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書店員さんからの感想をご紹介! 『こんぱるいろ、彼方』本文公開 番外編


『こんぱるいろ、彼方』の第一章と第二章、いかがでしたか。物語はこの後、祖母・春恵の章へつづきます。どんな物語かもう少し知りたいという方のために、書店員さんからの感想をご紹介します!


とてもとても良かった!
『ボートピープル』幼い頃、大きくない舟に人が溢れそうなくらい乗っている映像を見た記憶がある。
母・真依子は子供を案じて、自分がベトナム人であることを隠し、日常生活に追われるなか、自らの出生については深く考えることなく、過ごしてしまっている。だって毎日色々あるし、生きるって大変ですもん、娘がいつの間にか自分を軽々と超えていたと知る。
嬉しい反面、悔しくもあったのでは…
奈月は自分のルーツに関心を持ち、旺盛な好奇心と素直な心でベトナムの歴史や人々の悲しみを知っていく。
なんかいいなー奈月ちゃん! くもりのない眼で見てどんどん色々な人から話を聞いて、自分の頭で考える事ができる素敵な子だ。そんな奈月が、家族、親戚に与える影響は大きい。
おばあちゃんのフラメンコの場面が特に大好きです。力強くて、爽やかな読後感が良かった!
未曾有の困難の真っ只中にいる今だからこそ、その先にある希望を感じさせてくれるこの本が広く読まれて欲しいと思います」
(三洋堂書店新開橋店 山口智子さん)

「越南。東南アジアの中では、日本との交流は深い国だと言えるだろう。
令和の今でも、多くの方が日本で暮らしている。
かつては、今の朝鮮半島の様に、南北に分かれていた。
ベトコン、枯葉剤。ベトナム戦争の痛々しい記憶。
困窮者たちの流民化。
半世紀近くも前にボートピープルとして家族と共に日本に来た真依子は、母国語さえ話せない。子供たちは母の過去を何も知らずに育ち、やがて娘が旅行でベトナムへ行くと言う…。
そして、物語は転がり出す。
自分のルーツ、異国の親族、家族の絆。現在・過去・未来。生き続き想い継がれる魂の記憶。
彼女たちは、きっとこんぱるいろのアオザイも似合うに違いない。
野田一家に幸多かりきことを祈念」
(大垣書店豊中緑丘店 井上哲也さん)

「椰月先生の作品の中でも、ずっしりと深みのある物語でした。
”自分のルーツとは何だろう…”と考えながら読了しました。
親、祖父母、親族の生まれた頃の話を、今からでももっと聞いてみたい気持ちになりました。
国籍にとらわれず生きることは難しいけれど、今自分が生きている、この時が
この先も”こんぱるいろ”のように輝いていますように…と目を閉じました」
(ブックランドフレンズ 西村友紀さん)

「家族の物語であり、国の歴史を伝える物語でもある。
読んで初めて知る事柄の多さに己の無知を恥じる」
(文教堂北野店 若木ひとえさん)

「優しい家族のお話ですね。”ボートピープル”が遠い歴史のような気もしますが、
いえ、ベトナム戦争は、ついそこの過去だったのだなあとあらためて思います。
ベトナム、アジアの家族は、いいですね。結束量が強い。愛情が強い。
『心配や不安は、悪い現実を引き寄せる。常に大丈夫だって思っていれば大丈夫なんだ』というスアンの夫の言葉が好きです。
こういっては何ですが、そう思って前を向いていた人達が幸せな日常を手に入れたのかなあと思いました。
ベトナム人がお母さん? 今だったら、かっこいい−−なんて思うかもしれないけど
やはり突然知らされたら、えっ? と思うのかもしれませんね。
椰月先生のお話は、いつもささやかな毎日のお話なのに、強い優しさに溢れているような気がします」
(有隣堂藤沢店 佐伯敦子さん)

「ごく普通の家族がいきなり極地に。
主人公が近所のスーパーの総菜売場で働くパートというのがいい。
あることがきっかけだった。
それは娘の海外旅行のために必要なパスポート。ついにベトナム人であることを明かすことに。
娘の怒りは沸点。家族が再生していくものがたり。
なぜボートピープルになったかも、多くの読者に知ってほしい。
椰月美智子さん、やっぱりいいんだなあ〜」
(明林堂書店別府本店 冨田昭三さん)

悩み苦しんでいることも勇気をだして話すこと、そして知ってもらうことで
お互いの世界観が一変する
。国は違っても相手を思い合う気持ちは一緒ということを改めて教えていただけました!!
読み終わった後に心の隅々まで、ふわーっと幸せが広がりました!!
とても温かく優しい素晴らしい作品を拝見させていただき、誠にありがとうございました!!!」
(紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん)

すぐれた小説は私たちを「対岸」——そこには未知だったものや、知ってはいたが無関心だったものがある——に連れて行ってくれる。
きっと私たちは怖れを抱くだろう。しかし悩みながらもそれらを自分のなかに取り入れていくことで、彼女たちが見ていたこんぱるいろの海を、私たちも思い描くことができるようになるはずだ。
そしてそれを教えてくれたのが、かつて海を渡って日本=対岸に来たひとたちであることは、登場人物の言葉を借りるなら、運命ではなく『必然』なのだろう」
(本屋 lighthouse 関口竜平さん)

「ベトナムはなんだか遠いような近いような国という印象で読み始めました。
この小説に書かれている事は、一部でしかないのに、それすらも知らなかったな…と。
でも、奈月の言うように、どちらも正しいんだと思う。それぞれが違う思想の下に戦っていて、
どちらが悪いわけでもない。きっとそういうことはこの世の中に溢れている。
フラットな視点というのはなかなかに難しい。

こんぱるいろ。金春色。ひらがなのかわいらしさ、漢字の美しさ。響きもかわいい。ターコイズブルーのことなんですね。好きです。ターコイズブルー。
ニャチャンの海、きれいなんだなあ…」
(ブックセンタージャスト大田店 島田優紀さん)

「お母さんの気持ちが痛いほど伝わる中で、娘・奈月のたくましさは、革命的だ。
家族や周りの人に、未来に向けたエネルギーが灯る。
遠い国が、突然心の中の国になる。
ベトナム戦争、沖縄の歴史、ただの言葉だけでなくて
当事者の心情を伝えてくれて、私たちは知ることが大事だと小説の力に胸が熱くなる。
美しいこんぱる色に染まりながら…」
(うさぎや矢板店 山田恵理子さん)

「明るい。
ボートピープルとして来日した家族、その三世代の女性の物語。
でもその中心となる母親のマイが、あるものをあるがまま受け入れ、
それでほぼ満足できる質で、考えながらも深刻にならない。
祖母の春恵のベトナムの思い出、娘の奈月の友人とのベトナム旅行、春恵のフラメンコの発表会、
どれも明るい。

ボートピープルの家族をこんなふうに描けるんだなあと思った」
(有隣堂ラスカ小田原店 高橋美羽子さん)

「『ボートピープル』久しぶりに目にした言葉。
そしてその後も日本に渡って来た人達の人生は続いているんだという当たり前の事実に思いいたった。
人間の持っている強さ、優しさが胸を打つ。
強さはひとつではない。強さには種類がある。

真依子も強い。そして奈月は眩しいほどの強さと優しさを持っている。
どこの国、ではなくて個々の問題なのだと思う。
文化・しきたり・何を思って歩んできたかが、問題になるのではないだろうか。
同じ日本人でも育った地方によって全く風習も違う。
国が違うという事はそういう事だとこの本を読んで強く感じた。
どこの人間か、ではなく自分は自分なのだという事。
御蔵くんの寛容さと懐の深さ、見習わなければ…!!」
(文真堂書店ビバモール本庄店 山本智子さん)

「近いのに遠い国ベトナム。しかし、
この家族から僕たちは、忘れてはいけない大切なことを学ぶだろう」
(くまざわ書店南千住店 阿久津武信さん)

「どんな状況や時代でも生きることをあきらめない権利が、
常に我々の手にあることを改めて教えてくれる。
そして『この人』がいたから、今自分がこの場所にいるという大切さ。
いつも日常において時々忘れてしまうけど、当たり前な気付きを
そっと寄り添うように、椰月さんはこの物語でも描いてくれた

(大盛堂書店 山本亮さん)

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こんぱるいろ

『こんぱるいろ、彼方』(小学館)

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