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堂林翔太はこのまま終わってしまうのか。
「日本文理の夏はまだ終わらない!」
日本の高校野球ファンなら1度は聞いたことがあるフレーズだろう。
2009年の夏の甲子園決勝。9回裏、5点差を猛追し日本文理が1点差まで迫るも、中京大中京が勝利。全国最多の11度目の優勝を決めた。
試合終了後、最終回の猛追があったからか満足げに笑う準優勝の日本文理ナイン、対照的に号泣している優勝の中京大中京ナインが印象的だった。
試合後の優勝インタビューで泣きながら「情けなくて…本当にすいませんでした。」と話すのは堂林翔太。
優勝した高校球児が悔しくて泣いている状況。
これだけ応援したくなる選手が過去にいただろうか?
ご存知の通り、堂林翔太はカープに入団し、昨年7年ぶりに2桁本塁打を記録。しかし、今季はスランプに陥り、2軍生活を強いられている。
年齢は今年で30歳。このままだとトレード要員、最悪の場合は戦力外を通告されてもおかしくない。
堂林翔太はこのまま終わってしまうのだろうか?
・堂林翔太という選手
①大きすぎる期待を背負う
ミスター赤ヘル・山本浩二が甲子園大会でホームランを放った堂林の打撃技術に一目惚れ。「堂林のボールのさばき方は高校生離れしているぞ」というミスター赤ヘルからの助言を受けた当時の野村謙二郎監督がスカウト陣、球団オーナーに堂林を強く推したことで、指名が実現した。
入団後、2年間は実績がなかったが、指名を強く希望していた野村謙二郎監督の下、弱冠20歳にして開幕スタメンに大抜擢される。
1シーズンを戦い切って三振数1位、エラー数1位だったが、野村謙二郎監督は将来のカープのために1年間我慢して起用した。「三振しても良い。ホームランを狙ってこい。」という野村謙二郎監督の指導の下、20歳の若さでチーム1位の14本塁打を放って見せた。
シーズン終了後、堂林の背番号が『7』に変更されることが発表された。準永久欠番の保持者(背番号の後任を決められる)であった野村謙二郎監督が背番号7の後任に堂林を選んだ形だ。
150三振(球団記録)、29失策(両リーグワースト)、打率.242と粗さはあった。背番号7への変更は、主力選手として認められたわけではなく、あくまで期待の表れだった。これによって球団関係者やファンの彼への期待がどんどん膨らむのは自然なことだった。
山本浩二、野村謙二郎の2人の名球会会員に指名を嘱望され、背番号7の後任に選ばれる。カープの中で彼ほど、実績を残す以前に期待をかけられた選手は過去にいないだろう。
②努力の選手
背番号『7』を貰った後、大きすぎる期待が彼の背中にのしかかることになる。7年間も2桁本塁打を放てず、期待通りの結果を残せないシーズンが続いた。しかし、結果が出ない中でもひたむきに努力するからこそファンは彼を応援したくなってしまう。
彼が2度目の2軍生活を送っている間、チームはCS進出、25年ぶりのリーグ優勝、球団史上初のリーグ3連覇を達成。その立役者の1人が堂林の3歳下にあたる鈴木誠也だ。
堂林の2軍生活が続いていた2019年オフ、鈴木誠也の自主トレに懇願し、参加。驚く点は、堂林が年下の鈴木誠也に打撃指導を仰いだことだ。鈴木誠也もリクエスト通り、年上の堂林にマンツーマンで打撃を教え続けた。鈴木誠也からの助言にヒントを得た堂林は、それまで目まぐるしく変化していた打撃フォームがシーズンを通して一貫性のあるものとなる。
新たな打撃フォームを手に入れた2020年シーズンは7年ぶりに開幕スタメンを奪取。鈴木誠也に次ぐ主力打者として、シーズンを通して戦い切った。苦しく長い2軍生活の間、少しでも出場機会を増やすために練習してきた慣れない外野や一塁手での起用があったことも感慨深く感じられた。
打撃成績は以下の通りだ。
打率.279、14本塁打、打点58(全てキャリアハイ)
彼が2軍生活を続けていた約7年間、再び1軍で活躍することを願い続けてきたカープファンは、チーム成績が悲惨だった中で、堂林の活躍が唯一の救いとなった。
③再びピンチ到来
2020年は2桁本塁打を記録し、復活のシーズンとなった。しかし、再び今季は2軍生活が続いている。
開幕スタメンこそ掴み取ったが、持ち前の打撃で極度のスランプに陥ってしまう。6月21日には不振では2年ぶりの2軍降格となった。
更に堂林と同じサードを守る20歳の新星・林晃汰が1軍に定着。打率.327、4本塁打とかつての堂林と同じく高卒3年目での猛アピールに成功している。
自身の不振、林晃汰の台頭。30歳を迎えた堂林は今、これまでの選手生活の中で最大のピンチを迎えている。
・このまま終わってしまうのか?
堂林翔太がいつでも応援されるのは、結果が出る時も出ない時もひたむきに努力している姿がファンの心を打つからだろう。山本浩二、野村謙二郎の推薦があったという入団経緯、長い間我慢して起用してきたということもあり、簡単には退団させられることはないと思っていた。しかし、自身の打撃不振に加えて若手が1軍で大活躍している今、このままシーズンを終えれば戦力外を通告されてもおかしくない。彼が現役引退、他球団のユニフォームを着てプレーしている姿を見たいファンはいないだろう。「乗り越えた壁はいつか自分を守る盾となる。」彼が座右の銘にしてきた言葉通り、このスランプを脱した後、再びカープの主力として戦う日々が来ると信じているファンはたくさんいる。大きな意味を持つ2021年シーズン後半戦、堂林の活躍に期待したい。
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