建築学生は建築を作っていない。

新年あけましておめでとうございます。

2021年は、VUILDでの新事業『Nesting』の工法開発や原田真宏研究室でのマウントフジアーキテクツのプロジェクトなど、実施設計に触れる機会が多くありました。

ゼミで原田先生は、「建築学生が作っているのは建築ではない。あなたたちが作ろうとしているのは、模型や図面やCGにすぎない。」と仰っていました。

芝浦工業大学建築学部にはSA/UA/APの3コースがありますが、私の所属するSAコースはいわゆる設計力を鍛錬するには素晴らしいカリキュラムが組まれています。その一方で実施設計のような高い解像度の図面を描けるようになる教育はなされていないように感じます。

実際、参考作品に選ばれるような優秀な建築学生は「自分は図面が描ける」と思い込んでしまっているようですが、フタを開ければ全く出来ていないのではないでしょうか。(特に、コミュニケーションの取れるファイル作りが不得意だし、通り芯番号の方向や断熱材の向きなどが正しくないことが多い。)

コミュニケーションの取れる図面作りは、就職した際に重要なスキルとなっています。学生の作るCADファイルのほとんどは、レイヤーの分け方やオブジェクト管理が杜撰です。(学生に限らず、性格や社内環境によっては社会人も)100点のファイル作りができる人材が育てば、無駄に時間をかけている国内の設計PJも、もっと低予算で実行できるはずです。


そんななか、昨日武蔵野美術大学の卒業制作展に行ってきました。そこで感じたことは、多くの建築学生が「自分の作品他人に見せる機会」が少ないということです。美大の展示は、作品だけでなく展示の仕方までストーリー立てて作られていました。普段授業が行われている教室に模型をポンっと置いても、その空間には模型とは関係の無いマテリアルやオブジェクトが見えてきてしまいます。これでは鑑賞者も作品を集中して見てくれません。

そこで、来年度は自主的に展示を行ってみようと思います。展示空間の制作は、建築学生がなかなか触れることのできないS=1/1のスケール感であったり、仕上げの検討の鍛錬になるでしょう。

武蔵美の展示は、私の来年度の方針を導いてくれました。来年度が楽しみだなあ……

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