VIPチケット #クソガキ #学校

こんにちは。本日は少年時代の頃に思いを馳せた文章となっています。



貴方が勉強を始めた理由は何ですか?わからない問題が解けたときの喜び?友達に負けたくないという自尊心?行きたい学校に入る為?親が毎晩怒鳴るから?

私が勉強を始めた最初のキッカケは、ある教師の【VIPチケット】と呼ばれる制度がクラスに設けられ、追い詰められたからでした。

「あっ、私のクラスにもあったよ!」

という方はおられますでしょうか?奇遇ですね、恐らく私のクラスメイトではありませんか?ご年齢をお伺いしてもよろしいでしょうか....汗

.....この忌々しい制度には、苦しめられた生徒がとても多くおりました。この制度は私たちが卒業してからはすぐに無くなったのでは?という噂も聞いたことがあります。

今回は子供時代に課せられた、この謎のシステムとその影響を受けた私の変化を、書こうと思います。



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小学3年生。

2年生の頃は新1年生が入学してくるので、お兄さんお姉さんと呼ばれる事も増えました。少し自信が出てきたかと思えば学年が上がり、中学年として「君たちはまだまだだ。」といった扱いを学年主任から、集会の度に受ける日々。全学年の真ん中より下である為仕方のない事とは思いますが、なにかやり切れなさを私は感じていました。

更には勉強も少しずつ難しくなっていきます。中学時代を振り返ると、この小学3年生の時期に学習をサボっていた同学年の生徒は皆、なかなか成績が伸び悩んでいた気がします。

私はと言いますと、物の見事にクラスの最下位を争っていました。テストといえば教育委員会が定めたカラーの用紙が配られるのですが、私は受け取るや否や、机にうっぷして寝る始末。学校に行く目的といえば、昼間の給食と休み時間のサッカー。典型的なクソガキでした。

当時、所属する少年サッカーチームでは上の学年でプレーをしていました。自尊心がそちらに向いたのでしょうか。夢中になれるサッカーと、大好きなご飯の為にしか生きていないと言っても過言ではありませんでした。

後日戻ってくる散々な点数の答案用紙も、帰り道のゴミ箱へ捨てて帰るのがヘッチャラ。両親も勉強をさせる事に興味が無かったようで、それをいい事に宿題も白紙で提出するほどの問題児。何度か母親が学校へ呼び出されていた事もありました。そんな繰り返しですので、担任からも軽蔑の眼差しで見られておりました。


小学4年生。

4年生に上がり、学校生活も変わることが無く過ぎていくだろうと考えていた矢先、大きな壁が立ちはだかりました。

地元の小学校では、1・2年、3・4年、5・6年とクラス替えはなく、担任の教師もそのまま上がる事が通常でした。しかし私のクラスだけ、教師がかわったのです。

後々聞けば、3年の頃の担任は保護者たちからも評判が悪かったようです。生徒を差別する、女の子を変な目で見ている、などなど。悪ガキだった私は自業自得であった為、全く気付いておりませんでした。

とにかく、この新しい男性教員が担任となったが為に、私は勉強をする羽目になったのです。


この教師が発案した【VIPチケット】という制度が公になっていないか、ネットで調べてもみたのですが出てきません。代わりに「おかわり優待券」という似た制度は見つかりました。同級生が広めたのでは無いかと思うほど、似ています。

わかりやすい様に、この「おかわり優待券」の基本的なルールを引っ張ってきました。


【おかわり優待券】

①.その日の給食で、おかずが残ってしまいおかわりできるようになったら、教師が皆に挙手させる。
②.挙手した生徒が何人いるかを確認する。このとき、残ったおかずの数よりも希望者が少ない、もしくは同数ならば券は不要、残ったおかずの数よりも希望者が多ければ入札となる。
③.希望者は、支払う予定のおかわり券の枚数を自分のおかわり券に記入し、集まっていっせいに見せ合う。
④.おかわり券の支払い枚数を多く提示した順に落札する。落札した子どもは、自分が提示した枚数のおかわり券を支払い、おかわりをする。


これが【給食時】に与えられるVIPチケットと同じ効力です。またVIPチケットの場合は他にも、『レクリエーション時のゲームで、有利な立場からスタート出来る』『10枚集めると、チケットは支払わなくて済みパスポートとして持つことができる、後に言う[VIPパスポート]と交換できる』『キライなおかずがあれば、1枚払えば残すことが可能』など、様々な特典が多々ありました。

この【VIPチケット】を何枚持っているかが、子供達のステータスへと変貌して行きました。

ステータスに興味の無かった私も、この制度には苦しめられました。その理由として、失効するルールが厳しかったのです。

失効のルール

①.ハンカチ・ティッシュを毎日確認し、忘れてきたらマイナス1枚。

②.宿題を忘れてきたらマイナス1枚。

③.ケンカをしたらマイナス3枚。

④.居眠りすればマイナス1枚。

などなど。


毎日お約束のようにチケットは無くなり、すぐに私の手元から消え去りました。


「チケットが無くなるとどうなるの?」

はい、教師がチェックボードを持っており、〔マイナス〕と記載された箇所に"正"の字が増えていきます。そして、そのマイナスの数だけ返済しないと、新しい券はもらえません。つまり、借金です。

そんなこんなで私は、日々の楽しみであった給食もおかわりが出来なくなりました。隣の少女が嬉しそうにプリンをおかわりする姿を、指をくわえながら眺めておりました。

食べ物の恨みという事もありますが、とにかく悔しい1ヶ月間でした。毎日お腹を空かせて帰宅します。私の日頃の行いが原因ですので、カッコ悪くて親には言えません。また、マイナスが増えれば己のステータスも下降していき、クラスメイトからは馬鹿にされます。苛立ってケンカをしようものなら、更にマイナスとなっていきます。

現状を変えるには、

この制度に則って闘うしかありませんでした。



【VIPチケット】を獲得する手段は幾つもありましたが、覚えている事を上げると


①.忘れ物を1ヶ月間しない。

②テストで100点を取る。

③.教師が独自で出す(漢字)テストに10回連続で満点を採れば、パスポート獲得。

④.体育の時間に行われる『ソフトボール』、『バスケ』、『サッカー』等の総当たり戦で、自分のチームが優勝する(団体競技)。

などなど。

私は主にこの4項目に力を入れました。達成する為に以下の事を続けました。

●毎晩、そして毎朝登校前にカバンを確認する。

●授業では寝ずに、教師の話を聞く。

●習ったことのない漢字も、教科書の何処かしらに小さくでも載っていれば出題してくる教師だった為、教科書の隅々を何度も見る必要がありました。つまり、帰宅してからも自分で勉強しなければならなくなりました。

●運動の苦手な子も当然いるので、それぞれの役割・長所を話し合った上で練習を行い、チームをまとめる役割を担うようになりました。

些細な事ばかりですが、これを3年間続けた為自信を持つ事が出来るようになっていました。

.....3年間。。。

卒業時まで担任が変わりませんでした。


小学校卒業時の私は、【VIPチケット】の枚数はトップのクラスメイトには届きませんでした。しかし、クラスメイトから信頼されるようになり、成績も右肩上がりのまま卒業しました。この事は私の中学生活まで影響し、学年で3番の成績、更には生徒会役員も行い充実した少年時代でした。


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ここまでが、子供時代の感想です。上記の制度を振り返ると、社会の縮図が表現されていたのではないか、と。

『取り敢えず勉強が出来れば多少認められる』事に対しても、異論は少ないのではないでしょうか。勉強をしなくても大成した方はとても多いです。しかし、いい大学に入り皆が認める企業に入社した方が社会では"生きやすい"のではないかと、転げ落ちる人生を歩んで来た私は尚更、強く感じています。

また、この制度の良きところは、勉強だけに焦点を当てていない事でもありました。長期休暇の自由工作など、あらゆる子供の才能の原石を輝かせる取り組みがなされていました。



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.....さてさて、仕事から帰り、乳児の世話で疲れ切った嫁さんとバトンタッチし、お風呂と寝かしつけを終え、日々の勉強も放ったらかしてわざわざnoteへの投稿を行った原動力となったものは.....汗


........。

『自分より上の人間には伝わらない。同等か、それ以下の者にしか響かない』
こんな事を、かれこれ10年近く前に聞いたでしょうか。



『どんなに思いを込めたとしても、その自分自身の生き方が指針となるものでなければ、誰も付いて来ない。』



指針となるのは大人でも難しい。
我が子でも苦労するのに、他人様なら尚更です。



社会の厳しさも知っており、生き辛さも知っており、それでも争ってもがき苦しんだ子供の方が、ステキな"味"が出ると思うんですけどね?


やはり、例え詰まらなくても、学校は多くを学べる場所です。


私は大した大人にはなっておりませんが(汗)、私の様にクソガキはクソガキなりに、もう一度頑張ってほしいものです。



#クソガキ #学校


まだまだ未熟な私ですが、これからも読み続けていただけると有難いです。これからもどうぞ、宜しくお願いします。