『PIXAR 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話』を読みました。

ドラマを作っている会社というのは、その企業の辿る成長の過程や、そこで働く人々の人生までドラマチックなのだろうか。魔法のような技術を使う人たちがいかに泥臭く戦ってきたかが語られている本だった。
「みなさんご存知」の枕詞が付くぐらい有名なアニメーション企業ピクサーが、始めて映画を公開するまで、そして公開してからの成長の過程の本。とても刺激的で面白い本です。
色々な幸運に支えられて今のピクサーがあるんだと思わせつつ、その幸運はひとえに会社の技術力と経営層含む社員の努力と献身と、そして文化を一丸になって守ったきた結果勝ち取ったものだと分かる。タイトルがお金の話で、もちろんクリエイティブな企業が裏でどうやって資金を調達したかという点をドキュメンタリーで書いていてそこもすごく面白いのだけれど、愛情を持って働く人間のドラマとして面白かった。

自分の読書傾向としてはフィクションをよく読むし、ノンフィクションよりフィクションを好んで読んでいる。理由はフィクションの方がドラマを作りやすいし、読み物として面白いものが出来上がりやすいと思っているからだ。けれど、この本はノンフィクションでありながらドラマチックで、読む手が止められなかった。
さすが資本主義大国アメリカというか、大きなお金が動く様というのはドキュメンタリーを読むだけでもドキドキする。色々な人の人生や思惑が一つの企業のお金にかかってくるのは、一サラリーマンの自分ではうまく想像できないけれど、ベンチャー企業でIPOする人がどれだけ手を尽くすか、どれほど祈るような不安と自信とを混ぜこぜにしてその日に臨むのか、それに触れられただけでもこの本を読んだ価値があったと思う。


ちょうど自分が1994年生まれで、子供の時に『トイストーリー』を観た人間であり、そのあとにも『ファインディング・ニモ』や『モンスターズ・インク』を観て育ったので、大人になって裏側を覗けたという意味でもワクワクした。
前から気になっていてkindle unlimitedに入ったことをきっかけに読んでみたのだけれど、もっと早く読めばよかったなあ。

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