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ドライアイの目薬はどれを選べばいいの?点眼薬の種類と使い分け

ドライアイ症状を改善させる手段のひとつとして、目薬があります。

「目薬を使うタイミングは?」
「ドライアイに使う目薬の種類は?」
「副作用にはどのようなものがあるの?」

このような疑問を抱えたことはありませんか。
本記事を読むことで、ドライアイ治療や、その治療薬に関する正しい知識を学べます。

また、薬剤に関する正しい知識を身につけると、生活の質(QOL)向上にもつながります。

そこで本記事では、

ドライアイが起こる原因
ドライアイ治療薬の種類
ドライアイ治療薬の副作用

について解説します。
眼科門前薬局での勤務経験のある筆者が、業務のなかで得た知識を中心に解説するので、ぜひ最後までご覧下さい。

目次


ドライアイが起こる原因

まず、一般的に言われているドライアイの症状としては目の乾燥だけでなく、

・目がゴロゴロする
・目が疲れる
・目が充血する・痛む
・目が開けられなくなる

などの症状があります。

主に眼球を保護している角膜と呼ばれる膜に何らかの障害が引き起きたり、涙の分泌異常で起こる症状全般を言います。


ドライアイの原因として考えられるものはいくつかありますが、以下に記載したものが主な原因としてあげられます。

パソコン、スマートフォンの見過ぎ

パソコンやスマートフォンを操作する際に、熱中すると瞬きを忘れてしまうことも多いでしょう。
それに伴い、角膜が乾燥してドライアイの諸症状を引き起こします。


不規則な生活、食生活、運動不足

夜型の生活や、食生活の乱れ、運動不足によってもドライアイ症状が引き起こることがあります。

環境要因

自分を取り巻く環境によっても症状が左右される場合があります。
夏場は冷房、冬場は暖房をつけることにより、乾燥を中心としたドライアイ症状が悪化することがあります。
また、紫外線によるストレスや、寒さによる水分量の低下による乾燥も考えられます。


ドライアイ治療薬の種類

これまでドライアイの症状について解説しましたが、ここではドライアイ症状を改善させる薬剤の種類について解説します。

ドライアイに使用する目薬は大きく4種類にわけられます。


ヒアルロン酸

美容成分などにも含まれる成分ですが、角膜保護を行ううえで高い効果を発揮します。
眼科受診の際、一般的に多く処方されるのが、このヒアルロン酸の目薬です。

コンドロイチン


TVのCMなどでご存知かと思われますが、実は医療現場では薬としても使用されています。
ヒアルロン酸同様、潤い成分の追加の効果を期待して用いられることが多いです。

ジクアス(ジクアホソルナトリウム)

角膜保護という観点ではヒアルロン酸と同様です。
点眼することで角膜表面のムチンと呼ばれる粘り気のある成分の産生を促し、結果的に角膜保護の作用を示す目薬です。
ヒアルロン酸の使用で症状が改善されない場合に用いることが多いです。

ムコスタ(レバミピド)

本来は胃薬として開発された薬剤成分ですが、胃の粘膜修復機能の作用が目にも応用できるとのことで、目薬としても用いられるようになった薬剤です。
薬剤成分の性質上、保存状況がシビアなため、1回使い切りの容器に入っています。

フルメトロン(フルオロメトロン)

本来は炎症を抑えるために使用する点眼薬ですが、点眼薬の性質上、かなり粘性の高い液体です。
その性質を生かして、ドライアイ症状の炎症改善を目的として使用されることも多いです。


ドライアイ治療薬の副作用

一方、上記にあげたドライアイ治療薬にはもちろん副作用も存在します。

ヒアルロン酸・コンドロイチン

薬剤成分は含まれていないため、特別副作用は報告されておりませんが、過度に使用することでかえってドライアイ症状を悪化させることもあります。
これは、角膜のもともと備わっている修復機能が、点眼薬の使用に慣れてしまうため麻痺してしまうことによると考えられています。


ジクアス(ジクアホソルナトリウム)

粘り気のある成分であるムチンの産生を促す作用が、副作用へと一転してしまうことがあります。
かえって目がゴロゴロしてしまったり、目やにのようなものが出ることがあります。


ムコスタ(レバミピド)

薬液が白く濁っているため、点眼後は視界が不明瞭になってしまったり、苦味を感じることがあります。


フルメトロン(フルオロメトロン)

消炎成分としてステロイドを含んでいるため、過度の使用によって症状を悪化させてしまうことがあります。
ステロイドアレルギーを持つ方の使用は控えた方がいいでしょう。


目薬を使用する際の注意点

薬剤全般に言えることですが、副作用の発現を防止するためにも、最低限、用法用量は守って使用しましょう。

また、点眼薬を使用する場合には細菌感染を防ぐためにも、容器の口を目につけないようにしましょう。

それ以外にも使用方法に、特筆すべき注意点のある薬剤を記しました。

ジクアス(ジクアホソルナトリウム)

基本的に1日4〜6回点眼することが可能な点眼薬ですが、ヒアルロン酸とは異なり薬剤成分を含んでおりますので、6回以上点眼したい場合には担当医へ相談するようにしましょう。


ムコスタ(レバミピド)

置いておくと、白い薬液成分が分離している場合があるので、使用前には必ず少し振るようにしましょう。
また、1回使い切り製剤なので、同じものを使いまわさないようにしましょう。
もったいないと思われるかもしれませんが、使い終わったらすぐに捨ててください。
また、点眼後に感じる苦味に関してですが、目頭をしばらく抑えることによってその苦味を軽減することができます。


フルメトロン(フルオロメトロン)

薬液が粘性の高いものになるので、必ずよく振ってから使用しましょう。
振らずに使用してしまうと、成分がボトルの底に沈澱して薬剤の効果がうまく発揮されない場合があります。

点眼薬全般に言えることですが、コンタクトレンズとの併用は基本的に注意が必要です。
防腐剤として塩化ベンザルコニウムという物質を含んだ薬剤は、コンタクトレンズへの吸着が確認されています。
コンタクトレンズを使用したい場合には必ず担当医へ確認するようにしましょう。

また、点眼薬を使用する際には、他の点眼薬との間隔を5分以上空けるようにしましょう。
粘性の高い点眼薬は最後の方に点すことが望ましいです。
これは、粘性の高い点眼薬を先に点してしまうと、粘性の低い点眼液の成分が浸透しづらくなるのを防ぐためです。

まとめ

ドライアイ治療薬使用のポイントをあらためて確認しましょう。

・ドライアイ症状は乾燥だけではない
・治療によって使用する点眼薬が異なる
・副作用は用法用量を守ることで防げる
・コンタクトレンズの併用には気をつける

ドライアイ症状は点眼薬だけでなく、生活習慣の改善などによっても緩和する場合があります。
いま一度、ご自身の生活スタイルを見直すのもいいかもしれません。

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