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ふりかえると寿司

残暑の風が吹き抜ける午後
ずっと誰かに見られている気がする

振り返るとそこにはエビの寿司が一貫
こちらをじっと見つめている

どこに目があるんだと言う話だが、とにかく視線を感じるのだ
不気味に思った私はその場を立ち去った

奇妙な事に、買い物をしていても
お茶をしていても
旧友を訪ねている間もずっと背後をついてくる

たまらなくなった私は
勇気を振り絞り、その寿司に直談判してみることにした

近くで見ると何ともプリプリした身が美しい
シャリもテラテラと美味しそうな輝きを放っている
食べてしまおうかと思ったその時

ピュイ

エビの寿司が?小さく鳴き
左側に広がる浜辺の海を体でさした

そうか、海に帰りたかったんだな

全てを察した私は寿司を海に返してあげることにした
感動が押し寄せる…短い間だったが私たちの間には確かに絆が芽生え始めていた

元気で暮らせよ…
私がそう言うと

ピュイと小さくなき
寿司は海へとジャンプした

達者で暮らせよ〜‼︎と水面を見ると
バラバラになったシャリが水面に漂っていた

一夏の淡い思い出である

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