イース10 はよいジュブナイルであった ~クリア後感想
イースX -NORDICS- (Switch版)をクリアしました。
難易度ノーマル、マップ探索率100%、クエスト達成率100%、親密度100%までプレイし、シナリオ要素はおそらく十分に堪能できたと思います。
以下感想です。若干ネタバレ要素もありますので、決定的なネタバレはしていないつもりですが、未プレイかつ最後まで自力でプレイしたい方は回れ右推奨。
良かった点
少年期のアドルがカルナックの街の少年少女を仲間に海風のなか進んでい く物語は、最後まで明るく爽やかな印象だった。
ヒロインのカージャとも「盾の兄弟」として最後まで共に戦ったことでものすごく愛着がわいた。(ただ、最後には別れるのは後の作品の時系列からも自明のことではあるが、けっこうサラリと別れちゃうので、ちょっと物足りない感は残る。)
仲間たちのサブシナリオはいずれも、彼らが親や家族と衝突したりすれ違ったりしながらやがてわかりあい、成長していく姿を描いており、カージャの物語も含め、これがゲームの根底を流れるテーマとして一本筋が通っていたのが綺麗だった。
ロザリンドかわいい。水に飛び込むアオハルイベントで本性が出てより好きになったw
ゲーム的な面では、今作はプレイアブルキャラが最後までアドルとカージャの二人だけだったが、「バディもの」としたことにより、アドルとカージャの絆がよりプレイヤーにダイレクトに伝わり、愛着をもってプレイすることができた。プレイアブルキャラを減らすのはゲームが退化したと言われかねない面もあり、とても勇気のいる選択だったと思うので素直に拍手を送りたい。
斬って殴っての地上戦はあいかわらずのイースで、サクサクと進めて爽快感があった。敵の水色攻撃を回避した後にふたりで協力して出すアクションにもいろんなバリエーションがあって見ごたえがあり、楽しめた。
美しい白鯨とのサーフィン
空飛ぶピッカード(爆笑した)
いまいちだった点
移動手段としてのサンドラス号の機動性。最初がとにかくトロイわ曲がらないわで第一印象が悪い。冒険を進めるうちに性能アップしてマシにはなるし、移動手段としてもファストトラベルが使えるから不便ではないんだけど、正直、未到達のマップを埋める目的以外で積極的に海に出て操船しようとは思えなかった。
海戦のつまらなさ。適当にぐるぐる回って弾打って、の繰り返しで戦略的な面白さもなければ爽快感もない作業でしかなかった。海戦スキルアップのためのお食事会も取ってつけたような感じでなんじゃこりゃ。ゲーム全体を通じて海戦に取られる時間が少ないのが救い。
奪還戦。イース8の迎撃戦や制圧戦からの延長であり、イース9のグリムワルドの夜でもこれ退化したんじゃね?と思ったけど、今作は前半の海戦部分がつまらない分、さらに退化したような印象があった。
釣りはさすがにもう飽きた。
レリーズラインというスキルツリーによる強化システム、一見凝っててカスタマイズしがいがあるようにに見えるけど、パワーアップ効果があまり目に見えて感じられないので、とりあえず同じ階層に同じ色を集めとけばいいやっていう作業になってしまった感がある。これはうまくデザインすればもっと化けたかもとも感じられるだけに、惜しい。
地上パートではコンビネーション攻撃やコンビネーションガードからのリベンジ攻撃が強くて使い勝手も良く、それは今作の特長でもあるんだけど、その反面、ソロのスキルもたくさんあるのにほとんど使わないまま終わったのは残念。もっとソロスキルの活躍できる場所を設けてくれてもよかった。
主要なボスが、シナリオ上の理由もあり、どいつも本気で殺りにきてないというかやられることを潜在的に望んでいるフシがあった(本気度を感じたのはヨルズくらい?)ので、戦っててもいまひとつ盛り上がりに欠けるというか、心が高揚しなかった。特にラスボスは嫁まで参戦してなんじゃこれ?って感じ。
総評
地上アクション部分はここ最近の良きイースシリーズであり、スキルを駆使しながらマップを巡っていく冒険感もあり、楽しく安心して遊べた。
シナリオの幕引きのあっさり味には賛否が別れるかもだが、この全体を通したあっさり感が「イース・ジュブナイル」とでも形容すべき新鮮さと爽やかさを醸し出していたのもまた事実だと思うので、自分はかなり好き。
今作のウリでもあったであろう海パートは正直失敗だと思うので、そっちにはあまり期待しないほうがいい。
ただ、総じて古き良きアクションRPGの王道を外さない作りにはなっているので、ジャンル自体が嫌いじゃなければぜひ、若きアドルの冒険譚を堪能してみてほしい。
そしてまたイース8が遊びたくなってきた……
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