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床屋と図書館

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まだ子供のことのお話です。
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#LGBT

床屋と図書館 その9

 真文は本が大好きでした。  週に2度ほどは地域の図書館に通っていました。  図書館は2階建…

床屋と図書館 その8

 真文は月に一度、髪を切りに行きます。  真文がそう決めているわけでなく、真文のお母さん…

床屋と図書館 その7

 櫛は、真文の太ももの間あたりのケープの上に落ちました。  「ごめんね」とおじさんが櫛を…

床屋と図書館 その6

   4月になり、真文は5年生になりました。  5年生になって憂鬱なことがひとつあります。…

床屋と図書館 その5

 真文は、だいたい月に1度は髪を切りに行きます。  次にバーバー金子を訪れたのは春休みに…

床屋と図書館 その4

   ドアを開けると小さな鈴の音がしました。  3つ並んだカット台の一番奥に座ったお爺さ…

床屋と図書館 その3 

 色気づく。  そんな言葉、真文は生まれて初めて耳にしました。  正確な意味はわかりませんが、「色気」とは、たとえば、おっぱいの大きな女の人や、スケスケの服を着ている女の人に使われる言葉です。  だから「やあねえ、あんたも色気づいちゃって」とお母さんの口から飛び出した言葉は、その瞬間、真文の頭の中で「やあねえ、あんたもエッチな人間になっちゃって」と変換され、とても恥ずかしい気持ちになりました。    真文は、知らない言葉はすぐに辞書で調べるタイプです。    色気づく。  

床屋と図書館 その2 

 横山理髪店のおじさんが死んでしまい、真文はバーバー金子ヘ通うことになりました。バーバー…

床屋と図書館 その1

 横山理髪店のおじさんが死にました。  冬休みが終わってすぐの日曜日の朝、少年野球チーム…