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即戦力左腕2人への期待

今季のカープも昨年に引き続き、シーズン負け越しが決定した。

昨オフのドラフト会議では、栗林良吏など即戦力投手を3人獲得。更に鈴木誠也のメジャー流出に伴う、カープ在籍最終年の可能性があることから、野手陣も3Aで本塁打王を獲得したケビン・クロンを補強。久しぶりに球団フロントの本気度が伝わる昨オフだった。

しかし蓋を開けてみれば、序盤から低迷。交流戦では、NPBワースト記録の3勝で終わり、最下位争いも経験した。終わってみれば佐々岡政権、2年連続のシーズン負け越しとなった。

ただ暗いニュースばかりではなかった。小園海斗、林晃汰、坂倉将吾ら若手の台頭も目立った。小園海斗、林晃汰は弱冠20歳ながら、攻守ともに期待以上のパフォーマンスを発揮し、自らの手でスタメンを掴み取って見せた。坂倉将吾は、23歳の若さで打棒が開花。現在、首位打者争いの真っ只中だ。

3連覇した時にはいなかった彼らが再び、強いカープを築こうとしているのだ。

そんな彼らと一緒に優勝争いの出来る選手の指名が期待された今回のドラフト会議。カープは、1位、2位で黒原拓未、森翔平両投手を指名した。この2人には、1年目から即戦力投手としての活躍が期待される。小園海斗、林晃汰、坂倉将吾らと一緒に強いカープのワンピースとしての活躍に期待がかかっている。

この記事では黒原拓未投手、森翔平投手の特徴、彼らにかかる期待について述べていく。

・ドラ1   黒原拓巳投手

①ピンチで上がるギア

「ピンチになった時に、消極的にならずにどんどん強気で攻めれるタイプだと思う。そういうピッチングスタイルで力のあるストレートを見ていただけたら。」

1位指名を受けた直後の会見で話したように、ピンチでギアが上がることが黒原投手の特徴のひとつだ。

「勝負所を理解している。終盤でも球威が衰えていない。」と今春のリーグ戦を視察した担当スカウトもギアチェンジ、タフさを評価。

更に、投手が出したランナーの残塁率を測る指標であるLOB率(平均70-72%)が今春リーグ戦では、91.1%を叩き出していることからも、ランナーが出てからの投球で1段とギアを上げていることが分かる。

②不安視された制球力

薮田和樹、岡田明丈、矢崎拓也など速球派で、四球渦に苦しんでいて、長らく一軍での活躍を見ていない選手がカープにはいる。

「暴れるイメージ。」と視察したスカウトがコメントした様に黒原拓末投手も今春までのリーグ戦では、制球に課題があるように見られた。

しかし、秋のリーグ戦では制球難が改善傾向にある。空振りの取れるスライダー、チェンジアップの他にもカウントを有利にできるカーブを駆使しているのも安心材料の1つだろう。

スカウトからも「暴れるイメージだったが、コントロールもいい。両サイドに投げ分けられる。」と阪神スカウト、「制球が散ることも無くなってきた。」と中日スカウトから評価されている。


データを見てみると、大学1年から大学4年の春までの四死球率(9回あたり)が4.15なのに対して、最後の4年春のリーグ戦の四死球率は平均的な3.17と良化している事が分かる。

③ドラ1候補になったきっかけ

ドラフト1位候補になるきっかけになったのは、昨年11月に遊離軟骨除去手術を終えた後。セットポジションに入った時の手首の角度を変え、着地する際に右膝が割れるくせを改善。

この結果、制球力と変化球の制度が大幅に向上。変化球でも三振を奪えるようになり、それ以前よりも投球の幅が広がったことで、投球内容も格段に良くなった。

今年の春のリーグ戦では、3完封を含む5勝し、リーグ優勝の立役者となった。特筆すべきは、51イニングを投げて自責点4、防御率0.70と圧倒的なパフォーマンスを魅せたことだ。

・ドラ2  森翔平投手

①先発投手としての期待

真っ直ぐに変化球を交え、低めを狙って投げ込んで行く投球スタイルで入社1年目から先発投手として活躍している。


「左の先発としてローテーションを争う可能性がある。」と広島の担当スカウトが話すように、球団からは床田、高橋昂らと共に左腕王国形成に向けて、期待がかけられている。


一方の本人も「1年目から2桁勝利、貯金をつくるピッチャーになりたい。先発ローテーションを狙っていきたい」と球団と同じく”先発志望”だ。


②最大の武器はカットボール

本人も「自信がある」というのがカットボールだ。球速は140キロ台前半で、右打者の内角を鋭くえぐる。鞘師スカウトは「強烈」、対戦経験のある天理大学出身の石原貴規も「見たことないカットボールでした」と驚いた。


カープに入団したら、大瀬良大地、森下暢仁、栗林良吏などカットボールで活躍する選手がいる環境の中で、更に磨きをかけて欲しいものだ。

③驚異的なスタミナと球威

ドラフト会議が2週間後に差し迫った9月27日。3安打10奪三振の完封勝利を飾り、チームを2年ぶりの都市対抗出場に導いた。


テークバックの小さいフォームから140キロ台中盤の直球、変化球はカット、切れのよい空振りの取れるチェンジアップを投げ込むピッチングスタイルで10三振を奪い、最速150kmの球威は9回まで落ちることは無かった。


「今日は今年の中でも1、2を争う良いピッチングをしている。左の先発としてローテーションを争う可能性がある。」


試合後に話した広島の担当スカウトはこのピッチングを見て、赤いユニフォームに身をまとった先発投手として活躍する青写真を描いたに違いない。

・プロ1年目のシーズン

来シーズンの球団の目標は、若手の育成でもなく、CS進出でもなく、リーグ優勝だ。

今回のドラフト会議で広島は、近年稀に見るほどの即戦力選手を指名した。黒原拓未、森翔平の他にも、即戦力投手の松本竜也、メジャー流出が噂される鈴木誠也の後釜と期待される中村健人、末包昇大。

育成におもきをおいてきた球団がこれほど即戦力選手を育成するのは、2022年シーズン、本気で優勝したいからだろう。

今季、台頭が著しい床田寛樹、高橋昂也らと共に「広島左腕王国」を築き、リーグ優勝するためには1年目の黒原拓末、森翔平両投手の活躍が必要だ。今からカープの選手としてマウンドに立つ姿、赤いユニフォームに袖を通す日さえも待ち遠しい。


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