食品表示

2023年3月26日の東京新聞サンデー板が「分かりにくい・選べない食品表示」という特集でした。食品表示(特に遺伝子組み換えについて)に関しては、自分でもかなり気になっていたことなので、まとめてみました。

2001年にスタートした『遺伝子組み換え食品の表示』が、2023年4月から内容が厳格化され『分別生産流通管理済み』など、今まで以上に分かりにくい表示に変わるそうです。

遺伝子組み換え食品については
■2001年4月
遺伝子組み換え作物の意図せざる混入が5%以下の場合、『遺伝子組み換えでない』と表示可能とした。

■2018年
当初、消費者庁は『分別生産流通管理済み』と表示したが、消費団体、生協などから分かりにくいと多数の声が上がり、

■2022年3月
新たな表記例として『遺伝子組み換え混入防止管理済み』を追加し、大手納豆メーカーの中には一部の商品の表示を切り替えたところもあるが、ほとんどのメーカーは「分別生産流通管理済み」のまま表記。

■2023年4月
2001年4月からの『遺伝子組み換えでない』という表示が2つに分かれる
1,遺伝子組み換えでない
  遺伝子組み換え作物の混入が一切ない(不摘出)場合のみ
2,分別生産流通管理済み
  遺伝子組み換え作物の意図せざる混入が5%以下の場合

以上の2つが『遺伝子組み換え混入防止管理済み』となる。

※『分別生産流通管理済み』とは
米国やブラジルなどでは、遺伝子組み換え(GM)作物と、遺伝子組み換えでない(非GM)作物が生産、流通している。非GM作物を希望する商社や食品メーカーの要望に応えるため、GM作物が極力混入しないように生産から製造、流通までの段階で分けて管理するシステムをいう。

※ 米国で生産される大豆の94%は遺伝子組み換え大豆(2018年)
消費者庁が2016年に米国などで分別した非GM作物に、どのくらいのGM作物が混入していたかの調査では、大豆の購入率は平均で0.1%、最大で0.3%であった。
この結果をみても、混入が5%以下という『分別生産流通管理』の数値はかなりあまいもので、1%の設定で良いと思うのだが、なにをもって5%なのか甚だ疑問である。


ゲノム編集食品
について
植物や魚、家畜がもつ遺伝情報全体(ゲノム)の中にある「特定の遺伝子を人工の酵素で切断、突然変異を起こし」て目的とする性質を持つ品質を効率良く作る食品。

消費者庁は「自然界で起きる突然変異、従来の品質改善で起こる変化と変わるところがないため、食品として安全性は確保されている」として表示を義務化していない。つまり、現状では「ゲノム編集食品を食べたくない」という人の選択する手だてはない。

2023年4月現在、流通してる「ゲノム編集食品」は下記の3つである。
・肉厚のマダイ
  リージョナルフィッシュ社の「22世紀鯛」
・成長速度の速いトラフグ
  リージョナルフィッシュ社の「22世ふぐ」
・GABAを多く含むトマト
  サナテックシード社の「シシリアンルージュハイギャバ」

スシローや京樽などを運営する、株式会社FOOD & LIFE COMAPNIES は、
2021年11月からリージョナルフィッシュ社、プラチナバイオ社とゲノム編集技術などを活用した魚類の品種改良にかかわる共同研究をスタート。
2021年9月に「種苗改良技術・ゲノム編集を通じた持続可能な養殖・水産産業の現実に共感した」と、リージョナルフィッシュ社へ出資。

ゲノム編集食品の問題点(オフターゲット変異)
ゲノム編集で、狙った位置以外の、よく似た延期配列にくっつき、その部分を切断してしまい、目的外の遺伝子の変異を引き起こし、予期せぬアレルギー物質や毒性物質ができるリスクが指摘されている。

誰のための食品表示(日本消費者連盟顧問・天笠 啓祐)
原料原産地表示は、輸入作物を原料に使っても、国内で加工すれば「国内製造」と表示可能であり、食品添加物はまもなく「無添加」「不使用」表示が使えなくなる。
2023年4月より、遺伝子組み換え原材料が不検出のものしか「遺伝子組み換えでない」と表記できなくなってしまい、輸入原料に依存んしている日本では、その過程で遺伝子組み換え食品混入の可能性は大きく、不検出を確保することが難しいため、「遺伝子組み換えでない」「遺伝子組み換え大豆不使用」という表示が消え「分別精算流通管理済み」という表示か「表示なし」になる。

消費者庁は新制度の中で、醤油や食用油などの表示義務がない食品が「遺伝子組み換えでない」と表示する場合はその社会的検証を求めた。
社会的検証とは、原料原産地表示のように、作られた食品から科学的に検証できない場合に用いる、書類などを通して行う検証方法で、食用油などの食品は、その製造過程で遺伝子やタンパク質が分解され、科学的に検証できないとして、表示対象外となってきたが、消費者団体はトレーサビリティ(いつ、どこで、だれによって作られたのかを明らかにすべく、原材料の調達から生産、そして消費または廃棄まで追跡可能な状態にすること)を取り入れれば表示可能を主張してきたが、国は一貫してそれを行おうとはしない

種苗法の改定(改正と言っているが・・・)もそうだが、現時点では、全てが米国を筆頭とする諸外国のために行われている気がしてならない。
もちろん、遺伝子組み換え食品やゲノム編集食品を否定するものではないが、老若男女違わず体内接種する食品については、その安全性が担保されなければならないことは明白である。

ゲノム編集食品については、ゲノム編集食品に表示がないことに危機感を持った市民が、2021年7月に『OKシートマーク』を作り、『OKシードプロジェクト(https://okseed.jp/)』が作成、運営している。

全世界的異常気象が、作物、魚介類、畜産物等あらゆるものに影響を与え、将来的な対策を行わない現状で、遺伝子組み換え食品、ゲノム編集食品は推進されるべき研究である事に異論はないが、原子力発電同様、何か起こった時の対策を怠ってはならない。想定外は許されないのである。

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