GARDENというアルバムについて


9/2に早見さんの新作ミニアルバム「GARDEN」がリリースされました。Twitterでもファーストインプレッションを140字にまとめて呟きましたが、やはり文字数が足りない!という事でnoteにもまとめることにしました。

1.garden

作詞・作曲:早見沙織 編曲:冨田恵一(冨田ラボ)

1曲目を飾るのは冨田恵一さんとのコラボ。同氏とのがっぷり四つな楽曲になるかと予想していましたが、まさかの80年代サウンドな楽曲。

「ゲート・リバーブ」のエフェクトを効かせたドラムとFM音源らしいエレクトリックピアノがInstrumentalの中核であることは明白でしょう。

加えてただ80年代サウンドを鳴らしているだけでなく、どっしりと構えたベースの音でバランスが低音よりになっていたりと現代の音作りを上手くミックスしていることが伺えます。

そしてこのインストに上手く溶け込む早見さんの歌声。所謂シティポップの雰囲気も感じるので、ある種「上手く溶け込んでいる」ことは必然なのかもしれません。

ゲートリバーブ ※音色自体は少し違うかもしれませんが、雰囲気は感じて頂けるかと)

FM音源 ※11) E.PIANOは正にといった感じです

2.瀬戸際

作詞・作曲:早見沙織 編曲:松本良喜

gardenから打って変わってAOR(Audio-Oriented Rock)な楽曲。AOR楽曲に特徴的な大人っぽい落ち着いた楽曲と早見さんの声の相性は抜群。

安野希世乃さん「笑顔。」等も手掛けられている松本良喜さんの手腕が存分に発揮されている1曲とも言えます。

イメージ的にメトロナイトを更に大人っぽくした印象を受けるので同曲が好きな方は是非聴いてみてほしいですね。

更にこの曲から「What You Won't Do for Love/Bobby Caldwell」や「Just the Way You Are/Billy Joel」、「After the Love Has Gone/Earth,Wind&Fire」へ掘っていくのもありかもしれません。

3.やさしい希望(Bossa Nova)

作詞:早見沙織 作曲:矢吹香那 編曲:増田武史

1stシングルであるオリジナルは早見さんの持ち味の一つでもある透明度が高く伸びのある声を活かした王道ポップスな曲でしたが、「Bossa Nova」とついている通りアコースティックな楽器隊で構成されたアレンジとなっています。後半3曲が解禁していませんのでわかりませんが、ご本人名義曲の中でも屈指の癒し曲。

他方Bossa Novaアレンジを行った増田武史さんのギターアレンジを堪能したい方は「Acoustic Medley of Hinagiku,Kanon,Haqua,Ruka」をお薦めしたい。

勿論ボサノヴァアレンジではないのですが、アコギの音色をメドレー形式で7分超、バラード~アップテンポ~ポップスと色々な表情で楽しめる1曲となっております。

4.Akasaka5

作詞・作曲:早見沙織 編曲:清水哲平

ワウギターとエレクトリックピアノの音色が印象的な1曲。
本作品の中でも特に軽やかで歌詞からも汲み取ることが出来るように散歩のお供にうってつけな曲でもあります。


サビ前半のみリズム感が少し変わってハッとさせられ、サビ中盤からタンバリンの音とタイトなビートでJackson5等に代表されるモータウンの匂いを感じたり。
凄くポップスなのだけど一筋縄ではいかない早見さんのソロ曲特有なこの感じが好き。


5.glimmer

作詞・作曲:早見沙織 編曲:岡部啓一(MONACA)

イントロが正に岡部さんらしさ全開のインスト。NieRシリーズ、特にAutomataの雰囲気に近い印象を受けます。
リバーブがかかったコーラス早見さんのお声の神秘度が増し、楽器隊との馴染み方が絶妙に。


曲の雰囲気は退廃的で重めなのだけど、微かに救いがあるようなそんな魅力的な1曲。
この曲が気に入った方は先日公開された岡部さんのofficialプレイリストをお薦めします。
MONACA作家陣の中でも独特な雰囲気を纏う曲が多い岡部さんの魅力を存分に堪能できますよ!

6.ワンスモア

作詞:早見沙織・矢吹香那 作曲:矢吹香那 編曲:前口渉

前述の通り、リバーブがかかっているとお声の神秘度が増しますが、
この曲は普段に近い凛とした快活な声のコーラスでかつアカペラから始まることもありゴスペルさを感じます。
ここまで本作は内省的な詞が多かったのですが、前述のボーカルや楽器隊とハンドクラップの作用で外に向いている印象があります。


早見さんの本人名義曲の中でも「陽」な曲を担当することの多い前口さんのシンプルなアレンジもお見事。
こんなご時世だからこそ前向きな詞がイイ感じに刺さります。


7.本作を聴いて...

前作「シスターシティーズ」の流れを汲んだ上質なアルバムであることは明白でしょう。「80'sサウンド」「AOR」「Bossa Nova」「モータウン」「幻想曲」「ポップス」とそれぞれ違ったジャンルで構成されており驚かされます。

曲調の幅広さに感服しつつ、早見さんというフィルターを通してそれぞれのジャンルの入り口に触れることのできる有難さ。

自分の好みのジャンル探しや、ジャンルを掘っていくきっかけにも最適なアルバムではないでしょうか?「シスターシティーズ」と合わせて聴きたい良盤だと思います。

ミニアルバムが故に1枚をスルっと聴けてしまう手軽さも魅力あるポイント!


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