見出し画像

「ないものはない」

とても好きな言葉。この言葉を知ったから今があると思っています。
「仕方ないじゃん。ないんだから」みたいにネガティブな表現として受け止める方もいるかもしれない。でも、島根県海士町ではすごく前向きな言葉として掲げられているんです。
少しでもこの言葉が広まればいいなあ。

1.海士町での「ないものはない」

2017年、素晴らしい縁があって海士町に行きました。
港に着いて1番最初に目に入ったのが「ないものはない」のポスターでした。

海士町は、夕張市のように財政破綻目前だったそうです。
破綻目前から官民一体となって巻き返した強者の集まる島なんです。
どんな島なんだろうと肩肘張ってたら、「ないものはない」だったんです。

『ないものはない』という言葉は、 

①無くてもよい  
②大事なことはすべてここにある

という2重の意味をもちます。 

離島である海士町は都会のように便利ではないし、モノも豊富ではありません。しかしその一方で、自然や郷土の恵みは潤沢。暮らすために必要なものは充分あり、今あるものの良さを上手に活かしています。

『ないものはない』は、このような海士町を象徴する言葉、島らしい生き方や魅力、個性を堂々と表現する言葉として選ばれました。

由来を調べると、なんだかほっこりします。
実際、二泊3日でも島に滞在すると
「ない」ことを認め、あるものを確かに感じる、
そんな気分になれました。

きっかけは会社で紹介された五感塾という研修でした。気合いをいれて挑みました。
でもあまりのアットホームさ、場当たりさに度肝を抜かれ、気づけば素になっていました。

陶芸家が試しに素手で水を飲む。
感想は、「器は便利だ。」
誰も訳が分からなかったです。
そんな研修でした。

そんなこんなで自然の中にいると安らぎました。特に海に潜るとたまらない。
ここの海、さざえがよくとれるんです。
道具を借りて素潜りすると、確かにいっぱいいる。
捕まえて生で食べてみる。おいしい。
焼いてみると、もっとおいしい。
また潜る。

そうこうしてると、島の人が話していた「島に生かされている」という言葉が実感となってきます。

島に生かされ、生きる上で大事なものはすべてある。
実感として学んだとき、
ずっと感じていたなにかプレッシャーのようなものから解放された気がしました。

2.私の「ないものはない」

私に出来ないことは数えきれないほどあります。
・大金を稼ぐ
・物をなくさないように管理する
・なくしたものを見つける
・落ち着いて話を聞く
・毎日心安らかに寝る
などなど数えだしたらきりがない。

長年好きだった人と結婚し、
子供が生まれ、かわいくて、
仲間にも恵まれ、
仕事はあり、
これ以上他に何を求めるんだと。

ちょっと落ち込んでも、ないものはないと認め、でも大事なものはすべてあるので大丈夫。
そう思えるようになってきています。

この変化のきっかけは海士町であり、海士町で開催された五感塾でした。
海士町の方々には感謝してもしきれない。
また会いに行って、お話したいなと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?