最近見たアニメについて2024冬


葬送のフリーレン

 素晴らしい作品だった。アニメとして気合いの入り方も金の使い方も尋常じゃなかったのだと思う。毎週毎週楽しみで仕方なかった。勇者ヒンメルの死後、という設定が、ただの背景として以上に機能していると思う。ことあるごとに、本作の主人公はフリーレンではなくヒンメルなんだなと思う機会が多かった。伊坂幸太郎のゴールデンスランバーを読んだときに、森田というキャラが最序盤で死んだ割に最後まで凄まじい存在感を放ち続けるのだが、それに近しいものを感じた。ただ森田はあくまで主人公たる青柳の友人であって、主人公ではなかった。だがヒンメルは主人公だったと思う。この言語化は難しい。それにしてもフリーレンは本当に美人だよな。良いキャラデしてるわ。

 私は去年末に帰省した際、今期の覇権はフリーレンだと家族の前で力説した。父は全く覚えていなかったようだが、妹はちゃんと受け止めていてくれたようで、この間実家に帰ってみると見てくれていた。妹曰く「フェルンは私の娘」だそうだ。…おまえ中一のくせに何を言ってんだ。

 妹曰く、フェルンとシュタルクがくっつくのは許しがたいらしい。この辺の価値観は私とは合わない。シュタフェル尊いだろ!それに半公式じゃん。推し甲斐しかないだろ。こいつ夢女子の類か?自分×フェルンの民か?

 と私は早合点しそうになったが、そういうことではないらしい。曰く、確かに友達に自身×キャラの関係に拘るやつもいるが、私はそいつらとは違う、壁で良い、壁にさえならなくてよいという精神性であるということだ。じゃあなぜシュタフェルが受け入れがたいのかと言えば、妹はフリフェルの民でもあるからである。どちらかと言えばフリーレン×フェルン×シュタルクの三人パーティの関係性の中におけるフェルンが好きという建付けなのである。この立場から言えば、シュタフェルCPの確立はフリーレン-フェルンの関係性を変質させることによって私の好きなフェルンではなくなってしまうということらしい。それなら結構わかる。色々と立場があるのものだ。ちなみに妹曰く
ラヴィーネは女受けしないらしい。それもありそうな話だ。

 話を妹との議論から私自身の感想に戻そう。眼鏡君ことラントは好き。クール系というかダウナー系というかそういう系統の理想なんじゃないだろうか。好きです。レルネンも好き。強いおじいちゃんは大好物。今回は活躍が少なかったが、次の章ではある程度出番があると聞いているので楽しみである。ユーベルも好きなのだが、ブルグを殺したシーンがきついので手放しでは喜べない。あのシーンきつくない?真っ二つになったブルグがあまりにもいたたまれない。うーん…。ユーベルは悪くないんだけどね。本当に悪くないのか…?

 OPはどちらも素晴らしかったと思う。私は勇者がすごく好きだったので、晴るは微妙かなと思っていたが、聞けば聞くほど良くなってきて最終的には甲乙つけがたい名曲揃いだったと思う。

 二期の発表が無かったのは意外だったが、まず間違いなくあるだろう。10年位前までサンデーは休刊秒読みかとか言われていたイメージがあるので、こんな大ヒット作が出てくるのは非常に面白い。きっと本作は丁寧に育てたいというのが大本営の意向であろうから、人気に頼って勢いで二期まで突っ走るのではなくいったん落ち着こうということなのだろう。

 それはそうと、初回放送が長尺だったという点やyoasobiを起用してOPが大ヒットするなど、推しの子との共通点も感じられた。これらは作劇上の共通性というよりは売り出し方の類似性というべきな気がする。推しの子も虎の子大エースの満を持したアニメ化という点でも共通していたので、今後はこれがトレンドな売り出し方になるのかもしれない。そういうのも興味深い。

青の祓魔師 島根啓明結社篇

 前回の京都篇から結構間が空いてしまったために忘れてしまっている部分も多かったが、見ているうちにだんだん思い出してきて楽しめた。今回の軸はやはり何といっても志摩と出雲であろう。それにしてもまさか志摩が裏切り者だとはねえ…。序盤の動きは明らかに宝が怪しかっただけに、まさかお前だとはという感じで見事に騙された。素晴らしい展開だったと思う。

 やはりもう一方の軸である出雲に言及しないわけにはいかない。母玉藻がどうしようもない大人ながら愛されキャラだったものが不倫相手との関係が拗れるにつれて病んでいって最後は九尾に取りつかれてしまう展開は本当にキツくて良かった。そして何より、すべて終わって最愛の妹・月雲と感動の再会を果たすはずが忘れられてしまっているというあまりにも悲しすぎるオチ。救いは無いんですか…?結局、しえみや朴などの友人に支えられて出雲は塾生たちの輪に戻っていくのだが、それにしても悲しい。祓魔師見習いという自分の立場を考えればもう出雲は月雲に会えないのだろう。宝家に保護されている限りは安全であろうから、自分から接触するのはリスクでしかない。でもさぁ…。妹のためにずっと戦ってきてたんじゃないの…。出雲が泣くシーンは僕も泣きたくなりました。

 そして志摩ね。最終盤で実は二重スパイだったことが明かされる展開は流石に熱い。激熱。憧れるよね、二重スパイ。まぁ志摩はあまりかっこいいような立場ではなさそうだが…。京都組の友情も感じられて本当に良かった。

 あと言っておくべきことはuverがかっこよすぎるということである。uverはずっとかっこいいよな。今期のOPも最高でした。4期も決まっているらしいのでその楽曲も楽しみである。

継母の連れ子が元カノだった件

 古き良きラノベアニメという感じで最高であった。親が再婚して義理の姉/妹ができるなんて中高生の頃なんど妄想したか分からない。男のロマンそのものではないだろうか。

 印象深いところはいくつかあるが、まず挙げるべきは水斗が結女に席次一位を譲ろうとしているのに気づいた結女がキレ、やってやろうじゃねえかよこの野郎となった水斗が一位を勝ち取るシーンである。普通に見れば水斗カッケーであろう。だが、見ようによっては信じられないくらい鼻につく奴だともなりかねない。その点私は、鼻につくという感触は覚えなかった。何を隠そう、私は高校の頃学年で一番成績が良かったからである。同類だね!水斗君、その感じ分かるよ!カッケー!

 …というのは嘘ではないだけで全く不正確だ。私の高校は偏差値50あるかないか程度、一方水斗や結女の通う学校はモデルと同じなら偏差値70オーバーの京都最難関校の一角である。わたしなんてあしもとにもおよびません。そもそも高校の頃の成績とかを引き合いに出して恥ずかしくないんか。

 とまぁ青春のロマンを思い出しつつ、私は本作になにやらねじくれた共感を覚えていた。しかしここからが衝撃の展開である。最終盤で、キーアイテムとして水斗の曽祖父の自伝というものが登場する。自費出版されたものだが、これを読んだことが水斗にとって重要な影響を及ぼしているということが明らかになる。

 おお、なんたる偶然か!何を隠そう、私の曽祖父も自伝を出版しているのである。やっぱ水斗、お前俺やろ!違っている点はと言えば私はその曽祖父の自伝は読んでいないということと、継母の連れ子が元カノだった経験が無いことくらいであろうか。まぁ私には世界一可愛い妹がいるので互角ということにしておこう。

 自分で書いていて気持ち悪くなってきたのでそろそろ終わろうと思う。アニメの主人公に自分を重ねるなんて年甲斐もないが、まぁこうやって楽しめているうちは良いでしょう。しらんけど。

弱キャラ友崎くん 2nd STAGE

 とにかくこれだけは言っておかなければならないのは、水沢が良い奴すぎるということである。こいつ完璧だろ。完全である。見てる間ずっと「頼むから裏があってくれ」と思い続けていた。これで最高のタイミングで友崎を裏切ってくれたら至上である。とまぁそう思わずにはやってられないほどこいつは最高のキャラだったとおもう。個人的にはすずめの戸締まりの芹沢以来のヒットだ。もとより私はこう言う学園アニメの主人公の親友ポジのキャラが非常に好きな人間であるためそういう意味では水沢も好きになって当然なのだが、本作においてはそのポジションは基本的に日南が務めているので水沢は若干毛色が違う。それでもこいついいやつすぎる。私もこんな陽キャと友達になりたかった。

 2期の序盤は紺野に関するエピソードが続いたが、これがまぁしんどかった。年を取ったオタクの悪い癖で、新しい作品もかつて見た作品と類型化して捉えようとしてしまう。そういう意味では、紺野は俺ガイルの三浦だと思っていたのだ。だが紺野は三浦よりはるかに激しかった。こういうところで裏切ってもらえると嬉しい。年を取るものでは無い。

 今期のMVPはどうかんがえてもみみみである。「好きってそういう意味の好きだと思ったでしょ?」→「そういう意味の好きであってるんだけどね」このコンボは最強すぎる。いくらなんでも可愛いが過ぎるでしょ。みみみさぁ…みみみさぁ…。なんでこう、もっとこう…。あと一手指せてれば…。友崎さぁ…攻めさせられた形とは言え仕掛けの段階では悪くなかったはずなのに…。中盤の捻り合いで弱気すぎたのかなぁ…。みみみがノリとして夫婦漫才を押すくだりさぁ…。形作りというかなんというか…。つらいよぉ…。みみみさぁ…。

 菊池さんは可愛い。こういう文学少女は由緒正しいトラディショナルスタイルのキャラであるがベタがベタなのには理由がある。ぐみちゃんはこの作品で一番可愛い。あの気だるげな感じも後輩らしく立ち回るさまも私の性癖に完璧に刺さっている。もっと出せ。ポテンシャルに出番が追い付いていない。花火は可愛いながらかっこいい寄りにステを振っているので私の好きなキャラのはずなのだが、あまり琴線に触れなかった。我ながら難しい。中村の出番が少なかったのは少し残念だった。中村と友崎がゲームしてるシーン好きだったんだけどな。竹井は本作唯一の良心である。そのままでいてくれ。

 それにしても思い出すのは、たしかに中学や高校の頃はクラスや学校の中が世界の全てだったな、ということである。今の私の感覚からすれば、高校生活なんてたかが三年だから耐えて逃げ切りさえすればいいという感じだ。暗黒の学生生活を過ごしたって死ぬわけじゃない。別に彼女が出来なくてもクラスの一軍に入れなくてもゲームが楽しけりゃいいじゃないか。しかし高校生の正しい姿はきっとそれではないのだろう。変わりたい。バラ色の人生を勝ち取りたい。きっと私だって当時はそう思ったはずだ。あの青春の日々にはそれだけの力があるのである。それらはとうに十年前、明らかに私の身体から引きはがされた過去の出来事になってしまった。だが、そこにはやはりどうしようもないリアリティがある。あの40人くらいしか入らない小さな部屋が世界の全てなのだ。久しく忘れていた感覚だが、こういうアニメを見るだけでそれを思い出せるのは幸せでもある。それは私が未だに子供で、大人になりきれていない証拠であるかもしれない。だが、これは手放したくないと、そうも思えるのである。

 ところで、OPを見ているときに私は思った。指を回したい。中二恋のOPを思い出したのである。まーわるまーわる♪に合わせて指…回したくない?

余談

 4月からの春アニメのラインナップやばない?信じられないくらい豊作では?来クールはアニメ漬けになってしまうかもしれない。次の感想記事は大変そうだ。


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