ー首都高バトルの思い出を振り返ってみるー Part.4 「首都高バトルZERO」

※AnTytle様の動画を掲載させて頂きました。

ドリームキャストでリブートされたシリーズの集大成ともいえる、初のPS2でのリリース作品となった「首都高バトルZERO」。2でのコンセプトを基本的に受け継ぐ形の移植作でありながら、車種とライバル数も増加し、様々な追加要素も収録された、文字通り最終進化を遂げた名作であり、現在も一部ではプレミア価格で取引されるほどに人気の高い作品でもある。

実を言うとZEROの発売日前後に、当時中学2年であった自身もインターネットという仮想空間に出没し始めることになる。これは実家のネット環境の大幅な変化による恩恵でもあったのだが、そうした様々な幸運が積み重なり、後の「ドレスアップコンテスト」からの「衝撃のホワイトドッグ」という流れが生まれてくるのである。

当時の元気株式会社は、他社に先駆けてユーザー同士の交流やスタッフの方々との意見交換等も含めた「掲示板」を、他社に先駆けて公式HP内の一角に開設されていたのだが、その交流の場で「衝撃の13歳」というハンドルネームを用いて書き込み始めたことで、自身もネットデビューを飾ることになった。仮に、該当の掲示板が開設されていなければ、ネットの世界を遠目で覗き見ることはあっても、ネットの世界で世界中に発信する機会も意志も生まれなかったかもしれないので、その意味では非常に貴重な機会を僅か13歳の時点で、とあるゲーム制作会社を通じて頂けたことにもなる。

こうした自身の個人的な背景も相まって、ZEROという作品への想いは今でも特別なものとなっている。しかもこの作品を通じて、公式主催のドレスアップコンテストに出場し、その参加者特典として「衝撃のホワイトドッグ」が爆誕することになったのだから、自身の青春を彩る大切な1頁と言っても過言ではないだろう。ZEROがこの世に発売したからこそ、インターネット上で大人の方も同世代の方も含めて、共通の趣味で盛り上がる空間を知り得る機会を得ることが出来たし、そのリリースから20年後に「みんなのカリス…いや、トラウマ…(笑)」として認知されているサプライズも体験できたのである。

まぁ、そういう思い出話に浸ってしまうと、無駄話が永遠と続いてしまうので一度切り上げるとして…(笑)一連のことについては改めて、「衝撃のホワイトドッグ」爆誕に関する記事をご覧いただければ幸いである。

ZEROをプレイしていてまず驚いたのは、時にマニアックな需要でしかない「左ハンドルの日本車」が、公然と収録されていた点である。これは映画「ワイルドスピード(※当時はスポコンブームの伝道的な側面の強い作品であった)」のブームに絡んだ海外市場を意識してのことらしく、どなたかの情報によると「ワイルドスピードの予告編」が海外版に付与されていたとのことで、暗に映画作品とのタイアップ的な要素もあったのだろう。

ホンダならEKシビック・クーペと現地専売のアコード(クーペも含む)そして、三菱は映画ワイルドスピードを象徴する車種である「エクリプス」も収録されていたが、どちらもチラリと左ハンドル仕様であることが分かる演出が見え隠れし、その拘りに中学生ながらに感心させられ、また大いに感激させられたのだった。

(※三菱エクリプスは、1999年発売の首都高バトルの海外版で既出であったらしいが、国内版での収録はZEROが初とのこと。詳細は下記に掲載の@wiki様のページご覧いただきたい)

カスタムにおいても、先に触れたシビックやエクリプスで、いわゆるスポコンカスタムを準再現できるほどにはパーツが揃っていたし(ホイールのインチアップに限界があったのは少し寂しかった)北米仕様のアコードについては「ノーズブラ」という、米国の雨量の少ない乾燥地域で主に用いられていたパーツまで収録されていて、こうした粋な演出も尚スポコン好きとしては心くすぐられるばかりであった。尚、ノーズブラについてのトリビア的な解説は下記のCar-me様のページで掲載されているので、ご興味のある方は是非ご覧いただきたい。「元々はメーカーのカモフラ用だった」事実は初耳であった…(笑)

他に、往年の名車であるR30型スカイライン絡みでは「某刑事ドラマの秘密兵器」、をサンプリングしたエアロパーツ(?)がしれっと収録されていたり、Abflugといった実在メーカーのエアロパーツを纏ったスペシャルカーをコンプリートカーとして購入出来たりと、ZEROにおける車種の幅広さと遊び心の無限大的な魅力は、本当にシリーズでも屈指のものであったと思う。余談だが、Abflugはライバルチームとしても登場しており、シリーズきっての強敵として「衝撃のホワイトドッグ」並みに多くのユーザーを苦しめたとか、なかったとか…(笑)

そして、ZEROは今のところ、一部作品における「メーカーを象徴する何かを冠しない」スペシャルカーとしての登場を除き、ホンダ車が「カモフラ」を纏い収録された、現時点で最後の作品となっている。というのも、次作の01において、悲願でもあったという実名収録が実現した代償として、ホンダ車の存在しない世界観としての「首都高バトル」が爆誕することになってしまうからだ…。その意味でも、この作品に対する思い入れが深いのだろうし、01に「自身」が出演を果たしたとはいえ、どこか作品に対して一抹の寂しさを覚えてしまうのだろう。

ZEROの追加要素はこれだけに留まらない。本作で初めて、というより不可解に「オービス」が採用されたのだ。オービスとは警察が運用を続ける「自動速度取り締まり機」のうちの1つで、主に免停レベルの速度違反を車種と該当ドライバーごと撮影する方式なのだが、この作品ではその「取り締まり」の瞬間が見事に再現されているのだという(笑)

というのも、ある一定以上の速度で該当の箇所を通過すると、凄まじいまでの紅い旋光にプレイヤーが晒されることになるのだが、これぞ取り締まりの瞬間の再現であり、しかも実際に終了後に「反則金」を支払うハメにもなってしまう。さすがに免停といった実要素までは収録されなかったものの、新規ライバルに勝利した際の賞金程度であるので、ゲームの進行具合において大きなダメージこそ少ないものの、実際の支払額に近しいといえば間違いでもない印象なので、どこか複雑な気持ちになってしまったのも忘れられない…(笑)

しかしこのオービスの要素も、01では「サポート車両たるアザーカーのみが並走する、公道を完全封鎖したサーキット」という建前故にアッサリ廃止となってしまった。流石に閉鎖路という設定で速度違反の取り締まりを再現するわけにもいかないし、遊び心で追加するにも許諾したメーカーに対して、あたかも交通違反を推奨するような演出を引き継いでしまうのは、流石に不謹慎であったのだろう…(汗)01は首都高の再現度や実車収録も含めて、シリーズ屈指の名作であることは疑いの余地がないのだが、一方で廃止となってしまった要素も含めて、いわば「表現の自由」を犠牲にした側面も多く、その意味ではシリーズとしては賛否両論の側面もあったのだろう。

こうした表現や演出の自由度の高さ故に、様々な遊び心が散りばめられた名作でありながらも、同時に不満点というより改善点や賛否両論点も複数存在していたのも事実ではある。まずは、ライバルの難易度なのだが…実を言うと、ZEROのライバルはコーナリングが異様に遅い印象を持ってしまい、それ故に勝敗が圧倒間についてしまう傾向が特に環状線等のエリアで多く、確かに勝ち方が明快であったという意味では、ゲームを進める点では非常に有難かったのだが、ゲームバランス的にはある意味致命的な印象も否めなかった。01においては若干の改善は見られたものの、やはり同様に賛否は分かれている意見も暫し見受けられた。

次に、コース幅についての賛否も掲示板を通じて結構見受けられた。幅が広すぎて非現実的すぎるので、出来る限りもう少し狭めてほしい、よりリアリティをもって再現してほしいといった意見も多く、後に01ではそうした声にこたえる形で、現実的に再現されることになったのだが、この頃の幅広のフィールドも実は個人的には好きではあったりするので、これについては一長一短なのだろうし、その作品自体のコンセプトにも大きく左右されるのかもしれない。

また、2で大評判であったループ機能が廃止されてしまったのも、率直に残念であった。恐らく「意図せず廃止した」のではなく「無意識的に採用しなかった」という説明のほうが正確らしいのだが、これだけのボリュームの作品を何度も積み重ねて遊ぶことが叶わないのは寂しいし、復活の要望も掲示板上に多数見受けられたこともあり、01では幸いにも採用される形となっていた。もちろん、噂される次作においても、採用して頂きたいところではある。

ここまで作品について色々と思い出せる限りで書き連ねてみたが、なんといっても自身にとっての一番のハイライトは「ドレスアップコンテスト」である。

上記のBBBさんが纏めてくださった動画も併せてご覧いただきたい。これまでの人生で一番注目を集めた機会でもあり、20年前の不運も含めた一連の出来事が今になって回収されることになったのも、最早運命にすら感じられてしまう…。ちなみに、シビック推しでもありスポコン被れであったにもかかわらず、あえて国内仕様のアコードセダンを選択した理由は「マイナー車で渋めの魅力を感じたから」である…自身がそうした車種を好みとする側面も否定できないが、中学生ながらに奇をてらう傾向にもあったのかもしれない…(笑)

こんな機会を頂けたレースゲームは、後にも先にも首都高バトルZEROだけであった。どれほど時が過ぎようとも、この作品は本当にいつまでも大切にしたい思い出の1つである。

※追記  @wiki様での解説を読んで感じたこと

〇LPSという画期的だが扱いづらい追加要素

一定以上の走行距離を1車種で走破すると、新たなアップグレードパーツを購入することのできる「LPS=Love Power System」。この新要素の解放は普通にゲームを進行させていくだけでは容易ではないため、基本的にゲーム機本体を夜通し酷使して、強引に達成させる方法が生まれてしまうほどに、ある意味悪名高いシステムともいえるのかもしれない。自身もひっそり夜中から明け方まで、この方法で幾つかの車種のLPSを解放したが、深夜にPS2を稼働しながら就寝に入る光景は、今思うと奇妙であったのだろう…(笑)

その方法としては、バトル終了後の選択画面でそのまま入力せず待機すると「フリーラン(画面焼け防止)」モードに突入するので、あとは一定時間「放置しておく」だけ。注意しなければいけないのは、この際に「リプレイ画面」にしてしまうと、それまでの走行距離が全てリセットされてしまい、PS2への長時間の負荷もすべて水の泡となってしまう点である。自身も確か一度だけ、折角10時間ほど稼働させたのに、1つの入力ミスで台無しにしてしまったことがあり…(汗)

〇「docomo iモード」との謎の連携要素

こちらも謎要素ではあるが、恐らくDC版の追加コンテンツを意識しての導入であったのだろう。残念ながら、携帯電話の利用許可は高校生からであったので、そのころにはサービス自体が終了してしまったため、結局この機能を利用することは叶わなかったのだが、恐らく普通にプレイしていく上では「おまけ」の要素が強い印象なので、DC版の追加コンテンツと比較しても「享受できれば幸運であった」位の印象ではある。


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