『圭介』 〜1997年 顔が全然タイプじゃない男〜 vol.5 (ゲイ小説)
それから徐々に圭介からの連絡は少なくなって、僕から連絡する回数ばかりが増えた。
圭介からのメールは寡黙で、焦る僕はより饒舌になった。
たまのデートの日は、数日前からあれこれと考えを巡らせた。
圭介が好きそうな場所、圭介が好きそうなレストラン、圭介が好きそうな会話。
当日は、圭介が持ち歩いているふたつの重いバッグのうちのひとつを嬉々として持ち、常に笑顔でハイテンションを貫いた。
僕たちはとても幸なカップルである、と主張するように。
たけど、圭介はいつもどこか上の空だった。