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消滅危機言語を守る理由はSDGsに!

 現在、世界の国は日本を含めて196か国(2023年)だが、言語はその36倍以上、7,168もの数があると言われている。しかし、そのうちの約40%の言語が、さまざまな理由から話者が激減し、将来消滅する危険性がある「消滅危機言語」となっている。
 実は日本国内の言語(方言)の一部もそうした「消滅危機言語」に含まれ、極めて深刻な状況となっている。
 世界の「消滅危機言語」にはどのようなものがあるのだろうか。また、ひとつの言語がなくなると、世の中にいったいどのような影響があるのだろうか。
 <上記画像:WIPジャパンのホームページより引用>

消滅した言語の例

 実際に消滅してしまった言語がある。チリの「ヤーガン語」とインド「ボ語」だ。      <字数:3694文字>

チリ「ヤーガン語」
 2022年、チリの先住民族であるヤーガン人の子孫で、独自の言語「ヤーガン語」を話す最後の1人だった女性が93歳で亡くなった。ヤーガン人は、約6000年前にパタゴニア地区に住み着いた狩猟民族で、約150年前には3,000人ほどいたが、西洋人が移住してきたことにより純粋なヤーガン人が減り、この女性がヤーガン語の話せる最後の1人となっていた。2009年には、チリ政府から人間国宝に認定された女性だったが、亡くなったことで1つの言語が消滅する結果となった。

インド「ボ語」
 2010年、インドのアンダマン・ニコバル諸島に暮らしていた「ボ語」最後の話者である推定85歳の人が亡くなった。ボ語は大アンダマン語派に属する言語のうちの1つで、約6万5000年前から話されていたとの説がある。1858年には、大アンダマン語派の言語を話す10の民族は5,000人を超えていたが、その多くは殺されたり病気で亡くなったりして、当時残っていたのは52人だけだった。最高齢だったこの人が亡くなったことで、ボ語は消滅したことになる。

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