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危機に晒された海洋環境① ~気候危機でサンゴ礁や海藻が消えている~

 プロダイバーで環境活動家の武本匡弘氏による講演『海の中から地球が見える~気候危機と平和の危機~』を受講し、同じタイトルの著書を購入させていただいた。
 武本氏は約40年間、プロダイバーとして国内外の様々な海に潜って、生物多様性に富んだ素晴らしい海中の景色を見てこられた。しかしながら、1998年頃を境に、サンゴの白化現象が地球規模で起こり、サンゴが死んでいく姿を目の当たりにしたとのことだ。武本氏によると、気候変動・地球温暖化の影響で海洋環境の変化があまりにも激烈だったため、大好きな海を守るため、何とかしない海洋環境が悪化の一途を辿ることになるという強い危機感から、環境NPOを立ち上げ、環境活動家として活躍されている。

 国連環境計画(UNEP)が2021年に発表した予想値によると、地球規模でサンゴの白化が常態化するのは2034年、そして日本周辺海域では10年早く2024年には常態化するという。もう来年の話ではないか!

 私自身はダイビングの経験はないが、世界的にも沖縄のサンゴ礁が最高に美しいことも知っているし、オーストラリアのグレートバリアリーフでシュノーケリングを何度か体験している。色とりどりの海中の絶景が真っ白の状態になり、同時に、サンゴ礁に群がる美しい熱帯魚が見られなくなるかと考えると胸を締め付けられる思いである。

 ミレニアムと呼ばれた2000年以前にすでに地球温暖化は進行し、エルニーニョ現象やラニーニャ現象の影響により、世界各地の海で高水温域が出現したことで、生物多様性の宝庫といわれるサンゴ礁の白化現象が始まっていたのだ。私たちは「サンゴの悲鳴」に気づかないまま、25年以上も気候変動に対して無策だったということなのだ。

 そして、恐ろしいことに、サンゴの悲鳴は海草へと伝播していくことになる。武本氏が育った北海道の積丹半島では、かつては昆布で海底が見えないほどだったそうだが、2005年に潜ったときには昆布が1本もなく、白い珪藻類に覆われた無機質な岩があるだけになってしまった。これを「磯焼け」というそうだ。「磯焼け」の定義を調べてみた。

 「磯焼け」とは、沿岸の岩礁域等で海藻が繁茂する藻場が、本来の海藻の季節的な変化や多少の経年変化の範囲を越えて、海藻の著しい減少・消失状態が続き、海藻が繁茂しなくなる現象を指す。磯焼け(藻場の減少・消失)により、ワカメやコンブなどの海藻類を採集できなくなる。また、海藻を餌とするアワビやサザエなどの生物や、海藻を住処とするカサゴやメバルなどの多くの生物などもみられなくなる。磯焼けは沿岸生物の生態系全体に波及し、沿岸の漁獲量が激減して漁村の疲弊にも繋がる。

 それから10年も経たないうちに日本の至る所の海で磯焼けが報告され、ワカメ、昆布、ヒジキなどが全く取れなくなったという。原因は冬の海水温が上昇したことにある。例えば、相模湾の冬の海水温は12度前後だったのが、ここ10年以上は15度を下回ることがない。サンゴの白化は海の異変の常態化につながり、海からは海藻が消えていっている。しかも、北極や南極の氷はどんどん溶け出し、グリーンランドやシベリアの永久凍土の溶解も歯止めが利かない。2020年には南極で気温が21度まであがり、シベリアでは38度、2022年にはイギリスで40度を超えるという事態になっている。武本氏は、気候変動の影響が危機的な状態になっており、このままでは「子どものたちの目の前から未来が消えていく」ことを体感していると報告してくださった。

 ここ数年、これまで沖縄あたりでしか見ることができなかった熱帯地方のカラフルな魚が北海道で見られるという話を聴いたことがある。以下は今年6月18日のニュースである。

この100年間の海面水温の上昇を示したデータでは、日本近海は1.24℃上昇し、世界平均に比べ2倍以上のスピードで上昇している。専門家は、今の温暖化のスピードが速すぎるという。異変は各地で起きていて、北海道のサケ漁では温帯で生息するはずのブリや、熱帯で生息するシイラまでとれた。オホーツク海では、シイラが群れで押し寄せ釣りのターゲットとなっている。近年福島で大量に捕れるのが、西日本が漁場のトラフグ。さらにイセエビまで水揚げされるようになった。その一方で、かつて水揚げ日本一だった三重では、海水温の上昇で海藻が消滅。イセエビの漁獲量が激減している。海水温の上昇を巡っては先月、エルニーニョ現象が発生。さらにこの夏スーパーエルニーニョになる可能性もあり警戒が必要だという。

サンデーモーニングのニュースより

 以下はつい先日、10月12日の記事である。

猛暑で異変? 北海道の海に“ニモ”  映画さながらの大冒険 クマノミ出現の謎を調査

札幌市から1時間ほどの石狩湾新港の海に、熱帯魚のクマノミが出現している。一体どこからやってきたのか?
「8月26日の正午すぎに見つけた」と話すのは、「週刊釣り新聞ほっかいどう」の記者。取材で訪れた石狩湾新港の花畔埠頭の中央西海浜で発見したそうだ。釣り人の一人が発見し、半信半疑で近づいてみたところ、本当にクマノミだったという。現地を調査するも…そこで、UHBディレクターが魚が発見された石狩湾新港の花畔埠頭に向かった。送られてきた地図と写真を手がかりにクマノミの捜索を開始。釣り人など周辺の人に聞き込みをしながら小一時間捜索したが、クマノミの姿は見当たらなかった。

果たして本当にクマノミだったのか? クマノミの生態に詳しい『おたる水族館』の中谷高広さんに聞いてみると、間違いなく「カクレクマノミ」とのこと。「対馬暖流という海流に乗り、そのまま北海道の方へ運良くたどり着いたとしか考えられない」と話す。
 過去には、熱帯地方に生息するハリセンボンやハコフグ、ジンベエザメが流されてきたこともあるようだ。
 まるで映画のように、クマノミが長い旅の果てに石狩湾にたどり着いたとは驚きだ。「見てのとおり色が派手ですので、外敵に狙われやすい」と中谷さん。なぜクマノミが石狩の海にいたのか、さまざまな可能性が考えられそうだ。

北海道文化放送 FNNプライムオンライン

 もうトップの写真のような美しいサンゴ礁と海洋生物は見られなくなってしまうのだろうか。

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