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ティアーズオブザキングダム は人生の原体験

一ヶ月ほど前になりますが、ティアキンを全クリしました。
5月も初旬に発売されて以来はや半年、完全に今まで自分がプレイしてきたゲーム史上最長のプレイ時間となった今作は、全クリしたといえどまだ「エンディングは見た」程度で、正直そのすべての半分程度しか網羅できていないだろうと思う。
まだまだ息の長そうな今作だけれど、ここらで一区切り、全体の所感などを記録できればと思います。

▲オープンワールドxゼルダの絶妙な化学反応▲

前作ブレワイのプレイ前に思ってたんだけど、昨今かなり市場を広げてきているオープンワールド、ゼルダと上手く交わえるのだろうかと期待半分、不安半分なところも正直あって。
ゼルダって結構硬派なシリーズだと思ってるから、変に最新のシステムを導入して、ゼルダならではの良さが無くなっても嫌だな…と杞憂していたのだけれど、そんな不安を抱いていたことすら忘れるくらい素晴らしすぎる完成度だった。
そして今作は前作のフォーマットを引き継ぎつつも、なんと更にスケールアップ。
正直、地上の他に同じ面積の空と地底のフィールドまで用意されてると知った時は流石に腰が抜けた。

ウルトラハンドで自由にオブジェクトを操れる。トーレルーフで物体を通り抜けられる。モドレコで空から降ってきた岩によじ登りそのまま天高く上昇できる。
さすがにデフォで自由に空は飛べないけど、ウルトラハンドの活用次第では実質それも可能になってしまう。
ここまで聴くと、もうゼルダじゃないじゃん…と思ってしまうかもしれないけど、その真価が現れたのはダンジョン攻略での場面。
個人的な話になるけど、炎の神殿で、どう考えても正攻法ではない攻め方で壁という壁をよじ登りまくり半ば強引な攻略ができてしまった時は思わず笑ってしまった。
ただ、それでゲーム自体が崩壊しているとは感じなかった。他のゲームではバグ技とまで捉えられるような、「それはさすがに無いだろ」と思うようなやり方も、この作品では「一つの正攻法」として成り立ってしまう。
そしてゲームシステム自体もそこを特に制限していない所に、今作の度量の大きさを感じる。

▲好奇心のおもちゃ箱▲

前作でも感じていたけど、好奇心の刺激の仕方が本当に上手いなと思う。
道中、本当は目的地まで早く行きたいのだけれど、どうしても気になる人物や建物、オブジェクトなどが目に入る。
もちろん無視してもいいのだけど、今作の上手い所が、これらに実際に立ち寄り何かしらのイベントをこなしたとしても、一部を除き所要時間はそれほど長くない。
この所用時間がなんとも絶妙で、「そんなに時間も取られないだろうし、寄ってみるか」という気持ちにさせてくれるのだ。
そしてそれらをこなした後にはきちんと対価が与えられている。
それが分かっているから、少し億劫になっても立ち寄る気にさせてくれるのだろう。

また、なんといっても今作の目玉の一つは4つの新機能(ウルトラハンド/スクラビルド/モドレコ/トーレルーフ)であろう。
その中でも特にウルトラハンドとスクラビルドに関しては、もう実質遊び方が無限にあるのではないかと感じさせる魅力がある。
まるで工作や日曜大工をするように、ウルトラハンドでオブジェクトを自由に組み立てられる。車や飛行機もどきも作れちゃう。そしてそれらの造形も人により様々なのだ。
スクラビルドで武器同士を合体させられるのは、前作で若干のストレス要素であった武器の耐久性の改善に大きく貢献しているように思う。耐久性自体は変わらないのだが、気軽に強い武器を作れるようになったことで、気兼ねなく強武器を振り回せるようになった。そしてこれまた、工作的な妄想を掻き立てられるのである。

▲ティアキンは人生の原体験▲

オープンワールド自体がそうなのかもしれないけど、ティアキンをやっていると没入感がすごいというか、まるでティアキンという第二の人生を歩んでいる気になるんです。
スカイリムのファンが、スカイリムをプレイすることを「スカイリムに帰る」って言うらしいけど、まさしく言い得て妙だなと思った。
なんというか、早く次の展開が見たいのに、急ぎたくないんです。
それでこれだけのプレイ時間になってしまったのか。どうなのか。
ティアキンをやっていると、急ぐのってナンセンスだなと思ってしまう。
ゆっくり流れる雲や沈んでいく綺麗な夕日を何もせずぼーっと眺める。突如降り出した雨に動きをとられ、雨宿りできる場所を探す。
まるで自分自身がそこにいたらそうするように、ゲーム内のリンクの行動にも反映してくる。
正直、旅の途中に良い感じのテントの跡地や屋根のある建物を見つけて、そこで焚き火をしてのんびり外を眺めるなんて体験、この作品でしかしたことないかも。
それもこれも、きっとリンクに自分自身を重ねてしまっているからこそ起こる行動なのかも知れない。

自分、もうすぐ2歳になる息子がいるんですが、散歩してたりして道端に気になるものがあると立ち止まって眺めてたり、いじくって遊んだりするんです。
ティアキンやってる時の自分も、きっと同じ感覚になっているのかなと。
あれなんだろう?気になる!登ってみたい!触ってみたい!
そんな原始的な感覚に戻してくれる。
人生が始まったばかりの息子のように、目に見えるものがすべてキラキラ輝いて見えて。
まるで人生の原体験のような、そんな作品だと思う。

▲次回作は?▲

今作以上に「冒険してる」感があるゲームを自分は知らない。まるで小学生の時ゲームをしていた自分のように、無邪気に楽しめたと思う。
「アタリマエ」を見直し続けた結果、「新しいアタリマエ」が出来上がった。こんなにも長く続いているシリーズなのに、まだ伸びしろがある所にはもう脱帽である。
ゲームの歴史を新たに塗り替えた2作に続く次回作は一体どうなるのか。個人的には、オープンワールドのフォーマットでゼルダがやれることはある程度、この2作でやりきってしまった感はある。
そんな中なので、次回作は原点回帰の意味も込め、古き良き箱庭xダンジョン7-8個でいかがだろうか?
なおかつ、謎解きの難易度がより高ければ非常に嬉しい。
今回のティアキン、まるで隙のない作品に見えるが、多少不満足な部分もあって。
その一つがダンジョンの謎解きの難易度だった。
前回もそうだったけど、恐らくこの2作は謎解きよりもオープンワールドでやれること、に重きを置いたのだと思う。
もちろんそれで正解であったので何も言うことはないのだけれど、やはりゼルダといえば謎解き、な部分が個人的にはあって。
あの水の神殿やロックビルの神殿を超えるようなダンジョンを、また見てみたいなと思うのである。
ブレワイ、ティアキンでさらなる新規ファンを勝ち取った。そこで次は古参ファン歓喜の作品もいかがでしょうか?

ゼルダチームの皆様、是非ともご検討の程よろしくお願いします。

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