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『ティースプーンとコーヒー』:リレー任務シリーズ

シダさんのスタエフ配信で作品リレーを行う招待をいただき、参加させていただきました。
私は、物語を終える最後の人となりました。
その時の、背景や伏線回収の経緯を書ければと思います。

はじめに読んだ時

私自身、とりをやりたかった気持ちがありました。また、題名も決める必要があるので、私以外の方の作品を仕上げるところは面白かったです。

しかし、私に回ってきた文章を読み終えた瞬間、作品の「僕」と全く同じ、「終わったぁ」という気持ちになりました。
ここから、私の作品研究が始まりました。

作品分解

作品の終わり方が全く見えないので、作品をまとめるところから始めました。
例えば、人物構成・人物の性格・環境・時期・時間帯・この話に来るまでの背景・画像との関連性です。
一文一文、また、一言一言の背景の辻褄を合わせていきました。

作品の分解をしていくと、回収していく内容が見えてきました。

  • コーヒー

  • 森の奥にあるコンクリの建物

  • たっくんの最後の言葉

  • 受験(秋)

  • スプーン

  • たっくんの「ありがとう」

  • 転校した理由

これらを回収する内容にしようと決めました。

物語の閉め方

次に、閉め方の大枠を決めようと思いました。
森の奥にあるコンクリの建物が画像のコーヒーがある建物になると思い、ここを起点として考えました。
たっくんが鍵を持っていることとコンクリの建物が学校の近くにあることから、リアルな内容よりファンタジー(ミステリー)系に近い内容かもしれないと思いました。
また、リアルな内容にしたときにたっくんの行動とコンクリの建物を回収する必要があると思いました。そのため、完全に伏線を回収うするのか、それとも夢おちにするかを考えました。
そして、ファンタジーな内容だったら死の世界線もありえると思いました。

これをもとに、以下のマトリクスを作成して物語の候補を絞り込んでいきました。

ファンタジー or リアリティ
  夢おち or 伏線回収
 死んでいる or 生きている

1:「リアリティ*伏線回収*生きている」の線は、全ての伏線をリアルな内容で回収し、物語を進めていく内容になります。この線では、コンクリの建物の説明ができず矛盾が生じそうだったのでボツになりました。

2:「ファンタジー*伏線回収*死んでいる」の線は、主人公の「僕」が死んでいて、たっくんが会いにきてくれているとの内容になります。完全にぶっ飛んだ物語になりそうな予感がしました。

3:「リアリティ*夢おち*死んでいる」の線は、主人公の「僕」が夢の中にいて、たっくんが死んでいる内容になります。夢おちなので作品としてのクオリティは下がるかと思いました。

この中で、1はすぐにボツにしました。2と3で迷っている時に、シダさんの著者のスタエフ朗読を聞きました。声と作品を聞いているうちに、完全にファンタジーにぶっ飛んだ内容はシダちゃんねるに向いていないと直感で決めて、3に決定しました。

さぁ回収へ

物語の大筋が決まり、続きを書こうにも、やはり「たっくん」の最後の言葉が引っかかりました。(しんごさんを責めてる訳ではありませんよ!)

あるとき、思いつきました。「僕」はたっくんに関西弁をぶっかけるほど仲の良い間柄だから、たっくんがどぎつい冗談をぶっかけてもおかしくない、と。
ここから、物語をつなげることができました。

コーヒーの回収は、コンクリの建物内で行い、画像の回収のために、内装は木で構成されていると書きました。ここでコンクリの建物の回収も行いました。

スプーンの回収は、二人が話すきっかけ、つまり、「僕」が関西弁でまくし立てる要因になっていたので、回収はしなくて良いと思いました。

転校した理由の回収は、両親の再婚としました。離婚を機に移住し、大人の都合でまた戻ってきたとの描写から、戻ってくる理由としては再婚が1番筋が合うと思いました。母親の実家が北海道で、この物語の場所に嫁いできたが、離婚して北海道に戻り、また、再婚で帰ってきた、と言う内容はかなり納得がいくものだと思います。

たっくんの「ありがとう」の回収は、たっくんと気づいて「僕」が関西弁でまくしたてることで、たっくんが安心したことで巻き取りました。これを起点に、たっくんが「僕」に向けて想いを一方的に話し続ける流れを書くことができました。
「僕」が大人の都合で振り回されていること、「僕」は恥ずかしがりな性格なこと、これらをたっくんが慰めてくれる内容を一方的に話してもらいました。

森の奥にあるコンクリの建物は、あちらの世界とこちらの世界の狭間を裏テーマにして回収していました。画像のコーヒーを出す場所としても物語では設定しています。「僕」は机に座っていた一方で、たっくんは建物の「奥」の扉に向かって歩いていきました。そう、あちらの世界に向かっていたことを示していました。千と千尋みたいな設定です。
校舎の裏の施錠を外し、一本道を過ぎた先には森と不自然にコンクリの建物があります。不自然な中で「僕」とたっくんの言葉が噛み合わず、むしろ、無視されているような内容でさらに不自然さを表現しました。

最後に、受験(秋)の回収です。校舎のシーンでは、秋かぜが吹き荒れていると言う内容がありました。夢おちの後に、勉強中に寝てしまったことと、窓を開けっぱなしにしていたことでまとめました。現実に起きていることの一部が夢に出てくる経験が私にあったからこのように表現しました。

締め

「僕」が冷めたコーヒーを飲んだシーンを書き終わり、タイトルをつける時がきました。今までのシリーズでは、「空」「草」「虹」と言った単純な単語が多いので流れを踏襲して、画像に忠実な「ティースプーンとコーヒー」にしました。

今回も一点、私の実話が混じっています。
夢に人が出てきたことです。私の祖母が庭先に立って、何も話さずずっと私を見ている夢を見たことがありました。
私は
「あれは、おばあちゃん?」
みたいに思って家の中から目を合わせていました。
その数日後、祖母が亡くなりました。
この実話を投影しました。

最後に

いつも、朗読をしてくださるシダさん。また、朗読を聞いてくださり、さまざまな意見を行ってくださる皆様、本当にありがとうございます。
皆様が聞いてくださり、反応をくださるおかげで、創作意欲が増しています。
また、物語を紡ぐことで、私自身の過去をひとつずつ昇華できています。このような場所を作ってくださり、本当に感謝しています。

もし、質問などありましたらメッセージをいただければ返信します。
拙い者ですが、今後とも生野大輔をよろしくお願いします。

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