Shota Shimura

ずっと念じ続けた未来はいつか運命となって自分を導いてくれる

Shota Shimura

ずっと念じ続けた未来はいつか運命となって自分を導いてくれる

最近の記事

インドネシア美術紀行

「いま東南アジアの美術シーンがアツいらしいよ」と家に引き篭もって作品制作をしていた僕を訪ねに来てくれた古い友人が言った。 彼は僕と出会う数日前に僕の大学院の同期にもそんなことを吹き込んでいたそうで、ちょうど何年かかけて国外で作品を発表する機会を伺っていた折だったので、東南アジアで作品を発表するきっかけを作りに3人で現地へ行ってみることにした。 秋からビエンナーレが開催するバンコク(もっと言えば国策で資金投入をして美術マーケットを作っているタイ)の様子は何となく想像出来たので、

    • 夕景を偲ぶ

      サイクリングの途中。夕日と水面に映る明るい光に心を掴まれた。一年で一番日が長いこの頃の刹那を僕はいつまで覚えていられるだろうか。 太陽を中心とした箱庭の中でその軌道は絶えず再帰している。約100億年の寿命がある恒星と比較して人の一生は脆い。365日後の光球の軌跡と記憶が重なり合う時、僕はもう別人になっているし、別の場所で、今はまだ想像すら出来ないことに苛立っていたい。 疲労で身体がくだばってしまっていても眠気はなく、5.2インチのディスプレイをスクロールして夕景を集めるくら

      • ひまわり畑の思い出

        4月に引っ越しをして、これまで縁もゆかりもなかった岐阜県の大垣市で生活をしている。 「水の都」と行政がPRしているだけあって、新しい家で初めて水を飲んだときに、水道水がとても甘かったことを今でも覚えている。街中に自噴水という地下水が湧き出る場所が点在していて、何の気なしに立ち寄ってごくごく水を飲んでいる。公園の水で生計を立てていた頃の自分が訪れたら、新生活が天国のように思えたかもしれない。 某流行病の余波で二年くらい自宅にいることが多かったので今年は季節を感じることが多い。

        • 散歩する文学賞結果発表

          本日、2020年末まで作品募集を行っていた、「散歩する文学賞」の大賞作品を発表させて頂きました。 コロナ禍の世界を淡々と生きていく中で、自分に何が出来るだろうと考えた時に創作の灯を盛り上げたり、作家さん同士の繋がりを生み出すことが、この混乱した時代を乗り越えることだと思い、昨年の初夏に賞を企画しました。 大変ありがたいことに、合計201作品も応募を頂き、締め切り日の翌日に作品合計数を数えた時は本当にびっくりしました。 「人生で初めて小説を書いた」「この賞のために作品を書い

        インドネシア美術紀行

          「散歩する文学賞」開催のお知らせ

          この度「散歩する文学賞」と題した文学賞を創設しました。 大賞賞金10万円、応募の締め切りは2020年末日です。 「書くこと」はコロナ禍における困難に満ちた社会を変えると信じ、千里の行も一歩より起こると「祈り」を込めて文学賞をつくりました。 「物語」には悩める人を癒したり、困難な現実を共に乗り越える力がきっとあるはずで、 こんな時代だからこそ「物語」との繋がりをたくさん生み出し、人間が何かを創造をするエネルギーを少しでも盛り上げることが、今の自分に出来る唯一のことだと考えた

          「散歩する文学賞」開催のお知らせ

          砂漠と村人たち

          どうもしばらくは国外を旅することが叶わなさそうなので、記憶の整理と共に昔の旅を写真を眺めることが増えた。 もう二度と訪れることがない場所、不確かではあるがもう一度行く機会がありそうな場所。共通しているのは両者共に過ぎ去ってしまった過去であり、いくら望んだとしても「二度と戻れない」という事実だけだ。 沢山のシーンをスクロールしながら走馬灯のように眺めている時に、一際惹かれる写真があった。 場所はインド西部にあるクーリーという名の砂漠の村で、すぐ近くにはパキスタンとの国境がある

          砂漠と村人たち