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学校で「給食」が出るのはあたりまえ?

 アフリカ大陸の南東に位置する大きな島国マダガスカルでは、5歳未満児の栄養不良による発育阻害(身長が年齢相応の標準値に満たない)の割合が49.2%と世界で5番目に高く、この傾向は過去20年以上も続いている。それは小学校に行く年齢になっても解消されないままなのだ。

 日本人は「小学生なら給食で栄養を補えるのでは?」と思うかもしれないが、学校で給食が出るのは「世界のあたりまえ」ではない、ただの「日本のあたりまえ」だ。マダガスカルの多くの学校では学校給食の提供が安定せず、主食となる米の収穫が行われない数か月間は、給食の提供が月に1回か2回に減ってしまうという。そのため、空腹で授業に集中できない子どもや、昼食を食べに帰宅したまま学校に戻ってこない子どもが多い状態だったとのことだ。

 ここにわが日本が誇るJICAが登場するのだ。JICAが協力する「みんなの学校プロジェクト」を通して、対象地域では2017年から、保護者・教員・地域住民の「みんな」に支えられるコミュニティ協働型の学校給食をスタートした。学校や行政の協力を得ながら、小学校に通う子どもたちの保護者や地域住民たちが自主的に給食を提供できるように支援したのだ。みんなで食材を持ち寄り、調理はボランティアで行う。白米に野菜や豆類を煮込んだおかずがのった給食に、もちろん子どもたちにも大人気となる。その証拠に給食開始後、より多くの子どもたちが学校に来るようになり、学習時間も増加した。食事によっておなかが満たされ、授業に集中できるため、学習の質も向上した。さらに補習の参加率が上昇し、生徒の成績アップにつながるという好循環まで生まれた。


 今では、住民集会で選ばれた代表が設立した給食委員会による子どもの栄養改善に向けたセミナーの開催に加え、対象を小学生に限定せず、就学前の子どもたちに対しても何かサポートできることはないかと地域住民全体の「みんな」を巻き込んでの話し合いが始まっているという。
 日本の給食では、成長期に必要な栄養素の補給強化と健康の保持促進が図れるよう献立が考えられているだけでなく、地産地消の食材や郷土食、行事食を組み込むことで地域や日本の文化を体感する「教育の一環」としての役割も担っている。みんなで一緒に準備や配膳、後片付けをすることは、協同の精神を養うことにもつながる。

 私が小学生だったのは50年も前のことだ。私が小学生の頃の給食は、主食は基本的にパンで、ときどき麺だった。なぜかコーンスープの味は今でも忘れられないほど美味しかった。食べ物の好き嫌いがない私にとっては給食の時間は楽しみだったが、当時の先生の方針で、嫌いな野菜とかを無理に食べさせられている同級生は可哀そうだった。仕事柄、大人になってから学校を訪問した折に給食をいただく機会があった。行政が学校給食を民間委託しているせいだろうか。小学生の時のような美味しさや感動を味わえなかったのはなぜだろう。

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