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OB4年目が全日本入賞を目指した8ヶ月の話

私は誰

東大OLK 36期(2013入学)、練馬OLC所属の前中と申します。タイトルの通り、現在OB4年目です。
競技の実績としては、インカレミドル2016で3位入賞したのが最大です。OBになってからは特別速くもなく遅くもなくという感じでしょうか。

この記事は何

オリエンティア Advent Calendar 2020 の13日目の記事です。
私が今年度になってから全日本入賞を目指してオリエンテーリングに取り組んだ一部始終をだらだら書きます。
非常に個人的な内容になってしまいそうですが、どうかお許しください。

全日本の結果

先に今年度の全日本の結果を書いておきます。
ミドル 7位、ロング 7位 でした。
そんなことある? という感じです。帰りの車内で泣きました。
結果としては、今年度の全日本入賞は叶いませんでした(スプリントは残っていますが)。
ですが、取り組みの成果としての7位という結果は価値があるものだと思っています。そこに至るまでのことを書いていきます。

なぜ今になって

① オリエンテーリングは速いほうが楽しいから
私が思うオリエンテーリングの楽しさは、以下の3点にあります。
・ギリギリのナビゲーションをしながら森を駆けるスリル
・どうすれば速くなれるか、Lapcenter を見ながら考えること
・他の選手と勝負すること
OBになってからの3年間で体力が落ち、オリエンテーリングが遅くなってしまったことで、これらすべてが少なからず削がれてしまいました(それでも楽しいんだけど)。
ナビゲーションは実行スピードが速いほど難しく、スリリングです。技術はそこそこなのに足がすっかり遅くなってしまっては、楽しいオリエンテーリングはできません。
また、常に走力律速になってしまうと、有意義な反省ができません。遅かったレッグも、「まあ走れてないしなあ」で終わってしまうからです。
そしてもちろん、遅くなってしまうと他の選手に勝てません。インカレのような熱いレースは望めません。
というわけで、「もっと楽しくオリエンテーリングがしたい」、ひいては「今よりも速くなりたい」と思いながらも、実際の行動に移すことはできないまま、現役引退後3年間を過ごしてしまいました。

② 新型コロナウイルスが流行したから
3~5月にかけて、オリエンテーリング大会が次々と中止になっていきました。モチベーションを失ってオリエンテーリングから離れていってしまう人が出てしまうかもしれないなぁと思い、少し悲しくなりました。
その一方で、「今年頑張れば火事場泥棒できるのでは?」と考えるようになりました。オリから離れる人・遅くなる人がいる中で自分が速くなれば、いいところまでいけるんじゃないかと。

③ 新社会人になったから
新社会人、暇でした。しかも、勤務時間が決まっているので、生活習慣が整いました。結果、学生時代よりも走る時間を作るのが容易になり、トレーニングを積めるようになりました。
ちなみに、OB4年目なのに新社会人なのは、修士で留年したからです。広留輪。

こうして、「速くなりたい気持ち」「トレーニングのモチベーション」「トレーニングしやすい環境」が整い、競技としてのオリエンテーリングをもう一度頑張ってみようと決意するに至りました。OBになってからもオリエンテーリングから離れられなかった私にとって、降ってわいたチャンスでした。
そして、再チャレンジに臨むにあたり、今年度の目標として「全日本ミドル or ロングでの入賞」を目指すことにしました。

全日本に向けて何をしたか

① トレーニング
当たり前ですが。本格的にトレーニングを始めた6月以降は、週に1回以上はオリエンテーリング以外でポイント練をするように意識していました。6月から10月にかけての月間走行距離は平均200㎞。走る人はもっと走っていますが、結果的に走力は大きく向上したのでこれでよかったと思っています。
現役の頃に続かなったトレーニングがなぜ今になってできるようになったのかは謎ですが、最初の1か月で習慣化できたことに加え、以下の②と③が大きかったような気がします。
あと、他の選手のトレーニングは本当に刺激になりました。頑張って走っている全国のオリエンティアと、Stravaと、月間走行距離の記録に誘ってくれた山田選手に感謝します。

② 通勤ラン
家から会社まで約5kmという好条件に恵まれ、出勤・退勤で走ることが可能になりました。自動的に走れる、家で「トレしたくないよ~」ってうだうだする時間がなくなる、交通費も節約できるといいことづくめでした。通勤ランを取り入れたおかげで、自然に距離を積めるようになったと思います。
とはいえ、せいぜいキロ4くらいでしか走れないので、トレーニングが通勤ランばかりにならないようには気を付けていました。

③ 周囲へのアピール
オリエンテーリング仲間へのアピールと、職場へのアピール。前者は自分のモチベーションのため、後者はオリエンテーリングしやすい環境づくりのためです。どちらに対しても、「全日本に向けて取り組んでいる」ということを公言するようにしたつもりです。
前者のおかげで、同じ目標を持つ選手とはライバルとして意識し合い、そうでないオリエンティアからは応援してもらえたように感じています。自分の退路を断つ効果もありました。
また後者のおかげで、職場の飲み会や同期の誘いを「走るので行かない」と断れる下地ができてきました。大会の結果を気にしてもらえるようにもなりました。オリエンテーリングと仕事を両立するためには必要なことだと思います。

④ メンタル調整
私は元々、レースに望む気持ちの調整は得意としています。重要な大会ほどいい走りができるタイプです。しかし、インカレ以来の重要大会ということで、精神面もきちんと準備をして臨んだつもりです。
前日までは、レース展開の予想と、全日本抱負号の執筆をしました。もう東大OLKの会報に投稿するわけでもないので、本当に自分しか読まない抱負号でしたが、書いてよかったです。全日本が楽しみでしょうがなくなりました。
当日は、スタート枠でルーティンをやって、笑ってスタートするだけです。楽しみな気持ちと緊張が釣り合って、ギリギリ楽しみが勝ったときが一番いいレースができる、というのが持論です。

これから

来年の全日本入賞に向けて頑張ります。ここで優勝と言えないのが弱いところ。
今年速くなってよかったことが、大きく2つあります。

1つめは、最初にも書いた通り、純粋にオリエンテーリングがより楽しくなったこと。
2つめは、色々な人から今まで以上に応援してもらえるようになったこと。

全日本の前後で、伊藤樹選手に予想コースを分けてもらったり、稲毛選手に声を掛けてもらったりして、トップ選手にもある程度認めてもらえたのかな、と感じました。他にも、様々な人に応援してもらえたように感じています。そういうのが一番嬉しい。

速くなることももちろんですが、ファンの多い選手になりたいと思っています。レースの結果でだけでなく、人間性や運営面や、色々な面で存在感を発揮できるような選手でありたいです。そして、周囲の人に刺激を与えていきたい。全国同期、引退するにはまだ早いよ。

まとまりのない文章で恐縮ですが、これで終わります。今後ともよろしくお願いします。

トレーニング等の記録

ここからは本当にただの記録です。

・4月
就職に伴って東京から神奈川に引っ越す予定だったが、感染拡大により自宅待機になる(OB4年目で就職なのは大学院で留年したからです)。もうすぐ故郷を離れるということでエモくなり、実家の周囲を走るようになる。久しぶりに走ることの楽しさを感じる。
走行距離は51km。
・5月
GWまでだった自宅待機が5月いっぱいまで伸び、暇なのでよく走るようになる。
オリエンテーリング関係のイベントが中止になっていくのを見て、「火事場泥棒できるのでは?」と考えるようになる。11月の全日本まで頑張ろうかなという気持ちになる。
走行距離は101km。
・6月
ついに引っ越し、入社する。と言っても研修なので暇。引っ越し先の新しい環境が楽しくて、近所を走ってランニングコースを探す。川沿いのいいコースを見つけて走りまくるようになる。このコースは今でも使ってる。全日本で入賞を目指すことを決める。
走るの楽しい!となっている時期。ペースは10km39分くらい。
走行距離は201km。4年以上ぶりに月間200kmを達成した。
・7月
研修が終わり、配属になったこともあり、少しダレる。ポイント練もあまりしていない。
霧ヶ峰ミドルに出場。全日本E権を取る。しおや4daysに2日間出場し、2日とも100近い巡行を出す。
トレーニングの成果を実感し始めた時期。全日本の目標を3位にする。小牧選手と伊藤樹選手以外には勝つつもりでやらなければ入賞はできないと考えるようになる。
走行距離は160km。
・8月
夏休みもあり、トレランを中心に距離を積む。暑くてペースが上がらない。10km38分くらいは出していたらしい。
ES関東の合宿に参加させてもらい、会内杯でプランナーの橘選手に勝って自信をつける。9月の東大OLK大会とCC7に照準を合わせる。
走行距離は206km。
・9月
初旬の所野ロングで小牧選手に迫り2位になる。「これは本格的に速くなってきたぞ」と思い、盛り上がる。佐藤遼平選手との縁がここから始まる。東大OLK大会は5位だったが、巡行はトップ。CC7は惨敗。
涼しくなり、10km35分を達成する(信号で止まっている時間を抜いて)。
走行距離は201km。
・10月
インカレロング試走で結城選手・伊藤樹選手と同格のタイムを出し、全日本での入賞が見えてくる。伊藤樹選手に誘ってもらい、WOC合宿に参加。稲毛選手やペゴ選手らに刺激を受ける。
10km35分を純タイムで達成。月末にやった5000mTTは16:30。
走行距離は246km。自己最高を大幅に更新した。
・11月
全日本リレーで3走を走り、小牧選手にまくられて7位になる。不成立になったが、へこむ。
リレー後、足の親指を痛める。疲労骨折を疑い、トレーニングを減らす(結果的にはたぶん違った)。かなり不安になったが、全日本1週間前のインターハイ併設に強行出場し、走れることを確かめる。
全日本までの走行距離は80kmくらい。

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