パキポディウムという多肉植物をご存知ですか?


みなさんはパキポディウムという多肉植物をご存知ですか?

こんにちは、TOKYです!
キョウチクトウ科の植物で自生地はマダガスカルや南アフリカなど広く分布しています。

その中でもマダガスカルのイサロ国立公園付近に多く自生するパキポディウム・グラキリス(Pachypodium rosulatum var. gracilius)は古くから日本でも親しまれており「象牙宮」という和名も存在します。
TOKYのロゴマークにもこのパキポディウム・グラキリスが使われています。

丸い株からニョロっと生えた枝からは成長期に多くのレモンイエローの花を咲かせ自生地でもイサロの山が黄色く染まるそうな(行ったことはありませんが 笑)

数あるパキポディウムの中でも寒さと暑さに強く日本で最も育てやすいパキポディウムの一つということも国内で多く普及した要因です。

その性質もありますがプラントラバーが虜になるのはその丸く可愛いボディではないでしょうか。

特に自生地で生まれたワイルドな個体に比べて日本国内で種から作られたいわゆる“実生(みしょう)”ものに関しては自生地ほど過酷な環境で無いこともあり端正に整った形状のものが多く見られます。

そしてこのパキポディウムの多くは雌雄同株がほとんどで自家受粉が可能なのです。

自家受粉とは他の植物を必要とせず一つの植物体から咲いた花の雄しべと雌しべを使って受粉させることができるのです。

針や尖った楊子などあれば実った花の円錐状の雄しべを開いて中にある雌しべに花粉をこすりつければ思いの外簡単に受粉ができ結実(種が実ること)します。

実った種ざやを折れないようにしネットを被せておけばいずれ種ざやが弾け多くの種が採れます。

そしてそれを蒔いて発芽させて数年も経てば立派なパキポディウムに成長します。

キョウチクトウ科の多肉植物は他の成長の遅い多肉植物と違い比較的早いスピードで生長しますので国内で流通量が多いのも頷けると言うものです。

ただ、ここまでのブームになるとは勿論生産者さんの多くは見越していなかったと思いますし見越していたとしても需要と供給を両立させるのはとても困難です(生き物なので)。

現在パキポディウムはとても人気の高い植物なので前途した、需要と供給のバランスが取れているとは言えない状況ですがいずれもっと流通することで値段が沈静化し一般的な多肉植物、いわゆる“普及種”となっていくのではないかなと考えています。

皆が生育方法を学び、いずれ種を採り播種(種を蒔くこと)し趣味家や愛好家の作った植物までもが市場に溢れてしまった時...。園芸の世界ではそういった歴史を繰り返してきていますが、私たちTOKYはまだ経験したことがありません。

愛好家と生産者、その垣根も曖昧になっており一概に「植物の生産と流通とはこういうものだ」とも決めきれない状況となっています。

今後植物の種苗、育成で気をつけること。

・むやみに交雑しない。
・健康に、形良く作る。

おおまかに言えば上記のようなことは気をつけて楽しみたいところです。

闇雲な交雑は強健になっていく可能性が高いですが人間が楽しむ園芸という事で言えば種小名がハッキリしていないと売買にも適しません。

あとは矛盾するようですが厳密に言えば自家受粉を続けることにより多様性の低下をまねき、環境などの適応能力が低下し種の存続に関わる事項になると言われています(趣味の園芸であれば問題無いと思いますが)

そして植物を健康に上手に作り込んで姿形の良い株姿にすることで愛着がさらに沸きます(結局は見た目を重要視しますから)。

健康という基礎を担保出来ればそこからは趣味家や栽培家の世界で標本株などの作り込みに邁進する人もいるでしょう。
少しマニアックな世界なので多くの人がそれを目指すことは少ないと思いますがこういった活動により日本の園芸は深みを増してきたと聞いています。

かなり長く散漫な文章になってしまいましたが何が言いたいかと言うと。

・可愛いパキポディウムを買って(飼って)みよう!
・そして買ったからには上手に育てよう!
・花が咲いたら受粉してみよう!
・そしてもっと園芸の深みにはまりましょう!笑

ということです。
パキポディウムを初めとするキョウチクトウ科の植物は成長が目に見えるのでまずは楽しみ方を知ってもらうには最適だと思いました。

みなさまも是非!!

パキポディウムを購入する際に気をつけてほしいこと。

最後に余談です。

初心者の方は特に注意が必要ですが、大きく丸々と立派な株姿をしたパキポディウムを購入する場合は必ず根の状態をお店のひとに確認してみましょう。

立派なものは自生地から輸入されてきたものが多く植物検疫を通すために根の土を落とす=根をカットする。ことから日本に来た当初は根無しの状態がほとんどです。

まだ植物の生育に自信のない方は、もしそこで不明瞭な答え(「植え替えていないので見ていない」「分からない」等)が返ってきた場合、それでも自分は生育に挑戦してみたいか、一度検討してみてください。

パキポディウムに限りませんが立派な株姿の植物にはそれ相応の根が必要となります。

根が無ければ水を吸うことができませんし根が少なければ大量の水を吸いきれず土中の水分で腐ってしまう可能性もあります。

根のコンディションを聞いて問題が無さそうなら是非チャレンジしてみてほしいと思います。

書いた人
藤原連太郎
新しい価値を提供する園芸用品と植物のショップTOKYの代表兼ディレクター。
商品企画・開発、仕入れなどを主に行う。
趣味は受粉。
http://toky.jp/blog
https://www.instagram.com/rentarof/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?