PhD留学一年目の夏の過ごし方

留学一年目のコースワークが終了しました。ミシガン州立大学の教育大学院の博士課程に留学すると、1年目の夏の間にやることは主に三つあります。

①どこかのサマーコースへ勉強しに行く

春頃に、夏休みにどういった勉強をするのか、そしてそれがどのように博士論文の執筆に貢献するのかのプロポーザルを書かされます。このプロポーザルの出来がよほど悪くなければ、大学院から5000ドル貰えるので、これでどこかに勉強しに行くことになります。

私の場合は、日本人の先輩も行っていたし、指導教官にも勧められたので、ミシガン大学(よくミシガン州立大学と混同されますが別の大学です。うちがあるのはイーストランシングで、向こうはアナーバーという、デトロイトにも、日本人街があるノバイにも近い羨ましい大学です)のICPSRという所のサマーコースに一か月程通って、統計と計量経済学の勉強をします。

②Qualifying Exam第一弾の準備

博士課程の学生は2種類に分けられます。PhD StudentとPhD Candidateです。傍から見ると大差がないように見えるかもしれませんが、後者の方がよりアドバンスドで、コンサル仕事をするときも若干単価が違ってきますし、入札でも若干有利になります。

このPhD CandidateになるためにはQualifying Examをきり抜ける必要があり、大学によってはここでふるい落とされる人もちょいちょいいるようです。うちの大学院の場合、なぜかこれが二段階に分かれていて、第一弾は1年目の夏休みの終わりにやってきます。

この第一弾は、コアの五科目(教育史・教育の政治学・教育経済学・国際比較教育学・計量経済学)から出題されます。試験は午前と午後、それぞれ4時間にわたって行われます。午前中は3科目それぞれ出題されるのですが、その中からどれか一つ選んで答えることになります。午後は、午前中に出題されなかった2科目の問題が提示されて、どちらか一つに答えることになります。

私の専門分野を考えると、この夏は教育経済学・国際比較教育学・計量経済学に山をはって勉強を進めるのが得策なように思われます。この3科目さえやっておけばよほどの事がない限り、試験は楽々パスできるはずです。そう、よほどの事がない限り…。

ちなみにですが、うちの学年は留学生×3人、米国人×2人という構成で、その中で私を含めた留学生の二人が経済学で修士号を取得しています。もし私が今年の試験担当の先生だったら、留学生に楽をさせない&米国の教育システムをキチンと習得させるために、午前と午後の科目選択を確実に下のようにするでしょう。

午前: 教育経済学・国際比較教育学・計量経済学

午後: (米国)教育史・(米国)教育の政治学

くじ引きでランダムに科目が選ばれるのであれば、このような組み合わせになるのは1/10の確率なので、自分の得意な3科目に絞ったとしても、9/10の確率で試験はパスできます。しかし、科目の組み合わせはくじ引きではなさそうなので、教育政治学か教育史の勉強もしないと、ヤバそうな感じがします。

ちなみにですが、あまりに英語のライティングが酷くてこのままではExamい落ちるということで、指導教官から夏の特訓を命じられました。具体的には、関連分野の2つの論文を読んで500ワードでサマリーを書き添削を受けるというものを、夏の間に20回はやるように言われました。1か月まるっとサマーコースに行って、その間はこの特訓が一切できないことを考えると、なかなかタイトなスケジュールで、これは地獄…。

③博論のリテラチャーレビュー

①と②だけでいっぱいいっぱいな感じがしますが、博論に向けたリテラチャーレビューを進めて、夏の終わりに指導教官に報告する必要があります。具体的なフォーマットや分量は指定されていないので、サボろうと思えばサボれます。しかし、2年目の夏の終わりにやってくるQualifying Exam第2弾は、博論のプロポーザルに基づいて出題されるので、1年目の夏にサボると第2弾で撃沈することになります。


1年目の夏ぐらいリラックスできると思っていたのに、なかなかそうはいかないようです。他大のPhDの学生はどんな1年目の夏を過ごされるのでしょうか…。

サルタック・シクシャは、ネパールの不利な環境にある子供達にエビデンスに基づいた良質な教育を届けるために活動していて、現在は学校閉鎖中の子供達の学びを止めないよう支援を行っています。100円のサポートで1冊の本を子供達に届ける事ができます。どうぞよろしくお願いします。