国際機関の面接でビデオ録画させられた話

こんにちは。先日のことですが、国際機関の面接に久しぶりに呼ばれたのですが、その形式がPre-recorded video interviewという今まで一度も遭遇したことが無いタイプのものだったのですが、ググってみた感じ、この形式の面接の解説記事もあったりするぐらいポピュラーになりつつあるようなので、この経験と学んだことを書き残しておこうと思います(勿論、面接の内容は守秘義務を課せられているので、今回はあくまでもフォーマットに焦点を当てた記事です)。

まあしかし、私が国際機関を相手に初めて受けた面接は2008年で、その頃はまだ普通に国際電話で「しもしもー?おったまげー」とやっていた事を考えるとテクノロジーの進歩のスピードって恐ろしいですね。

Pre-recorded video interviewの招待メールとリンク先

まず、私が受けたPre-recorded video interviewがどういう形式のものだったかシェアしたいと思います。

最初にPre-recorded video interviewに招待しますというメールを受けとりました。しかし、そこにはこの面接を受けるためにはソフトウェアはversion何々以上ではないとダメだよというソフトウェアに関する記載があるのと、X日以内に面接を録画してくださいという指示があるだけで、フォーマットに関する説明は特にありませんでした。ちなみに私の場合は、メールを受け取ってから4日以内に受けて下さいとの事だったので、結構余裕をもって準備することができました(どうせお前のことだから、直前になってドタバタとやったんだろう?という端的な事実のご指摘は受け付けていないのであしからず)。

Pre-recorded video interviewが具体的にどのようなものであるかの指示は、メールの中にあった面接を受けるためのリンク先に書いてありました。そのページの中の解説では、①一つ練習セッションがある、その練習セッションは採点対象とはならないし、11回まで練習できる、②時計が表示される、③やり直しはできない、の3点について長々と説明がありました。

ちなみにですが、このメール内にあるリンクを押すともう録画を始めなければいけないと思ってしまうかもしれませんが、リンクを押して説明ページを開いても、解説ページ内の「次へ」を押さなければ別にページを閉じてしまっても大丈夫なので、安心してページを開きましょう。

Pre-recorded video interviewの練習セッション

さて、解説ページ内の「次へ」を押すと、もうそこからは引き返せない練習セッションが始まります。練習セッションでは、初級英会話で聞かれるような超単純な質問に対して回答する感じです。もちろん、あまりにも問題が面接と関係ない内容なので、ここは100%採点対象外だと感じました。

練習セッションの目的は、カメラやマイクがちゃんと機能しているかをチェックすること…だけではないなと感じました。自分の受け答えが録画されたものを、誰かがチェックすると考えると、カメラやマイクの機能以外に少なくとも次の2点もチェックしておくべきだったと思います。

一つ目は、目線です。私は練習セッションを早々に切り上げ本番に向かってしまったので、本番中に気が付いてしまったのですが、カメラを向いて話しているつもりでも、録画を見直すと思いのほか目線が正面に行っていませんでした。折角練習セッションが11回もやり直せるので、どこを向いて話せば目線が正面に行っている感じになるのかチェックをしておくべきでした。これを読んだ皆さんは、私のようなミスを犯さないでくださいね。

二つ目は、姿勢です。これも同様に本番に入ってから気が付いたのですが、見られているという緊張感がないせいか、思いのほか姿勢が悪く、なんだか偉そうに映っていました(え、悪いのは外見だけにしとけって?やかましいわ!!)。これも練習セッション中に自分の姿勢がどうなっているかチェックすれば防げた事態なので、皆さんは気を付けてください。

Pre-recorded video interviewの形式

さて、本番です。どのような形式になっていたかと言うと、次へボタンを押して画面を切り替えると、質問が文章題で提示されていました。その文章題に対して2分間考える時間を与えられて、2分以内に答えきるというものでした。この考える時間と答えきる時間は問題によって異なるので、2という数値はあくまでも具体例としてとらえてください(私のP4レベルの面接では4分以上のものはありませんでしたが、P5とか偉い人の面接になると、特に答えきる時間は長くなっていても不思議ではないかなと思いました)。

一つの問に答えて、次へのボタンを押すと画面が切り替わって、新しい問題が表示されてまた2分程度で回答を考えて2分で答えきるという問題が続いていく感じになります。私の場合はこれが6問ぐらいありましたが、問題数はポストによって異なるはずです。

ちょっとえぐかったのが、問題の一つが、問題文だけでなく画面全体がフランス語で表示されるものがあって、フランス語を全く読めなければマジでなんのこっちゃ状態に陥ってにっちもさっちもいかなくなるというものが紛れ込んでいました。対面の面接であれば、「私フランス語ができないんで、英語でお願いしマッスル」という手が使えますが、このPre-recorded video形式だとそんな言い訳が使えないのがえぐいなと思いました。ちなみに私はフランス語は、受け答えをスムーズにするのはできないものの、読んで話すぐらいはできるので、「フランス語読めるし、ちょっと話せるんだけど、そんなに得意ではないので英語で回答させてください、ごーめんなさいよー」とフランス語で話して後は全部英語でやり通しました。それが良かったのかダメだったのかは、この記事を書いている現時点ではまだ分からないので、結果が分かったらまたアップデートしようと思います。

Pre-recorded video interviewを受けた反省

少しのことにも先達はあらまほしき事なり、とはよく言ったもので、やはり初めてのことだったので、実際にこの形式の面接を受けてみてLessons learnedがいくつか出てきました。

①回答にスキを作らない

対面のCompetency based Interview (CBI)の場合、私は敢えて回答にスキを作るようにしています。なぜなら、ある特定のコンピテンシーに関する質問が飛んできて回答した後に必ず追加の質問が来ますが、予想外の質問に対処するよりも予想内の質問に対処する方が圧倒的に楽だからです。そのため、ここに質問をさせたいという所はあえて回答の解像度を下げるなどして、そこに質問を飛ばさせるように誘導に掛かります。

しかし、Pre-recorded video interviewの場合、カメラに向かって喋るわけで、当然質問も飛んでこないので、普段の様にスキのある回答をすると、シンプルに不充分な回答になってしまいます。対面のCBIに慣れている人ほど、このミスはやりかねないので(やらかした)、対面のCBIとは全く別物なんだぞと心がける必要がありそうです。

②フィラーが出ないように気を付けろ

TOEFLのスピーキング対策をしたことがある人なら一度は聞いた事があるであろうフィラーとは、「ええと・・・」「うーん」など、話の合間を繋ぐ意味の無い音のことです。

もちろん、対面のCBIの場合、質問を投げられてから答えるまで考える時間は与えられないので、このフィラーが連発されることになります(まあ、事前にこのコンピテンシーにはこのストーリーと作ってあるので、言う程フィラーを連発することにはなりませんが)。しかし、このPre-recorded video interviewの場合、質問が表示されてから答えるまでに2分間の時間が与えられるので、どれだけ問題を読むのに手こずったとしても1分以上は考える時間があるわけです。そして、カメラに向かって話し続ける訳なので、このフィラーを連発してしまうと、悪いまで行かずとも決して良い印象にはならないだろうなと、ビデオを見返して感じました。

TOEFLのスピーキング対策でフィラーを出すなと言うのは、きっと国際協力を仕事にしている人なら大半が一度は経験しているはずなので、その時のことを思い出せばいいんじゃないかなと思います。

③エレベーターピッチの練習を

対面CBIの場合、勿論だらだら長々と話していればストップをかけられますが、基本的に時間制限があるわけではありません。このため、特に時間は意識する必要が無く、ストーリーラインがしっかりしているかだけに意識を集中させることができます。

しかし、Pre-recorded video interviewの場合、制限時間が来たら途中でも録画が止まってしまいます。しかも、やり直しは効きません。このため、頭の中に完成されたストーリーラインがあっても、時計を見ながら時間が足りなくなってきたら削らなければならないですし、逆に時間が余りそうになったら何かしら付け加える必要が出てきます。

つまり、対面CBIと違って、時間への意識、という要素が加わってきます。これもTOEFLのスピーキングの練習をしていれば経験しているはずの要素になります。しかし、私の記憶が正しければですが、TOEFLのスピーキングの回答時間は確か1分を超えないものばかりだったと思うので、フィラー問題とは異なりTOEFLのスピーキングをやるだけでは対策として不十分なように思います。

恐らくこれも国際協力をやっている人なら練習したことがあると思いますが、エレベーターピッチの練習の方が対策として優れていると感じました。知らない人のために解説しておくと、エレベーターピッチは、エレベーターで偶然乗り合わせた重役や偉い人に、エレベーターに乗っている間に自己紹介を完結させるというものです。私の場合は、30秒・1分・2分・3分バージョンをそれぞれ持っていて、深く考えなくても話せるようにしてあります。時間がある時にでもこれの練習をやっておくと、Pre-recorded video interviewの中でも与えられた制限時間でどれぐらい話せるのかの感覚が付きそうなので、ために練習をしておくとネットワーキングだけでなくPre-recorded video inerviewの対策にもなって一石二鳥かなと思いました。

まとめ

特にまとめるようなことも無いのですが、たとえ同じ質問が飛んできたとしてもPre-recorded video interviewは対面CBIとは全くの別物という意識を持って、自分の対面CBIの経験で何とかなるという過信を抱かないことが重要かなと思います。可能であれば、対面CBIにかける準備と同じぐらいの時間をPre-recorded video interviewの準備にもかけてよいと思います。

毎度の注意書きになりますが、全く同じ記事をNGOの「国際協力キャリア」のマガジンでもあげていますが、内容も購入して頂いた資金の行き先も全く同じなので、両方購入したりしないようにお気を付けください。

そのうちこの記事も有料にしようと思いますが、数日程度は無料でおいとこうと思います。もし役に立ったので寄付したいという方がいたら、下記に有料ラインを設定して猫の写真を置いとくので、よろしければどうぞ。

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サルタック・シクシャは、ネパールの不利な環境にある子供達にエビデンスに基づいた良質な教育を届けるために活動していて、現在は学校閉鎖中の子供達の学びを止めないよう支援を行っています。100円のサポートで1冊の本を子供達に届ける事ができます。どうぞよろしくお願いします。