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開戦前夜

起きたら夕方6時。急いでチャリを飛ばして突然少年のライブを観に行くことにした。いつか静岡の僻地で見た彼らの演奏が頭の奥の方にこべり付いている。
現場に赴くとバンドマンと思しきヤングたちが集っており狭い箱には熱気が篭っている。ライブが始まったがとにかく楽器の音がデカすぎて何を弾いてるかわからないし、せんいちろう氏の歌もクソデカ楽器たちの音で聞こえない。正直はちゃめちゃに見えたがそれでも、それ故に人間の持つ生命の熱量をひしひしと感じることができた。この人たちはなぜこんなにも死にもの狂いで演奏しているのだろうかと思ってしまうがなんだか胸は熱くなっている。フロアの全員が彼らを応援していて私も気がつけば勝手に身体が動き出していた。前のギャルも首を振り回している。爆音の中で一瞬みせる静寂の間に彼の音程を捉えた歌声が入ってきて心に染み渡った。
熱狂を終え箱の外に出ると街はあまりにも静かだった。街行く人たちは爆音の音楽など一切興味ないのだろう。とたんに自分がほんの少数派であることに気付かされる。

突然少年/アンラッキーヤングメン

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