11_みんなでつくる、食堂の椅子
神山町ではこの春、新設校となる私立の高等専門学校「神山まるごと高専」が開校します。3月には「校舎・寮のお披露目」期間があり、連日多くの神山町民が見学に訪れていました。その数約1,500名。関心の高さが伺えます。
『まるごと食堂』と名付けられた食堂の運営は「フードハブ・プロジェクト」が受託し、「MONOSUS社食研」が調理を、そしてわたしたち「NPO法人まちの食農教育」は食事のコンセプトやガイドラインづくり、食堂にまつわる全体の取りまとめの他、食や農・ものづくりに携わる地域の方々との食事会やイベント等も企画していく予定です。
開校に先駆けて、食堂まわりのイベント第1弾として実施したのが「椅子づくりワークショップ」。毎日使う食堂の椅子を、地元の材で、地元の方々と一緒に作ろうというもの。
初心者でも椅子が簡単に作れるようにと「椅子づくりキット」を開発したのは、島津臣志さん(島津臣志建築設計事務所)と大家稔喜さん(大家工務店)。初心者でも簡単に、最小限の道具でつくれる「椅子づくりキット」が完成しました。
製材:神山製材・左右内製材
0歳から89歳まで、実に多様な世代が入り混じってつくった食堂の椅子。島津さんや大家さんのほか、大工の後藤さん、濱口さん、一宮さん、藤田さんも駆けつけてくださいました。たとえ釘がぐにゃっと曲がったとしても、板を逆さに取り付けてしまっても、すぐに直してもらえる安心感。大工さんの道具の扱い方はやはりカッコよかったのでした。
参加者からは、「1つの椅子を作るのにたくさんのパーツやこだわりがあることを知った。素人でも簡単に作れるように設計されていて楽しかった。組み立てる過程で設計者の頭の中をのぞけるようで楽しかった。釘がたくさん打てて楽しかった」などの声が聞かれました。
私もまるごと高専のスタッフ・鈴木さんと1脚作り上げました!よ!!
まだ見ぬ新入生へ「神山へようこそ」の気持ちを込めてつくった椅子。期待とともに緊張や不安も抱きながら入ってくる学生さんたちが、どうか、食堂でホッとできる時間を過ごせますように。
3月のお披露目週間には、椅子づくりワークショップに参加されたご家族が来られていました。給食を食べながら「これ、お父さんが作った椅子よ」なんて盛り上がっている光景、うれしかったなぁ。
お披露目週間でのエピソードをもうひとつ。
「汁椀寄付」のお願いをしたところ、たくさんの方が食堂へ汁椀をご寄付くださいました。ありがたいことです。大切に使わせてもらいます。
「椅子」も「汁椀」も、どちらも毎日食堂で使うもの。
地域のあたたかなつながりに感謝しつつ、いよいよ春、開校を迎えます。
私ですらやたらとドキドキしてるのに、新入生のドキドキはどんなものでしょう。