今週の小話#16


従妹に会う服装

 先日従妹と二人で飲みに行く機会があった。彼女は大学進学を気に関西へ越してきていたのだが、ちょうどコロナの時期に重なったこともあり会う機会が無かったのである。このたび就職に伴い関西を離れることになったので、最後に一度会っておこうということになったのだ。

 私が地元を離れてからは会う機会が減ったとはいえ、もともと仲の良い相手であったので飲みにいくのは楽しみだ。彼女とは五歳差ながら母方のいとことしては私に最も年が近く、一緒に遊ぶことも多かった。彼女が生まれてから妹が生まれるまでの約十年間、私の妹といえば彼女のことであったと言ってもやや過言くらいであろう。店をどこにするかなどで少々手間取ったが無事段取りを終えて会う当日になった。だがここで一つ問題が浮上したのである。…何を着ていこう?

 ここ数年、彼女と会う機会はと言えば地元の祖父母の家というのが定跡であった。会う機会はほとんどなかったが、盆と正月に何度かそういう機会もあった気がする。そしてその時の私の服装はと言えば、ほぼ部屋着みたいな気の抜けたものであることが大半であった。そもそも私はオシャレな人間ではないが、今回は折角関西で会うのだから、ピシッと決めてなんだかっこよくも出来るじゃんと思われたい。どうせなら。というわけで考えうるもっともキマっている組み合わせを着てみて、姿見の前に立つ。…。

 なんかすごいガチ感が出てる気がする

 張り切ってる感が出ちゃう。いやお前デートじゃねえんだから、って感じ。そんなに良いカッコしたいの?いや、したいんだけどそういうことでは無くて…。

 こんな感じの思考回路に入ってしまったら後は沼である。どうせ相手は私の服なんて見ていないんだからどうでもいいのだが、いちど気になってしまったらもう抜け出せない。結局無難な感じに落ち着けたのだが、アレはどうするのが正解だったのだろうか。難しいなぁ。


若い箸が先立ちよって

 先日、箸を折ってしまった。噛んでいたらミシっと鳴ってご臨終である。やってしまった…。一応名誉のために言っておくが、私は箸を噛む癖があるわけではない。顎関節症の病状に大きな変化があったために、噛み合わせを確認したくて箸で色々いじくっていたのである。その際に起きた悲劇であった。

 今から十年ほど前、現在の家に越してきたとき、食器類一式をそろえる際に箸も購入した。おそらく4、5膳で1セットのものだったと思う。どこで買ったのかは覚えていないが少なくとも100均や中古ではなかった。だが箸は消耗品である。月日が流れるにつれ、一本折れ、また一本折れ…。いつしか箸は2膳を残して姿を消していた。そこで、近所に新しくできた100円ショップで5膳一セットの箸を購入して追加した。これが数年前の話である。

 先日折ってしまった箸は、この新入りの方の箸であった。それからしばらくして、底の深いコップの奥まで洗おうと箸でスポンジをこすっていたらその箸が折れてしまうという事件がおこった。この箸も新入りの方の箸である。立て続けに箸が二本も、それも新入りの方が折れてしまうというのは中々にインパクトのある事件である。私の使い方が悪いのか、やはり100均だからか…。

 初期メンバーの生き残りである二膳はいまだに健全だ。きっと、若い箸が先立ちよってと零しているに違いない。


ピザと蒟蒻

 私は酒のみなので、夕食後にもつまみを食べることになる。これまで私が良く採用していたのはポテチやじゃがりこなどのスナック菓子系か、ソフト大豆やさきいかなどのタンパク質系であった。後者は健康には良いのだが、少し値が張るのが欠点である。何より毎日酒のあてに大豆を食うのでは面白くない。

 ある日私は興味深い事実に気づいた。スーパーで売っている冷蔵のピザは、安ければポテチ二袋分を下回る値段である。それどころか、カロリーでも下回るのである。…ピザ、ポテチの上位互換か?

 ちょうど同じくらいのタイミングで、私はある別の食材にも目を付けた。こんにゃくである。私はこんにゃくが好きなのだが、一人暮らしをするようになってからはほとんど食べていなかった。こいつ、マジで何の栄養素もないのである。ただ食えるだけの物体。こんなものに金を払うのは無駄でしかない。

 とまぁずっとそう思っていたのだが、つまみなんてどうせ余分な存在でしかないのでこんにゃくにピッタリではないか?と思い始めた。調理に手間がかかるようでは本末転倒なので、今はとりあえず醤油タレに漬けるだけですませてつまみにしている。これはこれで悪くない。

 現在はピザと蒟蒻をつまみにできないか研究中である。形になればいいな。


ハーフエルフについて

 ファンタジーや異世界アニメなんかを見ていると、ハーフエルフという種族が出てくることがある。エルフと人間の混血種であることが一般的で、寿命の長さ、耳の長さ、魔法への適性、体格などの面でエルフと人間の中間だったり、特定の要素はエルフに特定の要素は人間に近いなどと設定されたりすることが多いと思う。

 ここで考えるべきは、エルフという種族は人間(おそらくサピエンス種)と同じ種なのかということだ。外見上の差異や寿命の長さなど、どう考えてもエルフとサピエンス種が同じ種とは思えない。エルフはサピエンスの亜種だと言い張るのは無理がある気がする。

 エルフとサピエンスが同じヒト属に属する別の種である場合、ハーフエルフという存在をどう考えればいいだろうか。エルフ種とサピエンス種は子孫を作れるくらい遺伝子的に近いのだとすれば、その関係にはネコ科の大型肉食獣と同じような関係が考えられるかもしれない。つまり、ハーフエルフはライガー(ライオンとトラの混血)やレオポン(ヒョウとライオンの混血)と近しい存在だと言えるだろう。ハーフエルフはエルフよりも希少な存在とされている場合も多く、それはライガーやレオポンが自然環境下ではほぼ生まれないこととも符合する。

 ところで、種の定義として有名なものの一つに「生殖可能な子孫をのこせる」というものがある。ライオンとトラは生殖してライガーを生むことが出来るが、ライガー自身は生殖能力をほとんど持たない。したがってライオンとトラは別の種だと言いうるわけである。このことから考えられることは、ハーフエルフはおそらく生殖能力を持たないだろうということだ。

 …すごいえっちでは?アリだな…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?