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マインクラフトで学習の方法を実験する

学習の方法についていろいろと模索中で、Learn betterという本を読んだ。感想は下記にまとめてあるのだが、ものすごく端的に言うと、学習するには脳に汗をかけ!手を動かせ!という話である。(端的すぎる)

特にこの中ですぐにでも実践できて小さく始められそうなものは、関連付けるということと、細かい失敗に対してもメモを取る、ということだった。こういう、すぐにはじめられそうなことから実行していって、学習の方法というものを学ぼうと思ったわけである。

ただし、これらは意外とハードルが高い。なぜかというと、どちらも作業ログが必要になってくる、ということがあるからだ。仕事でも家事でも作業ログをリアルタイムもしくは事後で試そうと思ったことは何度もあるが、そのたびに挫折している。

単なるずぼら、で片づけてしまうと、ここで話が終わってしまうので、もう一度Learn Betterに立ち返ってみると、効果的に学習を進めるためには目的意識が非常に大事であるとのこと。しかも、単純に「〇〇になりたい!」ではなく、その学習したい項目が自分の生活にどうかかわってくるか、という観点で掘り下げた目的なり目標が必要になってくる。そうなって初めて学習が「自分ごと」となり、習熟度も上がっていくという。

まあ、つまり学習方法については興味があるが、それをなすことでどういう自分になりたいか、何を達成したいか、という目的意識が足りなくて続かなかった、というのが一番なのかもしれない(家事はともかく、仕事に関してこの心構えはどうなんだ?という突込みはわきに置いておく)

じゃあ、一番これに適したケーススタディは何だろうと考えたときに真っ先に浮かんだのが、超有名ゲームの「マインクラフト」である。

超有名ゲームなので、今さら説明するまでもないのだが、マインクラフトは非常に自由度の高い、かつやることが無茶苦茶多いゲームである。しかもあることを実行するにはその下積みが非常に重要で、例えば冒険に出ようと思ったら装備が必要で、装備をそろえるためには鉄が必要で、鉄を得るためには工具が必要で、工具を作るためには…と、連鎖がすごい。しかもこんな直線的な関係ではなく、農業・酪農・建築・レベル上げ等々が複雑に絡み合っていて、何からやればいいか、という正解はないのである。マルチタスクをこなしつつ、業務の自動化を図りつつ、泥臭く手を動かしつつ…という過程が(チートコマンドなど使わない限りは)必ず必要になるし、失敗してもしなくてもたまに死ぬ(ゾンビなどに殺される)というおまけつきである。

これは現実のタスクをこなすのと非常に似ている。ある意味、死ぬので現実より厳しい。であれば、この過程のログを取って整理し、自分なりのマインクラフトマニュアルを作っていけば、学習の方法を学べるのではないか?と考えたわけである。

ちょうどよく、自分の子どもがマインクラフトにはまっており、一緒のワールドで冒険したりしている。そのワールドとは別に、自分のマイクラ力を上げておくのは親としての義務(?)であるので、先にいったんのボスであるエンダードラゴンを倒すという目的を果たしたいという強いモチベーションもある。

ということで、実際にメモしながらやってみたわけである。というと、リアルタイムにメモしたようだが、そうではなく、この部分はこうすべきだった、これは別の事象にも応用できる、順番は前後逆だった、などのことを意識しつつ取り組み、あとでメモする方法をとった。

メモと整理には、Heptabase※1※2というツールを使っている。ヘッダー画像のように、カード形式のメモ同士をつなげたり位置を変えたりして思考の整理に役立てるというツールだ。

さて、結果はどうだったか。今まで漠然とブランチマイニング→ダイヤゲット→農業やらなんやらの自動装置作りたい→ネザー行く→死ぬ、と繰り返していたのだが、それが間違っていることにようやく気付いた。そもそも死んでいるのだから間違いにさっさと気づけ!という話なのではあるが、それに気が付かないのがLearn Betterでも述べられている「過信」であるようだ。この場合「自動化もし出したし、準備は悪くない、まだ初心者だから操作テクニックが足りないだけだ」というような過信である。

メモしながらやった功績としては、テクニックとか準備ではなく、圧倒的にマインクラフトに対する知識量が足りない、ということであった。自動化するにもYoutubeなどを見てまねるだけ、素材が足りなければ都度取りに行く、そしてゾンビにやられて素材なくなる、というような繰り返しで、なにをどのような順番でやれば効率よく筋道だって進められるかというプロセスの知識と、それに対するここで実行すべきタスクに関する知識の不足である。

具体的には、マインクラフトをやればだれでも実行するブランチマイニングについて。ブランチマイニングが効率が良い!みたいな記事が山ほどあるので、スタートしたらとりあえず穴掘ってブランチマイニング実行、洞窟に当たったら、何で洞窟なんだよ!とちょっとずらして掘る、みたいなことを何度もやっていたわけだ。ただ、ブランチマイニングをするとそれを実行するための道具がどんどんすり減るので、道具を作るために別の深さ※3でのブランチマイニングも必要で、道具を作るために地上に戻って木をゲットして、みたいな、結果的にめちゃくちゃ効率が悪いことをやっていたことにようやく気付けた。これはメモの効用といえよう。実際は上記のようにリアルタイムでメモしたわけではないのだが、メモするような気持でいるだけで認知バイアスの壁を突破できたのである。これは割と驚くべきことだ(ゲームだけど)

こんな感じで、実際にやってみると驚くほど思考が整理されて、メモする時間を含めても効率がとても上がった。すごい。ほかにも、
- 建設を先に意識しながらやると各設備をはじめから場所や大きさを考えて作るようになるため、効率が良くなる
 - 洞窟探検の時には掘り進めていくと巨大空洞にあたることがあるため、上り下りを考えて水の入ったバケツと梯子は携帯必須である
- エンチャント環境を整えるためにはもちろんダイヤや黒曜石が必要だが、本棚のコストが初期は高いので、先にサトウキビと牛の確保が重要であり、牛を飼育するためには小麦が必要なので、サトウキビと小麦を優先して確保する。
というような知見がメモとして残った。

メモとして残った、というのが非常に重要で、これくらいの情報はネットで調べればすぐ出てくるのだが、自分のメモとして残ることで、初めて自分の知識として学習された、ということになる。これは、知識が読めば受け渡せるようなモノではなく、都度形成されるコトであり、自分自身でその形成プロセス・ネットワークを築くことで初めて習熟度があがる、という、まさにLearn Betterやその他の学習方法論で展開されている内容を実感したわけである。マインクラフトすごい←

現在のところ、メモの取り方は当然ながらぐっちゃぐちゃで、まだ洗練されていないし、導き出される結論も初心者の息を全く出ていない感はあるが、当初の目的である学習方法論の「習熟度が上がった」という実感はあり、とても心地よい。今後このマイクラによる学習方法の特訓を続けるとともに、これほど効果があるならほかの学習にも応用していこうかなと思う。

※1 今のところ、有料でしか使えないようだが、正月酔っぱらった状態で思わず購入してしまった。
※2 Heptabaseの内容については日本語で書かれた倉下さんのこの紹介記事が詳しいので参考

※3 深さによって出る素材が違うため。ダイヤを掘るには鉄のつるはしが必要だが、いつからか鉄とダイヤが同じ深さで出にくくなったため、ブランチマイニングで両方ゲットするためには別の深さで掘るなどの作業が必要になった(はず)


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