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感謝の対象:自己性と他者性

日頃、他者に感謝することは当然のことながらある。しかし、その感謝の対象が、自分と独立した他者にあると考えることは本当だろうか。多くの人は「他者に対して」感謝をしていると考えているが、あくまで感謝の感情が生じている理由は、他者にあるのではなく自分にあるのではないだろうか。

他人が自分を助けてくれたとき、その相手に感謝をする。その出来事には、他人が自分を助けてくれたという他者性の視点と、自分が助かったという自己性の視点との2つが存在する。

感謝する際には、表面的には両者ともにその対象として我々は認識する。しかし、真に他人に感謝したときには、その対象が何かをより詳細に見ていくと、自分がどのような学びや気付きを得られたのかということと関係しているように思う。

例えば、他人が自分を助けてくれたときには、相手の性質の一部が垣間見える。それを発見することは自分自身の学びに繋がるため、感謝をする。すなわちこの場合では、相手の一側面を見ることによって学びを得て、自身の成長に結びつくことが、感謝の気持ちを生み出している。

人によっては、なかなか分かりづらいかもしれない。我々は日常で真に感謝をすることが少ない。一つのルーティンや社交辞令として感謝を述べる。それが「感謝」という感情そのものと、何がそれを生じさせるのかということの理解を妨げている。

他者への感謝とは、本来自身の成長と関連するもののように感じる。それがどのような事柄であれ、自身の学びや成長に繋がるものに対しては、全て「感謝」という感情が湧き起こる。それはすなわち「他者に新たな自己を視る」ということであるのかもしれない。そして、その中身がポジティブなものであろうとそうでなかろうと、その"気付き"そのものが、一つ高い次元の新しい自分へと導いてくれる。

2022年12月23日

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