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絶滅危惧種~これからも守りたい命~

 自然環境の変化や人間の行動によって、地球上から姿を消そうとしている「絶滅危惧種」。一覧で見てみると、動物園や水族館でおなじみの動物たちも多く含まれていることが確認できる。絶滅危惧種とは、絶滅の危機に瀕している生物種のこと。一方で、すでに姿を消してしまった生物種は絶滅種と定義される。現在確認されている野生生物は、世界に213万1,400種以上。そのうちの4万2,100種以上が絶滅危惧種に分類されている。

 絶滅の危機にある生物が載っている「レッドリスト」

絶滅のおそれがある野生生物をリスト化したものに「レッドリスト」がある。正式名称は「絶滅のおそれのある種のレッドリスト」。スイスに本部を置くIUCN(国際自然保護連合)によってまとめられており、定期的に更新される。1986年に第一版が作成され、2006年以降は毎年更新されている。

 レッドリストの掲載対象は、哺乳類・鳥類・両生類・爬虫類・魚類・無脊椎動物と広範囲におよぶ。全世界で存在している野生生物のうち、現時点で評価されているのは15万種以上。上述した通り、そのうちの4万2,100種以上が絶滅危惧種とされている。

絶滅のおそれに応じてカテゴリー分けされている

 レッドリストに載っている野生生物たちは、絶滅の危険度に応じてランクづけされている。それぞれの専門家たちが調査を行い、9つのカテゴリーのどれに当てはまるかを査定する。

【レッドリストの9つのカテゴリー】
Extinct(EX)
 
絶滅:十分な期間の調査にもとづき、最後の1個体が死亡していると判断       された生物
Extinct in the Wild(EW)
 
野生絶滅:栽培・飼育下や、過去の分布域の明らかに外側でのみ生存している
Critically Endangered(CR)
 
深刻な危機:野生で極度に高い絶滅のリスクに直面している 
Endangered(EN)
 
危機:野生で非常に高い絶滅のリスクに直面している
Vulnerable(VU)
 
危急:野生で高い絶滅のリスクに直面している
Near Threatened(NT)
 
準絶滅危惧:現段階では絶滅危惧とはいえないが、近い将来絶滅危惧に移行すると考えられる
Least Concern(LC)
 
低懸念:上記のいずれの要件も満たしていない
Data Deficient(DD)
 
データ不足:個体数や分布に関する十分な情報がなく、評価できない
Not Evaluated(NE)
 
未評価

上記9つのうち、「CR(深刻な危機)」「EN(危機)」「VU(危急)」3つに分類されている野生生物が、一般的に絶滅危惧種とされる。

 1936年9月7日、オーストラリアの動物園で最後のフクロオオカミが亡くなり、絶滅したことをきっかけに、オーストラリアで制定された。
 レッドリストとは、国際自然保護連合(IUCN)が作成した絶滅のおそれのある野生動物のリストで、正式には The IUCN Red List of Threatened Speciesという。また、日本では環境省が作成した「絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト」や、各都道府県が作成した都道府県別レッドデータブックも、レッドリストと呼ばれる。絶滅危惧種レッドリスト掲載種のうち、絶滅危惧Ⅰ類およびⅡ類に評価された種・亜種・変種を絶減危惧種としている。絶滅危惧Ⅰ類とは近い将来における絶滅危険度の高いものを、絶減危惧Ⅱ類とはⅠ類ほどではないものの絶滅の危険が増大しているものを示している。
 日本に生息または生育する野生生物について、専門家で構成される検討会が、生物学的観点から個々の種の絶滅の危険度を科学的・客観的に評価し、その結果をリストにまとめている。
 校討会の下に、動物では。(1)哺乳類(2)鳥類(3)爬虫類(4)両生類(5)汽水・淡水魚類(6)昆虫類(7)貝類(8)その他無脊椎動物(クモ類、甲殻類等)の分類ごとに、植物では、(9)維管束植物(10)蘚苔類(11)藻類(12)地衣類(13)菌類の分類群ごとに分科会を設置し、評価を行っている。


【シマフクロウ】絶滅危惧Ⅰ類 IA類(CR)
 森林開発によって多くの広葉樹林が失われ、繁殖に欠かせない大木の営巣木が激減した。また砂防のためのダム開発などにより河川や湖沼、エサの魚も減少。生息地とエサが失われつつあり、絶滅危惧種となった。現在では100つがい(200羽)しか生存確認されていない。北海道東部の知床などの広葉樹林に生息。

【ラッコ】絶滅危惧Ⅰ類 IA類(CR)
 絶滅危惧種に認定されるほど個体数が 減少した理由は、断熱性に優れた毛皮を目的として人間に乱獲されたことだ。さらに、海に流出した汚染物質が原因とも言われている。中でも、油の流出は体毛の体温を維持する機能や防水機能を損ない、大きな被害を及ぼした。日本では北海道東部沿岸にわずかに生息。

【トキ】絶滅危惧Ⅰ類 IA類(CR)
 日本では野生個体が絶滅し、野生絶滅の状態だったが、日中両国の保護によって2000年代以降は個体数が回復しつつある。減少の主な要因は人間による乱獲、森林の伐採と湿地の農地化、農薬の使用等による生息環境の悪化が指摘されている。新潟県佐渡島に生息。

【オオルリシジミ】本州亜種=絶滅危惧Ⅰ類 IA類(CR) 
         
九州亜種=絶滅危惧Ⅰ類IB類(EN)
 オオルリシジミは、瑠璃色の翅表しひょうに黒い斑紋と外縁があるチョウ。長野県の山地に本州亜種、熊本県の阿蘇周辺の高原に九州亜種が生息している。はねを広げた大きさは3cm程度になる。マメ科のクララに卵を産み付け、幼虫はクララのみを食べて育つ。クララは殺虫剤として用いるため人によって育てられていた草で、かつては人と共に里山に生息するチョウだった。しかし、人間の生活環境の変化でクララが減ったことや天敵を減らす野焼きの減少などが原因となり、個体数は激減してしまった。

【オットンガエル】絶滅危惧Ⅰ類IB類(EN)
 
「オットン」は奄美大島の方言で「大きい」という意味で、日本ではニホンヒキガエルに次いで2番目に大きなカエルだ。通常カエルの前足の指は4本だが、オットンガエルは珍しく5本の指を持つ。5本目の指(拇指ぼし)からは永瑠奈骨が突き出しており、この骨で敵を攻撃する。鹿児島県の天然記念物にも指定されていて、種の保存法鹿児島県の条例により採取は禁止されている。山地の自然林や湿地、渓流部、林道などに生息する。その森林などへの開発が進んだことや、ハブ駆除の目的で導入されたフイリマングースによる捕食が原因で絶滅の危機にさらされつつある。

【アカウミガメ】絶滅危惧Ⅱ類(VU)
 
ウミガメのうち、日)本沿岸に生息・上陸して産卵するのは3種、ほか2種も日本周辺海域を回遊する。なかでもアカウミガメは日本での産卵数が最も多く、赤褐色甲羅を持ち、頭が大きいことが特徴だ。減少の原因には混獲(誤って魚網にかかってしまうこと)が挙げられる。他にも産卵場所出る砂浜の環境破壊や海に捨てられたゴミや釣り糸・釣り針を飲み込んだり絡まったりすることも大きな原因となっている。

 以上のように、絶滅危惧種を産み出しているのは明らかに人間である。
地球沸騰化の原因も人間である。たくさんの生き物を絶滅の危機に追いやり、さらに地球という素敵な星をピンチに追い込んでいるのはまぎれもなく人間である。
 人間は自分たちが絶滅の危機に追い込まれたら、きっと大パニックになるだろう。人間がその気持ちを絶滅の危機に瀕している生き物に向けられないのはなぜだろうか。

 




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