エモーショナルの壁

コンサルタント稼業をやっていると、「ロジカルシンキング」をよく求められる。私は構造化とか、フレームワークとかあまり好きではないのだが、結局そういう類のものを使った方が早いので使うことも多い。

ただ、よく思うのは「論理的に整理された資料や意見」がお客様に刺さるか?というとそうでもないことが多々あるという疑問。なぜだろう、こんなにも論理的に問題を分析して解決策を提示しているのに。そんなジレンマないだろうか?

こういうときにぶつかるのがエモーショナルの壁。「あいつが気に入らないから採用しない」なんて子供じみた話から、「Aさん派なので、彼を否定する意見は採用できない」なんて政治的な話まで。結局通らない意見は意味があるのか?私は無いと思う。

コンサルタントは自分の意見を聞き入れてもらってこそ(我を通す、無理やり従わせる、とかではなく)一人前。実行性があり、お客様に変革をもたらすことができなければ、その仕事は絵に描いた餅。画餅しかできないヤツはアナリストでしかない。ひどい場合は単なる批評家。

そんなときはそのエモーショナルな考え方を枠組みにして構造化してみよう。

政治的な背景はステークホルダーマップみたいなものを作ればよいし、その人の性格はタイプ分析みたいなものをしてもよい。とにかくエモーショナルな要素をロジカルに分解する。

そして最大のコツはその結果をもとに、エモーショナルに説明したり、説得したりすること。感情的な要素を熱量無く、淡々と伝えても伝わらない。感情もコントロールして、相手の熱量に合わせる。それによって同意が得られる可能性はグッと高まる。

ロジカルシンキングって実はこのためにあるのだ、とすら私は思っている。勘違いしているすましたコンサルタントも世の中には多いが、私は泥臭くて暑苦しいコンサルタントを目指している。

ただ世の中には順序が逆で、自然にエモーショナルな発言ができ、よくよく考えると論理矛盾の無いことをスラスラ口から出せる人間もいる。こういう人はそのままで良いと思う。割とできる営業はこのタイプが多い。


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