見出し画像

池袋の話

・この秋、2020年頃から3年間居住した池袋から離れることとなった。

・当時の彼女に「正直社会人になって実家暮らしはあんまり…」と言われ、その翌々週くらいには契約を決めていた池袋の家。2年の契約が過ぎる頃にまだ付き合っていたら同棲しようと言い合い、意気揚々と始めた一人暮らし。1年も経たないうちに家の前の公園で別れる旨の電話をした。


・当時の職場からアクセスが良く、また20代の一人暮らしは歳を取ってから住みたくないような賑やかな街に住んでみたい、という理由で選んだ池袋。現在はオフィスが移転して職場へのアクセスが悪くなった上、よく遊びに行く街もことごとく遠いので、もはやこの地に住み続ける理由はない。池袋は好きだが、正直住み続けたいと思うほどの愛着も特にない。

東口側に住んでいました



・池袋に住むことが決定した際、田舎出身である自分は「こんな大都会に住む日が来るなんて」「街を開拓して、雰囲気の良い店の常連になろう」「どんな出会いが待っているだろう」と胸を高鳴らせたものだ。

・だが、家は風俗街の真ん中だし、隣はラブホテルだし、到底華やかとは言い難い環境で毎朝パチンコ屋の行列を尻目に出勤するような場所だった。しかも引っ越してきた当初は緊急事態宣言真っ只中で、居酒屋は軒並みシャッターが下りている。ようやく1件見つけたバーでは最初に胡散臭い起業家に話しかけられ辟易、二度とその店に立ち寄ることはなかった。


・散々書いているが、住めば都というのは案外本当である。生活する上では電車に乗らなくても何でも買えるし、チェーンの飲食店はほとんど何でもあるし、路線が多いのでどこへ行くにも時間がかからないし、という感じでそれなりに気に入っている部分もあった。良い街というか、便利な街といった方がよいか。

・あとは(数少ないが)池袋周辺エリアに住んでいる友達と仲を深められたのも良かった。無茶な時間から飲もうという電話を頂いたりするのも自分は好きだ。



・まあ、褒めるところはそのくらいしか思いつかない…

・住んでみて改めて言えることだが、ガッツリ治安が悪い。都会で治安が悪いと言うとガラの悪い若者とかホストとかを想像するが、そういうことではない。50〜70代くらいでいて様子のおかしい年配の方(これを自分は「本当にヤバい人達」と呼んでいる)が非常に多いのだ。

・パチンコ屋に並ぶ年配、複数人で昼間から公園に集まり飲酒している年配(本当に毎日いつ行ってもいる)、コンビニで大声で喧嘩し始める年配など、池袋に生息している近づきたくない年配たちを思い出し始めると枚挙に暇がない。


・ある程度仕方のないことなのかも知れないが、駅構内の柱に「火垂るの墓のラストシーンスタイル」で座り込んでいる人も中々に歳を食った方が多い。

しかも彼らには"定位置"がある


・定番のメンバー(定番のメンバー?)は毎日顔を合わせることになるので、誰がどこにいるのかは3年のうちにほとんど覚えてしまった。脳内のメモリをこんなことに割きたくはないのだけれど。


・しかも終電間際になると彼らは定位置を去り、駅を出てどこかに帰って行くのだ。自分の家があるのだろうか。金持ちの道楽の一環という可能性もあるのか?なにも仕方ないことなかったわ。


・後は、いつも街中で大きな声で何かを叫んでいる名物おばさんがいる。いつもヒョウ柄のコートを着ているので有名人らしく、Twitterなんかで調べてみると彼女について言及している人もそれなりに居たりする。この人見かけるたびにどんどんコートがボロボロになっているので、最終的にどうなってしまうのか心配である。

こないだ見た時、背中側このくらい穴空いてた。ヒョウ柄に負けじと


・この通り愉快な街なのだが、やはり実害も少なからずあり、3年で2回だけ直接因縁をつけて絡まれたことがある。例に漏れず二人とも年配だったし、最悪近くの交番に駆け込めば良いのであまり危機感はなかったが「絡んでも大丈夫そうな相手」だと判断されたことだけは腑に落ちない。ずっと無視してたら「舐めてんのか」とか言われたけど、それお前だろうよって。



・というわけで、3年もこんな街に住んで流石に満足したので、来月からは比較的閑静な街に引っ越そうとしている。万が一物足りなさを感じたとしても、この記事を読み返せばロクな場所ではなかったとすぐに正気に戻れるだろう。


・次の住まいには同居人がいる。元々一人暮らしがしたくて実家を出たうえ、その後の彼女との半同棲状態にはすぐに嫌気が刺して「自分は一生他人と住むことはできない」とまで思ったあの日から早3年。成長しているのか退化しているのか分からないが。

・惜しむらくは友達と遊ぶような街へのアクセスが池袋よりも更に悪くなってしまうことだが、ストレスを感じない程度には相変わらず頻繁に顔を出していきたいと思っている。ただしタクシーには絶対乗らないので、俺と飲む時は朝まで飲むものだと理解して誘ってくれよな。


・note久しぶりでした。また暇を見つけて更新増やしていきますので引き続きよろしく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?