修養団から「和の心」を学ぶ
公益財団法人修養団のことを初めて知った。法人本部は東京にあるが、修養団は伊勢神宮と深い関りを持ち、伊勢に研修センターを持つ。その研修センターの寺岡賢氏の講演を聴く機会をいただいた。修養団は1906年(明治39年)2月11日に、東京府師範学校(現在の東京学芸大学)に在学中の蓮沼門三(1882~1980)を中心とする学生達によって創立された。平成23年3月に内閣総理大臣より「公益財団法人修養団」として、認定を受けた社会教育団体だ。創立117年の歴史を持つ。
ラジオ体操(国民体操)やボーイスカウト(ガールスカウト)を最初に取り入れたのも修養団だという。驚いたことに、『笑っていいとも』のオープニングの際の拍手の止め方は、タモリさんが修養団で学んだものをとりいれたとのことだ。
修養団の110周年記念行事には現在の天皇陛下が、当時は皇太子として次のようなお言葉を述べられたとのことだ。
修養団創立110周年記念大会に、多くの関係者の皆さんと共に出席でき
ることを、うれしく思います。修養団は明治39年の創立以来、一貫して
「愛と汗」の理念と実践により明るい社会を建設し、世界の福祉と平和に
貢献することを目的に、心豊かな子供を育てる体験活動、ボランティア活
動、講習会など各種の社会教育活動を展開して、社会に大きな貢献をして
きました。
創立以来110年、時代の変遷とともに社会教育活動をめぐる環境も大き
く変化してきたことと思いますが、修養団の皆さんのたゆみない努力で幾
多の困難を乗り越え、現在も活発に活動されていることに対し、深く敬意
を表します。
これからも「愛と汗」の精神に基づいた「こんにちは!どうぞ!ありが
とう!の幸せの種まき運動」が更に進み、一輪でも多くの幸せの花が咲
き、明るく平和な世界が実現することを願い、大会に寄せる言葉といたし
ます。
講師の寺岡賢氏の語りの中で印象的だったのは「世直しは余直しである」という言葉だ。「余」とはお殿様が使う言葉として示すように自分自身のこと。世の中が悪いという前に自分自身はどうか。まず、自分がよくならなかったら、世の中、国はよくならない。とにかく国民を大事にしていくように、と受け継がれてきた深い思いで、明治天皇も現在の天皇も、国民のことを大御宝(おおみたから)と言って、国民こそが一番の宝物として、五穀豊穣の祈りなど、国民の命を守ることを一番に考えていらっしゃるとのことだ。
寺岡氏が紹介された「自分さておき人様に 己忘れて精魂尽くす」は、まさに日本人にぴったりの言葉だと感じた。寺岡氏は、イラクに国連軍として派遣された自衛隊は、イラクの人に対して「メソポタミア文明を起こした子孫である皆さんに、復興できないわけがない」と励ましたことで、日本の基地のために労力を惜しまないイラク人。そして、他国の軍人と違って、イラクの人と一緒に仕事をする日本人の姿を見て、日本人はとても信頼できると感動し、一生懸命仕事をしてくれたそうだ。多国籍軍としてイラクに派遣された世界中の人たちで、現地の人を使う学校の再建の作業などのなか、夕方5時に、あとやっといてよと帰る他の国々の人たちの中で日本の自衛隊だけはその反対で、あとはやりますから、どうぞお帰りくださいと作業を続けたそうだ。そのことで地元の人たちは日本の人たちに心からの親愛の情を持ったとのことだ。部族の長と面会する時、他の国の人たちは銃を離さないが、自衛隊の人だけは、いつも刀剣類の総てを置いて丸腰で入っていくため、地元の人たちにとってその信頼の度合いは全く違ったとのことだ。受け継がれている素晴らしい大切な思いだ。
天孫降臨のお話も改めて伺って、とても勉強になった。天照大神が孫のニニギノミコトに、瑞穂の国という素晴らしい場所があるから、あなたが行って治めなさいと言って、三種の神器(鏡・剣・勾玉)を与えた。三種の神器はすべて「みがく」ものである。これは自分自身を磨くものであるのと同時に、「身が苦」をも意味し、日本人はこれまで数々の国難を受け入れてきたのだが、自分が最も苦しい時に自分の身を捧げてきた。人には「氏名」があるが、この命をどう役立てて生きていくかという「使命」があるという寺岡氏の言葉に目からうろこの思いだった。
もっと深い学びがあり、書きたいことはたくさんあるが、いつか第2弾としてアップしたい。
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