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ドラクエとドングリとカッパと

「そろそろ”あれ”行きます?涼しくなってきたことですし」
「いいっすねー。やりますか」

行くあても決めず、街に繰り出して、心がときめく方へとぶらり旅。

「なんか川行きたい。寒くなる前に川をみたい」
そんなよく分からない理由で、商店街の近くを流れる川に足を運ぶ。

人が一人ずつしか渡れない橋を縦一列になって渡っていると、思わず笑みが溢れる。
振り返りながら「なんかドラクエっぽいっすねー」
「いや、ほんまに」なんて言いながら、ドラクエのテーマソングを口ずさみながら歩く。

「こっち行きましょー」の声かけで、近くのお寺へと足を進める。

途中で転倒したお爺さんを助けて、ホイミ(回復魔法)が使えたら良いのに。と心の中で思いながら、無事を祈りながら石畳の階段へ。

「うわ。懐かし!何年ぶりに触るやろ」と嬉しそうにドングリを手にする。
「えー?毎年触るでしょ」
「あ、帽子ついてるやつ探しましょうよ」なんて言いつつ、1人が一切触ろうとしないのはきっと中に虫がいるから。

お寺に到着して、「これ右から洗うんでしたっけ?」と聞かれるもみんなハッキリしない。
「えー?どっちやっけ?」
「確か水は飲まないんですよね?」
それぞれの思うままにお清めをする。

少し歩くとお線香を立てられる場所があるので、木箱の中にお金を入れて、火ををつけるっぽいものにお線香を差し込む。

「え?これどんな仕組み?下に何があるん?」
「なんでしょー?なんかあるんでしょうね」
お線香を立てて手を合わせていると、「知ってます?このお寺カッパいるんですよ」なんて与太話をしだす。

「えぇ?」と何の嘘?みたいなリアクションをされるも「いやホンマに。あのストッパー見たいなとこにいるんすよ」と言うものの、工事中で立ち入れない場所で肉眼では見えず。

「ホンマにいるんやってー」と、身の潔白を証明するが如く、あそこあそこ!と指差すが見えない。
カメラで撮影して拡大しながら「これですか?」と聞いてくれるも、イマイチハッキリせず。

最終的に「多分そう!それそれ!」なんて本人も分かっているのか、いないのか。怪しい感じでカッパ騒ぎは幕をとじた。