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わたしの夢は大人になるまで生きることです

 池間哲郎さんという方がいらっしゃる。アジアの国で報道されない地域の話題を中心に講演会や書籍の出版をされている方だ。かつて、池間さんの著書「あなたの夢は何ですか? わたしの夢はおとなになるまで生きることです」を読んで衝撃を受けた。15年ほど前にあまりにも鮮烈なタイトルに惹かれて購入し、むさぼるように読んだ。

・ゴミ捨て場で使えるゴミを拾ってお金にして何とか1日を暮らす人たち
・貧困で一日一杯のおかゆしか食べられない地域の人々
・泥水を飲むことが当たり前の地域
・勉強したくても貧困で勉強ができない子どもたち

 このような環境がアジアでは今でも存在していると明かされていた。フィリピンの有名なゴミ捨て場スモーキーマウンテンで、ゴミを拾って生きる子どもたちに「あなたの夢は何ですか?」とインタビューした池間哲郎さん。現地の子どもたちは「夢なんてありません。大人になるまで生きることが夢です」と、うっかり夢を聞いてしまったことをとても反省されたとのことだ。そして、テレビなどではこうした現実は報道されないから「真実は自分の目や足で確認するんだよ」と、自分で行動をして事実を確認することの大切さを語っている。
 「蛇口をひねれば綺麗な水が出ることは当たり前じゃないんだよ」と日本の環境のありがたさをアジアの国と比較して紹介。世界の現実を目の当たりにした池間哲郎さんは日本人の若者に向けて「もっと危機感を持った方が良い」と語っている。日本に生きているからこそ「綺麗な水が飲める」「食事がちゃんと取れる」「仕事ができる」「寝床がある」というような普通の生活ができていることにもっと感謝しないといけないと語る。

 「親を尊敬できますか?」「教師を尊敬していますか?」というアンケート結果では、日本が世界で一番「尊敬している」の割合が低かったという。世界では「尊敬できる」の割合が80%を超えているのに対し、日本は20%ほどだとのことだ。上下関係がしっかりしていない日本の現実に「親や師を尊敬できないと成長はない」「教師を尊敬できない国は滅ぶ」との言葉を使い、師や親に対する礼儀の大切さを語っておられる。

 また、学校がない地域の子どもは「勉強したい」という欲がつよく、日本の子どもたちの甘えた状況に危機感を持った。日本で例えれば、幼稚園ぐらいの年齢の子どもが普通に働いている世界の生活環境や現状を知ると、もっと自分自身が世界の子どもたちのために頑張らないといけないと思い、この活動を始めたと池間さんは著書の中で語っておられた。


フィリピンのスモーキーマウンテンでゴミの中から売れそうなものを拾う子ども


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