フランスレストラン文化 サービスの世界
日本では世界に誇る「お・も・て・な・し」の文化がありますが、フランス料理サービス部門のコンクールの世界を知ると、おもてなしとは全く違う対価を支払うプロの思想がわかります。
わたしの活動においても、多くの方に知っていただきこのコンクールをもっと盛り上げたい、と思ったことからお伝えしたいと思います。
ご参考までに前回の記事はこちら
「おもてなし」とは(Wikipediaより)
おもてなしとは、心のこもった待遇のこと。顧客に対して心をこめて歓待や接待やサービスをすることを言う。「もてなし」に「お」をつけて、丁寧にした言い方。
私が思うには、日本においての「おもてなし」は、日本人が持つ自然に行う心を込めたサービスであり、当然無(対価の支払いは無し)。
これは、日本の文化としてほぼすべての日本人に備わっていて、素晴らしい文化であり永遠であって欲しいもの。
チップの無い国、仏教・儒教の教えなどにおいても同じように思えます。
フランス料理サービス部門のコンクールとは
審査基準を通じてわかること
審査内容は、普段の仕事に欠かせない要素が細分化されたもの。
サービス部門の審査ポイントで、もっとも配点比重が大きいのは、「プロフェッショナルとしての態度(Attitude Professionnel)」。
表情・目線・立ち振舞いの優雅さなど、プロとして必要不可欠な要素が含まれる。
そして
・食材に関する知識の正確さと深さ/作業に必要な器材を事前にゲリドン(テーブル)上に揃えているか/準備からミザンプラス(しかるべき状態のスタンバイ)、
・清潔さと衛生、丁寧な食材の取り扱いなどを含めたテクニックの正確さ、
・作業の手際よさ/食材の見せ方ならびに仕上がりの美しさを含めた、料理のプレゼンテーション/仕上がった料理の味、
・皿の温度管理含む/母国語以外の言語スキルならびに言葉以外の表現力/規定の時間内に作業を終了できるかどうかの時間の正確さ等
が審査される。
課題中に審査員から矢継ぎ早に飛ぶ質問、意見等に対し、選手は笑顔でかつ優雅に、的確に、瞬時に対応しなくてはならない。
(APGFの前身FFCC「クープ・ジョルジュ・バティスト」サービス世界コンクール東京大会の記事より引用)
コンクールの必要性
おもてなしは、日本人のベースとして当然に押さえておくべきサービスですが、人によって心の込め方やサービスは違います。
つまり、無料(対価の支払いが無い)でありチップや指名という物差しが無いが故、プロ意識が芽生えにくいことも事実です。
一方、コンクールは、プロとしての豊富な知識と行動が必要です。サービスをプロがすると、レストランが非常に心地よい場になります。
つまり、対価を頂くために一流のサービスを提供できるプロを育てていくために必要なのでしょう。
日本人の活躍
2012年、フランスで行われる最も伝統と格式のあるレストランサービスコンクールの国際大会「クープ・ジョルジュ=バティスト世界サービスコンクール」で、日本人である宮崎辰氏が初めて「世界一のメートル・ドテル※」の栄誉に輝いています。
※メートル・ドテルとは、フランス語で高級フランス料理店のサービス全般をつかさどる要職の呼び名(maître d'hôtel、meister of hotel、給士長)。
おもてなしとサービスで考えたいこと
私が時として思うこと、
それは、
日本ではタダが当たり前のおもてなし(サービス)。
だからといって、要領を得ないおもてなし等にに対しても横柄な態度をとらないこと、感謝することが大事だと思います。おもてなしが出来て無い場合は怒るのではなく教えてあげる態度が必要だと思います(あくまで無料なので)。
一流レストランや料亭では、(プロの)サービスの方には敬意を払うことが必要だと思います。
日本ではサービスはタダということから、中にはプロのサービスの方にうざいと言わんばかりの態度や横柄な態度をとる方がいらっしゃること、それが悲しいと思うからです。
料理や食材や調理法などに耳を傾けて知識欲を満たすのも楽しいかと思います。が、聞きたくない場合はその旨伝えれば良いと思います。
食事の場であるレストランの語源は、前回書いたように「人の身も心も修復する場所」という意味ですから、気持ちよく食事をしたいものですからね。
おもてなしとサービスの文化の発展
ソムリエと言えば、ワインのプロとして認識されています。
おもてなしという言葉によりサービスのプロは認知度が低いですが、日本人の若者も果敢に世界にチャレンジする奥の深いコンクールがあります。
日本は、おもてなし文化を大切にしつつ、世界に対してコンクールによりサービスのプロが育つ社会になることを期待するとともにチャレンジする若者を応援したいと思います。
最後に、ここでお伝えしたいこと
レストランの語源は「リラックスする場所」、ということを念頭に置くと、タダであるおもてなしには寛容であるべきで、
対価を支払うサービスに対しては、食材や調理法など疑問をどんどん質問して知識欲も満たし身も心も修復するといいでしょう。
普段対価を支払うサービスを受けることなんて滅多にないとしても、外国人のおもてなしや一流の人たちのためにも日本のサービスの質を高めていく文化も必要だと思います。
プロのサービスの方が商売に傾いた説明をすると一気に信頼が無くなりますので、安心して傾聴できます。
わたしの理念、食の明るい未来を見据えて、化学に頼らずに各地に代々伝わる発酵食品や特別な地域でしか生産できない商品を一時的にも途絶えさせることないよう応援したい、という活動には対価を支払うサービスも必要な文化だと思っています。
真面目に語ってしまいましたが、プロのサービスの方が育たなければ本当に良い食材や調理法をプロとして説明してくれる方がいなくなります。それだけは避けたいと思い、このようなコンクールを広く知っていただけたらなぁと思います。
※表紙のコンクール写真は、半沢直樹撮影ロケ地と同じ場所です。
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