見出し画像

なぜ女の子はヴィランに惹かれるのか。

「なぜ女の子はヴィランに惹かれるのか?」

「ヒーローは世界を守るために君を犠牲にするけれど、ヴィランは君を守るために世界を犠牲にするから」

 このセリフを耳にしたり目にしたことがある人も多いのではないだろうか?
私はつい先日、この言葉を実感した。

 女性が落ち込んでいる時、男性は解決策を提示したがる。もしくは正論を言いたがる。
という定石があるけれど、女性が落ち込んでいる・怒っている時に欲しい言葉はそういう事ではない。

 そもそも、何か落ち込む事があった時、自分にも非があった場合はきちんとそれに気づいているし、今更、考えていてもしょうがない事が多いって事も理解している。
 「落ち込んでいても仕方ないし、次から気を付けよう!」
 なんて、すぐに切り替えられない人の方が多いのではないだろうか。
少なくても、翔英はそう。すぐに切り替えるって事を練習してはいるけれど、なかなか、「はい、次々―!」なんて、心が追い付かない。

 私は数か月前、急に今やっている仕事が終わる事になった。
納得できない事が多い出来事だけれど、いつまでも落ち込んでいても、私の仕事は降ってこない。すぐに就職活動を開始する。
 とはいえ、言ってはなんだが、その仕事をめちゃくちゃ頑張っていた自覚があった。比較するのは良くないが、周りの、私と同じ立場の人よりも少しだけ、責任のある仕事も任されていた。私がしなくてもいい仕事もしていた。周りの人とも、仲良く仕事をしていた。
 だけれど、色々な要素が絡まり合って、私は今の仕事を終了する事が決定。
頑張っていた期間が長かったから、ダメージは大きかった。気にしないようにしようとしても、心には「なぜ?どうして?」と悲しみが広がる。

 そんな中、慎吾と喧嘩をした。
喧嘩と言っても、お互いをののしり合うような、声を荒げるような喧嘩ではない。私の中で、パキンと冷静にヒビが入った。
 慎吾は、明るくて自分に自信がある人間だ。
だから私がとてつもなく落ち込んでいるこの状況で、
「気にしてもしゃーないやん」
「翔英も、考え方変えるべきだよ」

と。
今の私には、その正論がきつかった。
もう少し元気であれば、「そうだよね!」と言えたかもしれないけれど、
今はそこまで回復していない。今はその前段階。
私はただ、寄り添って欲しかった。
「そんな会社、辞めて正解だよ!」「翔英はよく頑張っていたよ」「その会社、潰れてしまえばいいのに!」
と、そんな事、本当は思っていなくても、全部私の肩を持って、ただただ、一緒に悲しんだり、怒ってほしかった。

 慎吾のその対応は、私の悲しみが、さらに深まった。
もし今、ヴィランが目の前に現れて、
「君を悲しませる世界なら壊してしまおう」
と言われたら、私はもう、一生ついていくだろう。

これって、よくある男と女の脳の違いってやつなんだろうなぁ。
男はアドバイスしたがる、女は聞いて同調して欲しいだけ。

そう考えると、ヴィランってすごく女ごころが分かるやつなのかもしれない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?